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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1639【臨時号】2018.11.22 ◆
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◆ News & Views vol.1639 です
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2018年10月上旬にカナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバーで、
NANOG 74ミーティングおよびARIN 42ミーティングが開催されました。この会
合のレポートを、前編・後編と2本立てでお届けします。

前編となる本号では、ミーティングの全体概要と、技術関連動向として
NANOG 74ミーティングの議論の様子を紹介します。後編では、アドレスポリ
シー関連動向として、ARIN 42ミーティングの議論の様子を紹介する予定です。

また、本ミーティングの様子は、JPNICブログでも写真を交えてご紹介してい
ますので、ぜひご覧ください。

    NANOG74・ARIN 42ミーティング フォトレポート
    https://blog.nic.ad.jp/blog/nanog74arin42_photo/

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◆ NANOG 74/ARIN 42ミーティング報告 [前編]
   全体概要および技術関連動向報告
                                               JPNIC IP事業部 川端宏生
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2018年10月1日(月)~3日(水)に、カナダ・ブリティッシュコロンビア州バン
クーバーにおいて、第74回NANOG (North American Network Operators'
Group)ミーティング(NANOG 74)が開催されました。

秋のNANOGミーティングは通常、北米およびカリブ海周辺の一部地域を管轄す
る地域インターネットレジストリ(RIR:Regional Internet Registry)である
ARIN (American Registry for Internet Numbers)ミーティングと併せて開催
されます。今回はARIN 42ミーティング(ARIN 42)と一緒に開催されました。

本稿では、NANOG 74での技術関連動向を中心に紹介します。

なお、会場の雰囲気などは、フォトレポートとしてJPNIC Blogに公開していま
す。こちらもあわせてご覧ください。

  JPNIC Blog:NANOG74・ARIN 42ミーティング フォトレポート
  https://blog.nic.ad.jp/blog/nanog74arin42_photo/


■ NANOG 74/ARIN 42概要

NANOGミーティングでは、ネットワークの運用に関するさまざまな議論が行わ
れています。本会議に先立ちハッカソンが開催され、引き続き開催される本
会議では、通常の発表のほか、ライトニングトークやチュートリアルなどが
開催されるスケジュールが定番となっています。日本においてもJANOG
(JApan Network Operators' Group)ミーティングが定期的に開催されていま
すが、その北米版をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。

会期中のプログラム、発表の概要や資料、発表当日の模様は、下記のWebサイ
トでまとめて公開されています。

  NANOG 74 Meeting Agenda
  https://pc.nanog.org/static/published/meetings/NANOG74/agenda.html

NANOG 74の参加者は、900名を超えていたそうです。日本においてもJANOGミー
ティングが定期的に開催されていますが、2018年7月に三重県・津市において
開催されたJANOG42ミーティングでは、本会議参加者数が1,086名(*)とのこと
でしたので、ほぼ同じ規模となっているようです。

  (*)JANOG42ミーティング 閉会宣言・次回予告
     (閉会宣言(その1)に本会議参加者数についての記述があります)
     https://www.janog.gr.jp/meeting/janog42/program/CLOSE

NANOG 74に引き続き開催されたARIN 42は、ポリシー提案に関する議論や各種
情報提供を行うPublic Policy Meetingと、ARIN会員への情報提供を主な目的
としたMembers Meetingにより構成されています。Members Meetingという名
前ながら、参加資格などは必要なく誰でも自由に参加できます。

各セッションで利用された資料、発言録、当日の発表風景の映像・音声など
は、下記のWebサイトでまとめて公開されています。

  ARIN 42 Meeting Report
  https://www.arin.net/vault/participate/meetings/reports/ARIN_42/

ARIN 42の参加登録者数は157、リモート参加登録者数は29となっており、前
回ARIN 41ミーティングと比べても傾向に大きな差はなかったようです。


■ 技術関連動向(NANOG 74から)

技術関連動向は、ARIN 42に先立って開催されたNANOG 74で取り上げられまし
た。IPアドレス・AS番号の分配ポリシーについて議論されるARINミーティン
グと同様に、多くの参加者が質問のマイクに並んで、活発な議論が繰り広げ
られます。休憩時間になると、発表者を取り囲んでさらなる議論を行うこと
も多いようで、アジア太平洋地域とは雰囲気が異なる点が印象的でした。

DDoS、IPv6、DNS、ルーティングといった、日本でもよく聞くキーワードが並
んでいました。ここでは、筆者の印象に残った発表をご紹介します。

・Overcoming Legal Barriers to RPKI Adoption (RPKI利用の法的障壁を克
  服する)

  (発表資料へのリンク)
  https://pc.nanog.org/static/published/meetings/NANOG74/1767/20181001_Yoo_Overcoming_Legal_Barriers_v1.pdf

  他のRIR地域に比べて、ARINが管理するIPアドレスに関するROAの登録割合
  が低いことが指摘されていました。これは、ROAキャッシュサーバが参照
  する必要のある、ARINのトラストアンカーを利用するための障壁が高いこ
  とが原因の一つではないかと考えているようでした。

  主にARINの制度や法的な側面から分析を行い、さまざまな立場の組織が容
  易に利用できるための施策にはどのようなものがあるか、検討が行われて
  いました。この発表はNANOG 74で行われたものですが、登壇者はARIN 42に
  おいても、参加者から広くコメントを募っていました。次回のARIN 43で
  は、この問題について、もう少し踏み込んだ議論や、ARIN事務局からの改
  善案の提案などが行われることも想定されます。

・Comparing the Performance of Public DNS Resolvers
  (パブリックDNSサービスの性能比較)

  (発表資料へのリンク)
  https://pc.nanog.org/static/published/meetings/NANOG74/1791/20181002_Medina_Comparing_The_Performance_v1.pdf

  ここ数年の間に、広く一般に利用可能なパブリックDNSサービスが増えてき
  ています。Cloudflare社が提供する1.1.1.1や、Google社が提供する
  8.8.8.8といった特徴のあるIPアドレスが割り当てられているサービスもあ
  り、見覚えのある方も多いのではないでしょうか。

  この発表では、パブリックDNSサービスの中から15件を抽出し、それぞれの
  DNSサービスを利用し検索した結果を利用して、IPv4/IPv6によるアクセス
  や地域といった指標を元に評価を行っていました。

  パブリックDNSサービスが増えてくるに従って、各サービスを比較した今回
  のような発表がいずれ出てくるとは思っていました。発表資料中にはラン
  キングも掲載されていますので、どのサービスを利用されるか悩んでいる
  方は、参考にしても良いかもしれませんね。

・Lightning Talk: Identifying DNS Open Resolvers in IPv6
  (IPv6のオープンリゾルバを特定する)

  (発表資料へのリンク)
  https://pc.nanog.org/static/published/meetings/NANOG74/1853/20181003_Acosta_Lightning_Talk__v1.pdf

  この発表は、IPv6のオープンリゾルバ(外部からの再帰的な問い合わせを許
  可しているDNSキャッシュサーバ)を調査した結果を報告したものです。

  IPv6アドレス空間は、IPv4アドレス空間と比べて広大なため、IPv4とは異
  なる手法を取る必要があったそうです。その手法について紹介されている
  ほか、各RIR単位での調査結果が報告されていました。確認できた約5,300
  のIPv6アドレスが設定されたネームサーバのうちの2%(約110)が、オープン
  リゾルバとなっているそうです。

  IPv6の利用拡大により、IPv6アドレスが設定されたネームサーバも増加す
  ることが想定されます。IPv4と同様に定期的な調査が必要であることを示
  唆する発表のように思えました。


■ 次回以降のNANOG ミーティングについて

NANOGミーティングは、1年に3回開催されています。

NANOG 75は、2019年2月18日(月)~20日(水)に米国・カリフォルニア州サンフ
ランシスコで開催されます。NANOG 76は米国・ワシントンD.C.で6月10日
(月)~12日(水)に、NANOG 77は米国・テキサス州オースティンにおいて
10月28日(月)~30日(水)の日程での開催が予定されているそうです。

  NANOG Future Meetings
  https://www.nanog.org/meetings/future


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