━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1708【臨時号】2019.8.26 ◆ _/NIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.1708 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2019年7月下旬に、カナダ・モントリオールにて第105回IETFミーティングが 開催されました。この会合のレポートを、本号より連載にてお届けします。 第1弾となる本号では、モントリオール会合における全体会議の様子をご紹介 します。 次号以降では、IoT、プライバシー、トランスポートに関連した各分野の動向 を順次ご紹介していく予定です。 なお、本モントリオール会合のオンサイトでの報告会を、今週末の8月30日 (金)に東京・大手町プレイスウエストタワーにてISOC-JPとJPNICの共催で開 催します。本連載で取り上げるもの以外にも、幅広い議論の模様をご紹介し ますので、ご興味を持たれた方はこちらの報告会にもぜひご参加ください。 IETF報告会(105thモントリオール)開催のご案内 https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2019/20190822-01.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第105回IETF報告 [第1弾] 全体会議報告 JPNIC インターネット推進部/技術部 塩沢啓 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第105回IETFミーティング(以下、IETF 105)は、2019年7月20日(土)から26日 (金)にかけて、カナダのモントリオールにて開催されました。モントリオー ルでの開催は、2018年7月以来の1年ぶりです。会場も同様に、フェアモント・ クイーンエリザベスでした。会議室のほかに、廊下にはいくつも作業スペー スが用意されており、参加者からは使い勝手がよいと評判の会場だそうです。 会期中は、さわやかな夏の気候で過ごしやすく、参加者は議論に集中できた のではないかと思います。 今回はIETF 105の全体報告として、以下のトピックスを中心に、IETFの模様 をご紹介します。 ・ 全体会議からのトピック ・ Technology Deep Dive ・ IETF Technical Plenary ・ IETFに初めて参加して ■ 全体会議からのトピック ○参加者人数の近況 全体会議でのチェア発表によると、48ヶ国/地域から1,079名が参加しました。 2018年夏のモントリール開催は1,078名でしたので、ほぼ同規模となりまし た。ハッカソンのオンサイト参加者は280名で、前回よりも参加人数は少なく なったものの高い水準を維持し、42のプロジェクトが実施されました。 ○RFC Series Editorの退任 IAB (Internet Architecture Board)のオープンマイクセッションでは、RFC の編集と公開を請け負っているRFC Editorについて、長時間議論が行われま した。現職のRFC Series EditorであるHeather Flanagan氏が、業務負荷など のさまざまな理由で、本来よりも2年早く退任するそうです。後任の目処は 立っており、手続き上も問題なかったものの、今まで取り組んできた施策が 実稼働する前に担当者が変わってしまうことについて、会場でマイクに立た れていた方々は問題視し、RFC Editor Modelのあり方についてまで議論され ていました。 ■ Technology Deep Dive Technology Deep Diveは、IESC (Internet Engineering Steering Group)が 主催するセッションです。問題提起というよりは、最新情報の提供に重きを 置き、複数の分野にまたがるテクノロジーの調査や、考察の提供を目的に開 催しています。 特に決まった開催形式はないようで、参加者にとってより良い形式を模索し ているそうです。今回は通常のWGが始まる10時より早い、朝8時半からの開催 でした。いつもより早い時間帯にもかかわらず、会場には200名を超える参加 者が集まり、関心の高さが伺えました。 テーマは「How NICs (Network Interface Cards) Work Today」で、近年広く 実装されている、NICのオフロード機能を中心に解説されました。この機能 は、パケット処理をホスト側のCPUではなくNIC上の専用CPUで行うことで、ホ スト側の負荷を軽減するというものです。 プレゼンテーションの最後には、近年より一層ニーズが高まる広帯域・低遅 延な通信の実現に、ホスト側だけではなくNIC側も貢献しており、IETFがカ バーするトランスポートやセキュリティの領域とも、今後密接に関係してい くというメッセージが述べられました。 - 発表資料 Deep Dive Slides https://datatracker.ietf.org/meeting/105/materials/slides-105-tdd-deep-dive-slides ■ IETF Technical Plenary Technical Plenaryでは、プリンストン大学のArvind Narayanan氏と、ネット ワークセキュリティで著名なSteven M. Bellovin氏の2名を講演者に迎え、 「インターネット上のプライバシー」に関する講演が行われました。 Narayanan氏のプレゼンテーションでは、自身がリーダーを務めるWeb Transparency and Accountability Projectという取り組みについて紹介され ました。100万もの膨大なWebサイトから、クッキーや異なるサイト間のトラッ キングデータなどを計測し、そのデータを公開するという研究です。一方で、 IoT機器間の通信を測定することの難しさについても言及し、IoT機器におけ るプライバシー問題について警鐘を鳴らしました。 Bellovin氏は、企業や政府による過剰な個人情報の収集や機械学習といった、 昨今のプライバシーに関する懸念点について解説しました。また、個々の技 術的な評価や議論にとどまらず、最後にはプライバシーに関する諸問題に対 して、これからIETFとしてどう取り組んでいくべきかについて議論されまし た。 - 発表資料 Lessons from privacy measurement (Arvind Narayanan) https://datatracker.ietf.org/meeting/105/materials/slides-105-ietf-sesse-lessons-from-privacy-measurement-arvind-narayanan-00 Privacy: Modern Concerns (Steven M. Bellovin) https://datatracker.ietf.org/meeting/105/materials/slides-105-ietf-sesse-privacy-modern-concerns-steven-m-bellovin-00 ■ IETFに初めて参加して 今回、筆者はIETFに初めて参加しました。IETFでは、初参加者でも議論に参 加できるように、手厚いサポートがされていました。2日目の日曜日午後に はチュートリアルセッションが開催され、IETFの概要説明だけではなく、WG のチェアを務める方たちと話す機会も設けられました。 また、IETF 105の開催前には、Webinarも複数開催されました。内容はオンサ イトと同じでしたので、チュートリアルの日には現地に行けないという方は、 Webinarだけでも参加してみると、IETFの雰囲気が分かると思います。また、 チュートリアルの資料は、ISOC-JPのEducation WGによる日本語訳(*1)が毎回 公開されます。いきなり英語だとハードルが高いですが、このような日本語 での導入があると、分かりやすかったです。 (*1) Newcomer's Tutorial 資料(日本語訳) https://www.isoc.jp/wiki.cgi?file=slides%2Dedu%2Dietf%2D105%2Dnewcomer%2Dslides%2Djp%2Epdf&page=IETFEduWG&action=ATTACH 会合に参加するまでは、事前準備として興味のあるWGのメーリングリストに 登録して、議論を追いかけました。また、IETFチェアによる、IETF 105のホッ トトピックスを紹介する記事(*2)が、会合開催前に掲載されます。初参加だ と、今回はどんな議論が注目されているのかなかなか分かりませんが、チェ アの視点から今回の見所が解説されているため、大変参考になりました。な お、会期終了後には、IETF 105のハイライトを紹介する記事(*3)も掲載され ます。 (*2) IETF 105 Preview https://www.ietf.org/blog/ietf105-preview/ (*3) IETF 105 Highlights https://www.ietf.org/blog/ietf-105-highlights/ その他に、会期中はISOC-JPのISPC (Internet Standardization Promotion Committee)が企画した「Get Together」と呼ばれる、日本からの参加者が集 まる懇親会にも参加しました。他の参加者と交流できただけでなく、各WGの 最新動向も聞くこともできました。初参加で分からないことも多く、またIETF では複数のWGが並行して進むため参加できないWGもあるので、このような現 地での情報交換の場は、とても貴重に感じました。 なお、ISOC-JPとJPNICが主催するIETF 105の報告会が、2019年8月30日(金)に 開催されます。今回のIETFでのホットトピックスや、各WGの最新動向が気に なる方は、ぜひご参加ください。 IETF報告会(105th モントリオール)開催のご案内 https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2019/20190822-01.html ◇ ◇ ◇ 次回のIETF 106は、2019年11月16日(土)から22日(金)まで、シンガポールで 開催されます。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ まわりの方にもぜひNews & Viewsをオススメください! 転送にあたっての注意や新規登録については文末をご覧ください。 ◇ ◇ ◇ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本号のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1708/385cea0be808a0650c98d4a15659ff6a ┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1708/ab2fd12bb0f008c295a1f6be9f53ab25 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: https://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JPNIC News & Views vol.1708 【臨時号】 @ 発行 一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル4F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には https://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ◇ JPNIC Webにも掲載していますので、情報共有にご活用ください ◇ 登録・削除・変更 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ バックナンバー https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/ ___________________________________ ■■■■■ News & ViewsはRSS経由でも配信しています! ■■■■■ ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/index.xml :::::  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ https://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2019 Japan Network Information Center