━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1897【定期号】2022.1.17 ◆ _/NIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ---------- PR -------------------------------------------------------- 【 株式会社 アイテックジャパン 】 ┏━━━■■究極のBCP/DR 遠隔地瞬時切換システム ■■━━━━━━┓ データセンター内の冗長化ではなく、遠隔地データセンター同士の 冗長化。その上、災害時、瞬時に切り換わります。 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ https://itec.ad.jp/━━━ ---------------------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.1897 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記 事のみならず、用語解説や統計などもお届けしています。 2022年最初の定期号となる本号では、新春恒例企画であるJPNIC役員による 「2022年のインターネットキーワード」をお届けします。2022年を見通す上 で、参考になりますと幸いです。 また、インターネット用語1分解説では、TCPの問題点を改良したトランス ポートプロトコルである「QUIC」について解説しています。 2022年も皆さまにとって役立つ情報発信を心がけてまいりますので、引き続 きご愛読のほどお願い申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 1 】特集 「2022年のインターネットキーワード」 【 2 】インターネット用語1分解説 「QUICとは」 【 3 】統計資料 1. JPドメイン名 2. IPアドレス 3. 会員数 4. 指定事業者数 【 4 】イベントカレンダー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 1 】特集 「2022年のインターネットキーワード」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 新年を迎え、皆さまにおかれましては、心穏やかにお過ごしのことと存じま す。 コロナ禍については予断を許さない状況が続いていますが、それでもこの年 末年始は、「2022年こそは、いい年にしたいね。」といった内容の言葉を見 聞きする機会が多かったように思います。JPNICは2022年も、インターネット の基盤を支え、インターネットが利活用される社会に暮らす皆さまの2022年 が、より良い年になるお手伝いができればと思います。 本年最初の定期号の特集は、恒例のJPNIC役員による「2022年のインターネッ トキーワード」です。2022年を見通す上で、参考にしていただけますと幸い です。 ◇ ◇ ◇ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 後藤 滋樹 (JPNIC理事長/早稲田大学 名誉教授) ◆ 2022年のInternet Keyword:「『安いニッポン』から脱出せよ」 [理由] 日本が「現状維持」を続けている間に、周囲の各国は経済成長を遂げ た。今では物価も給料も「安いニッポン」である。私のような団塊の 世代は、幼年時代から長期間にわたって成長する日本の姿を見続けて きた。現在のように停滞している日本を見ると、昔に戻ったような感 慨に浸る。それと同時に残念に思うこともある。 日本が伸びた時代には、先行する技術を徹底的に調べた。日本人は発 明しないが改良すると評された。日本が得意なのはキャッチアップ、 模倣と言われた。これを悪口として聞くべきではない。昔は日本とし ての明確なビジョンを掲げていた。当時に比べて、現在の日本人の視 野が狭くなっているのではないか。 以前のようには先行指標が明白ではない。また一つの新製品・新サー ビスだけで一世を風靡することは稀である。さらに国や地域によって 制度・環境の緒条件が異なる。それでも成長している国は枚挙に暇が ない。日本人は世界第二位に到達した時に、好奇心を失ってしまった のだろうか。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 江崎 浩 (JPNIC副理事長/東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授) ◆ 2022年のInternet Keyword:「道徳なき経済は罪。経済なき道徳は 寝言。」 [理由] 二宮尊徳の言葉だそうです。江戸時代に、窮地に陥った藩の立て直し をされた再建請負人だったとのことです。次期の最高紙幣に掲載され る渋沢栄一の「論語と算盤」も同様の教えだと思います。すべてのモ ノ・コトには、良い面と悪い面が存在する。重要なのは、「どのよう に利用するのか?」。その際には、倫理観を持ちつつ、成長や楽しさ が実現されなければならない。インターネットの原点に立ち返り、 「論語と算盤」の両立がJPNICのミッション&バリューにできますよう。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 野村 純一 (JPNIC副理事長/株式会社ゲンザイ) ◆ 2022年のInternet Keyword:「生産性とインターネット」 [理由] 日本の生産性が長らく停滞していることは、大きな問題です。それに はさまざまな要因がありますが、インターネットという観点でも深い 関わりがあると言えます。適切にインターネットを使えば、生産性向 上に寄与することは間違いありません。 一方で、活用するのは人間ですので、インターネットをどう使うのか、 何を目的に何を得るのか、が適切でなければ、単なる効率化はできて も、真の価値を生み出すには至らないということです。人々(我々)が その点に気付くことが大切でしょう。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 石田 慶樹 (JPNIC理事/日本ネットワークイネイブラー株式会社 代表取締役社長) ◆ 2022年のInternet Keyword:「ガバナンスへの原点回帰」 [理由] 「インターネット・ガバナンス」が国連でトピックとなってから、あ と3年で20年となります。その間、紆余曲折の中で、多くの課題が解決 されないまま、さらには複雑化・混沌化していく中で、インターネッ トは止まることなく動き続けています。さらに、インターネットを支 えるあらゆる組織も荒波に翻弄されつつ事業を継続しています。そし てこのような状況下では、一旦綻びが出ると坂道を転げ落ちるように 破綻に至るのも無理からぬところです。そのような事態を招かないた めにも、組織のガバナンスという原点に立ち戻らなければならないタ イミングが来ています。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 伊藤 公祐 (JPNIC理事/株式会社JVCケンウッド) ◆ 2022年のInternet Keyword:「仮想空間の現実」 [理由] 2009年に「アバター」という映画がヒットしたのは一昔前のことのよ うに感じますが、当時はあまり一般的には広まらなかったように思い ます。しかし、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが増え、 それが単なるリモートワークに留まらず、仮想空間のビジネスイベン トやバーチャルオフィスに出社するといったことも増えてきた印象が あります。実際、FacebookがMetaと社名変更したり、XR系ベンチャー があちこちで起業したりと、2009年当時とはかなり違うフェーズに入っ たように感じます。この仮想空間にもう一人の自分を置いてソーシャ ル活動を行う環境を支えるのはインターネットであり、このインター ネットの秩序・道理が現実に与える影響を考慮した環境整備が求めら れ始めると考えました。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 岩谷 理恵 (JPNIC理事/株式会社日本レジストリサービス 総務本部 本部長) ◆ 2022年のInternet Keyword:「リモートでのコミュニケーション」 [理由] この2年は世界/社会がさまざまに変化し、生活様式も変化していく状 態を体感しています。場所を選ばず働いたり、勉強できたりするよう な環境、仕組みも一気に広がりました。直接顔を合わせないリモート での交流は良い面、悪い面両方ありますが、これを種にしたビジネス も徐々に産まれてきています。来年、再来年にはまた違った世界や仕 組みの中で日々を過ごすことになるかな、と不安と期待を感じつつ、 柔軟に臨機応変に対応していくことが重要だと思っています。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 宇井 隆晴 (JPNIC理事/株式会社日本レジストリサービス 取締役 企画本部長) ◆ 2022年のInternet Keyword:「持続可能なネット経済圏」 [理由] 暗号資産の取引拡大、NFTによる新たなデジタル価値の創出、デジタル 通貨実用化の動き、電子決済の広がりと購買情報などの個人情報の取 り扱い、情報銀行のような情報活用の価値化、マイナンバー活用や電 子行政などのデジタル政策推進、経済安全保障と規制等による地域的 経済圏の防衛。 グローバルなネット経済圏の持続可能な発展は、どのような道のりの 先にあるのでしょうか。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 佐々倉 秀一 (JPNIC理事/エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ 株式会社 常務執行役員 データプラットフォームサービ ス部長) ◆ 2022年のInternet Keyword:「社会基盤の変化とモバイルアクセス」 [理由] 2021年はCOVID-19によって急激に変化を強いられた社会情勢/生活基 盤を受け入れ、試行錯誤と共にニューノーマルとして定着させてきた 年だったと言えます。その営みの中で、特に存在感/必要性を感じる ようになったのが「モバイル」ではないでしょうか。これまでもスマー トフォンの進化と共に拡大してきましたが、ここにきて、個人を意識 した働き方改革/IoTによるデジタル進化、といったビジネス分野にお ける必要性/重要性が認識されたことで、ラストワンマイルとして欠 かせない存在となってきています。 2022年は「5G」の本丸といわれる「SA方式」も本格的に展開されるこ とが予定されており、これまでの速さだけではないさまざまな活用が 期待できる環境が整ってくると思いますので、その流れを受けてイン ターネットの役割も大きく飛躍してくるのではないかと期待していま す。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 曽根 秀昭 (JPNIC理事/東北大学) ◆ 2022年のInternet Keyword:「リモート コミュニケーション」 [理由] 去年の初めには、リモートが社会インフラになっちゃったよねと思っ ていましたが、その環境でずっと過ごしてくると、社会を作ってコミュ ニケーションするのが人間の特長をもたらす基であるはずなのに、リ モートでそれがうまくいってるのかと、ときどき不安になるようにな りました。リモートを取り入れた社会活動は、しばらくは廃れないだ ろうと感じています。多様なメンバー、多様なリモート環境でのコミュ ニケーションと活用をみんなで手助けしていかないと、社会が続かな いよなと心配にもなります。うまく発展しますように。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 鶴 昭博 (JPNIC理事/日本ネットワークイネイブラー株式会社 常務取締役) ◆ 2022年のInternet Keyword:「深化」 [理由] 2011年6月の「World IPv6 Day」から10年が経ち、昨年には日本におけ る固定系アクセス網のIPv6普及率は8割を超えるに至りました。アクセ スインフラとしてIPv6普及が加速した要因はいくつかあると思います が、ネットワークの適材適所でIPv4/v6共存環境の整備が進んだことも その一つだったのではないでしょうか。 2022年の干支は「壬寅(みずのえとら)」で厳しい冬を越え、新しい成 長の礎となる年という意味があるそうです。今後、インターネットの 次世代運用規格とも言われたIPv6ならではの利用用途が拡大していく ことを期待したいと思います。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 中村 素典 (JPNIC理事/京都大学 情報環境機構 教授) ◆ 2022年のInternet Keyword:「eKYCの普及と活用」 [理由] eKYC (electronic Know Your Customer)とは、ユーザの本人確認手続 きをインターネット上でオンライン完結させるための仕組(概念)のこ とであり、金融機関等の事業者を中心に導入が始まっています。2018 年末の犯罪収益移転防止法改正により、スマートフォンなどで顔写真 や身分証明書などを撮影することにより、口座開設等の際に金融機関 の窓口での手続きや書面の郵送を省略することが可能となりました。 eKYCが導入されるとユーザの利便性が上がるだけでなく、事業者側の コスト削減、サービス品質向上、ユーザのより正確な把握と個人情報 のセキュリティ確保などにもつながります。昨今のSNS/C2Cサービスの 普及により、eKYCは金融機関に限らずあらゆるサービスにおいて需要 が増えており、COVID-19により対面による活動に制約が生じたことで、 その期待はますます高まってきています。 本人確認の方法には、撮影された顔写真や身分証明書を直接確認する 他にも、公的機関や他の事業者による本人確認済みの情報とオンライ ンで連携する方法(いわゆるID連携)もあり、このようなeKYCのための 連携基盤の整備と活用はこれからますます重要になっていくでしょう。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 橋川 和利 (JPNIC理事/ケーブルテレビ徳島株式会社) ◆ 2022年のInternet Keyword:「地方からのデジタル実装」 [理由] 地方においては、少子高齢化や人手不足等の課題解決策として、5G、 AI、AR、4K8K映像等によるデジタル化が期待されています。農業分野 のスマート化や医療分野での遠隔診療など、多くの分野で実用化に向 けて推進されていくでしょう。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 長谷部 克幸 (JPNIC理事/日本電信電話株式会社 技術企画部門 担当部長) ◆ 2022年のInternet Keyword:「レジリエンス」 [理由] 2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大から、早くも二年が経過し ようとしています。この二年間で生活や社会、経済活動の維持・継続 における脆弱性が明らかになってきました。今後、新たな感染症の流 行や激甚化する自然災害の発生などの有事となっても、生活や経済へ の影響を最小限に抑えつつ、社会機能を継続できる強靭性を確保する ためには、デジタル化のさらなる促進に加え、デジタル田園都市国家 構想等によるデジタルデバイド環境の解消と、分散型ネットワーク社 会を可能とするレジリエントなデジタルインフラ・システムの確立が 必要となります。 2022年は、レジリエントなデジタルインフラ・システムの確立と新型 コロナウィルス感染症禍において減退したビジネスのレジリエンス、 そしてサイバーレジリエンスと三つのレジリエンスにおいて大きな転 機となる年になるでしょう。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 馬場 聡 (JPNIC理事/北海道総合通信網株式会社) ◆ 2022年のInternet Keyword:「Beyond X」 [理由] 『Beyond 5G』を推進戦略に挙げられている省庁もあり、次世代の情報 通信基盤がどう変革していくのか興味あるところではありますが、 『X』にはめ込まれるキーワードは他にもさまざまあると感じていま す。例えば『COVID-19』。変異株や新たなウイルスの脅威にさらされ る可能性もあります。それに備えるために何をしなければならないの か、これまでの知見をどう活かしていくのか。また、リモートワーク に代表される社会・経済や生活様式の変革を国内外でどう受け止め、 さらなる変革をどのように推進していくのか。それが問われる2022年 になると思います。第6波が来ないことをこよなく願う今日この頃で す。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 藤崎 智宏 (JPNIC理事/エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ 株式会社) ◆ 2022年のInternet Keyword:「時代を支える通信インフラとしてのイン ターネットとIPv6」 [理由] コロナ禍の収束がなかなか見えない中、社会を支える通信インフラと してのインターネットの重要性は増大しています。基盤プロトコルと してのIPv6利用も拡大しており、国内でも通信基盤をIPv6 Onlyで構築 するという動きも出てきました。 一方で、IPv4通信の品質低下も課題になり始めており、さらなるIPv6 対応は急務です。いろいろな観点から、IPv6導入が更に進展するよう、 これまで以上に注力したいと考えています。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 穂坂 俊之 (JPNIC理事/株式会社QTnet 執行役員 経営戦略本部 経営企画部長) ◆ 2022年のInternet Keyword:「地方の奮起」 [理由] デジタル化を進めて地方と都市の格差を解消し、地方の活性化をめざ す「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、政府において各種施 策の取りまとめが進んでいます。大きな予算が投入され、大量のデジ タル人材の育成にも取り組むということですから、政府の力の入れよ うも分かるというものですが、肝心の地方がこの流れにどれだけ呼応 し、成果を出せるのかが問われているとも言えます。 今こそ地方の「腕の見せ所」ではないでしょうか。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 松崎 吉伸 (JPNIC理事/株式会社インターネットイニシアティブ 基盤エンジニアリング本部 運用技術部 技術開発課) ◆ 2022年のInternet Keyword:「コミュニティでできること」 [理由] COVID-19の感染拡大が世界的に続き、多くのコミュニティ活動がオン ラインに移行したり、縮退しての活動を余儀なくされています。イン ターネットの運用はさまざまなコミュニティ活動によって支えられて いるところが大きく、こうしたコミュニティ活動が活発に行える環境 が重要です。 インターネットは多様に活用されているので、インターネットの安定 的な運用はますます重要になってきています。そうした活用を支える ためにも、これまでコミュニティが果たしてきた役割を見つめ直し、 より良いインターネットの運用に向けてその活動を活性化させていく 必要があります。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 三膳 孝通 (JPNIC理事/株式会社インターネットイニシアティブ) ◆ 2022年のInternet Keyword:「持続可能」 [理由] オミクロン株の出現からも判るように、新型コロナウイルス感染症禍 の収束は未だ見通せない状況である。もちろん感染症だけに限らず、 環境問題や高齢化など現代社会が抱えるさまざまな課題は、今まで合 理的と考えられてきた社会のさまざまな構造の再構築を求めている。 持続可能な社会を実現するためには、インターネットを始めとするコ ミュニケーション技術もその重大な一翼を担うことを期待されており、 社会およびインターネット自身にも課せられた変革を確実に行ってい くことが大切な年になるであろう。寄せられた期待はあまりにも大き い。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 脇山 俊一郎 (JPNIC理事/仙台高等専門学校 総合工学科・教授) ◆ 2022年のInternet Keyword:「誰一人取り残されないための取組」 [理由] コロナ禍がもたらした困難な状況において、インターネットはリモー トワークや遠隔授業をはじめ、さまざまな社会的な営みを継続してい く基盤として重要な役割を果たしてくれました。オンライン化・デジ タル化の流れを受けて、政府はデジタル基盤の力により、地方の魅力 をそのままに、地方にも都市に負けない利便性と可能性をもたらそう とする「デジタル田園都市国家構想」を展開しようとしています。デ ジタル化による利便性向上が図られる中、さまざまな事情からそれを 活用することが難しい人々との格差がますます顕在化していくことが 懸念されます。構想の柱には「誰一人取り残されないための取組」が 掲げられており、そこにどのようなアイディアが示され実現されてい くかが大事と感じます。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 青木 邦哲 (JPNIC監事/株式会社ASJ 専務取締役 最高執行責任者) ◆ 2022年のInternet Keyword:「AIとガバナンス」 [理由] 2021年は、コロナ禍の影響によりビジネスに大きな混乱が続きました。 そのような環境下でさまざまなデータを蓄積し、AI(人工知能)導入へ の投資を促進する企業が増えてきました。まだ、試行錯誤を繰り返し ながら精度を上げていく段階ではあると思いますが、大きく前進した 年だったと感じています。2022年は、AIを活用した製品やサービスの 重要性がさらに高まり、そして増えていく中で、まだ取り組みが進ん でいないAIのガバナンス強化が大きく進むと考えております。AIの開 発・運用・推進だけでなく社会全体への影響を考える監視組織などに も期待しています。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 高宮 展樹 (JPNIC監事/ビッグローブ株式会社 執行役員 基盤本部 副本部長) ◆ 2022年のInternet Keyword:「メタバースへのシフト」 [理由] GAFAMが「メタバース」へシフトしている。新たなプラットフォームビ ジネスの幕開けである。Second Lifeの頃とは違い、スマホやVRゴーグ ルなどのハイエンドなデバイス、コロナ禍でオンライン前提のコミュ ニケーションの浸透によりメタバースの広がりの下地はできており、 これからの市場拡大に期待できる。インターネットの覇権争いは本当 に目まぐるしい。 これまでゲーム市場でメタバースを牽引してきた日本の事業者には大 いに期待したいし、我々も新たな価値創造に貢献していきたい。 └─────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────┐ ◆ 西脇 孝博 (JPNIC監事/富士通株式会社 ネットワーク&セキュリティ サービス事業本部 エグゼクティブディレクター) ◆ 2022年のInternet Keyword:「SDGsに対応したサステナブルな ビジネス」 [理由] 2021年はコロナ禍において新しいワーク&ライフスタイルが当たり前 となり、業務においてはデジタル化を一歩一歩進めてきた1年でした。 2022年はDX化が進展しデータの重要性はますます高まると思いますが、 それと同じくらい社会課題に対応したビジネスが求められると感じて います。通信ネットワークやデータセンターのCO2削減はもちろんです が、サービスや製品はバリューチェーン全体の低炭素な循環型ビジネ スが求められると考えています。 └─────────────────────────────────┘ ◇ ◇ ◇ インターネットの最先端で活躍しているJPNIC理事/監事による、今年注目す べきポイントは、いかがでしたでしょうか。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本特集のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1897/7c12b97b99f8c6a165cc8acf15597585 ┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1897/9c29881ddbeefeb4f47705ba6efc7b8d ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 2 】インターネット用語1分解説 「QUICとは」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ QUICとは、UDPを用いて高速化しつつ、TCPのような通信の信頼性を提供する トランスポートプロトコルです。TCPにはない接続確立時間の最小化、通信経 路やIPアドレスが切り替わったときの通信継続、TLSによる暗号化、先行する コネクションの処理待ち(Head-of-Line Blocking)の回避など、さまざまな機 能が提供されており、RFC 9000を中核に、RFC 9001、9002 など、複数のRFC によって標準化されています。 QUICは、2013年頃からGoogle社が同社のサービスを提供する際に、高速化を 目的として独自に使用されていました。その仕様が標準化のため2016年IETF へ提案されました。その後IETFでの議論によりさまざまな修正や機能追加が 行われ、多目的に利用できる新しいトランスポートプロトコルとして2021年 に標準化されました。 現在ではQUICを前提とした多様な新しいプロトコルが提案されています。例 えば、HTTPの新しいプロトコルであるHTTP/3は、QUICをトランスポートとし て標準化が進められています。 ■ 参考 RFC 9000: QUIC: A UDP-Based Multiplexed and Secure Transport https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc9000.html draft-ietf-quic-http-34 - Hypertext Transfer Protocol Version 3 (HTTP/3) https://datatracker.ietf.org/doc/draft-ietf-quic-http/ QUIC, a multiplexed transport over UDP - The Chromium Projects https://www.chromium.org/quic QUIC (quic) https://datatracker.ietf.org/wg/quic/history/ 201402 QUIC @ Google Developers Live - Google スライド https://docs.google.com/presentation/d/13LSNCCvBijabnn1S4-Bb6wRlm79gN6hnPFHByEXXptk/present#slide=id.g176a9a2e9_0143 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 3 】統計資料 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1. JPドメイン名 o 登録ドメイン数(2021年8月~2022年1月) -------------------------------------------------------------------------------------------- 日付| AD AC CO GO OR NE GR ED LG GEO GA GJ PA PJ TOTAL -------------------------------------------------------------------------------------------- 8/1|253 3749 451102 637 38738 12784 5576 6200 1896 2128 1028646 88831 9861 1632 1652033 9/1|253 3756 452101 646 38776 12776 5559 6199 1896 2124 1032874 88571 10008 1723 1657262 10/1|252 3762 453326 657 38843 12760 5542 6230 1896 2123 1037259 88340 10092 1727 1662809 11/1|252 3767 454588 661 38894 12779 5531 6239 1895 2122 1041516 88185 10157 1738 1668324 12/1|250 3769 455585 662 38947 12760 5522 6255 1895 2118 1046709 88081 10150 1778 1674481 1/1|250 3779 456727 679 39045 12766 5516 6258 1895 2117 1051797 87921 10190 1733 1680673 -------------------------------------------------------------------------------------------- GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字) GJ:汎用ドメイン名 日本語 PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字) PJ:都道府県型ドメイン名 日本語 2. IPアドレス o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数 (2021年7月~2021年12月) ------------------------------------------ 月 | 割振 | 返却 | 現在の総量 ------------------------------------------ 7 | 1024 | 0 | 92228232 8 | 49664 | 46592 | 92231304 9 | 1536 | 0 | 92232840 10 | 1024 | 0 | 92233864 11 | 17408 | 16384 | 92234888 12 | 0 | 0 | 92234888 ------------------------------------------ □統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/ 3. 会員数 ※2022年1月14日 現在 --------------------- 会員分類 | 会員数 | --------------------- S会員 | 3 | A会員 | 0 | B会員 | 2 | C会員 | 3 | D会員 | 91 | 非営利会員| 9 | 個人推薦 | 29 | 賛助会員 | 44 | --------------------- 合計 | 181 | --------------------- □会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ 4. 指定事業者数 ※2022年1月12日 現在 IPアドレス管理指定事業者数 483 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 4 】イベントカレンダー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2022.1.24(月) IGF 2023に向けた国内IGF活動活発化チー ム第13回会合(オンライン) 2022.1.26(水)~28(金) JANOG49 (鹿児島県、川商ホール) 2022.1.28(金) IEEE SAおよびIETFにおける標準化とデー タリンク層に関する勉強会 (オンライン) --------------------------------------------------------------------- 2022.2.1(火) JPNICトークラウンジ第5回 (オンライン) 2022.2.3(木) IGF 2021報告会 (オンライン) 2022.2.14(月)~16(水) NANOG 84 (Austin, U.S.A.) 2022.2.14(月)~21(月) JPNIC技術セミナー(オンライン) 2022.2.21(月)~3.3(木) APRICOT 2022/APNIC 53 (South Asia) 2022.2.22(火)~25(金) APTLD81 (Laoss、Socialist Republic of Vietnam) --------------------------------------------------------------------- 2022.3.2(水) AP* Retreat (オンライン) 2022.3.7(月)~10(木) ICANN73 (San Juan, Puerto Rico) 2022.3.7(月)~11(金) APAN53 (People's Republic of Bangladesh) 2022.3.19(土)~25(金) IETF 113 (Vienna, Republic of Austria) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ◇ ◇ ◇ メールマガジン以外でも、情報を発信しています! 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