━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1979【臨時号】2023.2.6 ◆ _/NIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.1979 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ マレーシア・クアラルンプールで開催された第75回ICANN会議を受けて、恒例 となる第65回ICANN報告会を開催しました。今回のICANN会議でも、新gTLD関 連やDNSの不正利用に関する話題が取り上げられたほか、TLDやSLDでの多言語 ラベルの利用に関する検討などが紹介されました。 なお、本報告会の資料と動画をJPNIC Webで公開しておりますので、こちらも 併せてご参照ください。 第65回ICANN報告会 https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20221020-ICANN/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第65回ICANN報告会レポート JPNIC インターネット推進部 藏増明日香 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2022年10月20日(木)に、第65回ICANN (The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)報告会をオンライン形式で開催いたしました。 報告の対象となった第75回ICANN会議(以下ICANN75)は、2022年9月6日(火)か ら9日(金)にPrep Week(会期前インプットセッション)が、本会議が9月17日 (土)から22日(木)に開催されました。開催地はマレーシア・クアラルンプー ルで、現地とオンラインとのハイブリッド開催の形式で行われました。 ■ プログラム 今回のICANN報告会のプログラムは、次の通りでした(話者敬称略)。 1. ICANN75会議概要報告 ICANNジャパン・リエゾン 大橋由美 2. 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告 株式会社日本レジストリサービス 高松百合 3. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告 総務省 総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 森下大 4. TLDでの1文字IDN及びSLDでの日本語ドメインラベルについて 株式会社日本レジストリサービス 堀田博文 5. GNSOレジストリ・レジストラ部会報告 株式会社インターリンク ジェイコブ・ウィリアムズ 6. 次期新gTLD申請手続きポリシー検討状況報告 GMOブランドセキュリティ株式会社 寺地裕樹 7. ICANN理事会に関する報告 JPNIC 前村昌紀 それぞれの報告の内容について、以下、簡単にご紹介します。 ■ ICANN75会議概要報告 ICANNジャパン・リエゾンの大橋氏からは、会議概要に関連し、開催地や参加 者数(マレーシア・クアラルンプール開催、現地参加とリモート参加合わせて 1,957人の参加)等を報告していただいた他、会議中に注目を集めたトピック として以下のトピックについて紹介していただきました。 ・Internet Fragmentation(インターネットの分断)回避をめぐる議論(プレナ リー/全体セッションにて) ・ルートゾーンラベル生成ルール(LGR)第5版へのスクリプトの追加 ・ユニバーサルアクセプタンス(UA) ・APAC Spaceでのトピックの紹介 ・ICANNによるマルチステークホルダーモデルの効率強化に向けた プロジェクト ・DNS Abuse ■ 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告 ccNSOに関しては、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)の高松氏より、 ICANN75におけるccNSOの会合についてご紹介いただいた他、2017年より検討 が続けられてきた、ccTLDの委任終了のための手続きに関する進捗状況につい てご報告いただきました。ccTLDの委任を終了させる際の手続きは、2017年3 月から検討作業を進めてきた作業部会(WG)のPart 1の検討結果がICANN75にお いて理事会で承認されたため、大きな区切りとなったとのことでした。同WG は今後、WGによる作業Part 2として、プロセスのレビュー方法が検討される とのことです。 また高松氏からは、食品の産地等を示す地理的表示(Geographical Indications、GI)を、ドメイン名や紛争処理の仕組みの中で保護していく動 きがあることをご紹介いただいた他、ユニバーサルアクセプタンスに関する ccNSO内の情報共有結果についてご報告いただきました。 ■ ICANN政府諮問委員会(GAC)報告 総務省データ通信課の森下氏からは、ICANN75でのGACにおける話題を中心に 発表いただきました。ICANN75でのGAC会合では、日本政府としてのDNS不正利 用への取り組み状況や、ICANNへの提案に関する発表を行ったそうです。発表 内容に対して寄せられた意見や、その他DNSの不正利用への対策として会場に て示された案をご紹介いただきました。DNSの不正利用対策に関する内容は、 ICANN75 GACコミュニケにも盛り込まれました。 森下氏からは他に、Closed Generic (独占利用が認められる一般用語からな る)TLDを認める場合の枠組みについて話し合うために、理事会によってGAC、 GNSOおよびAt-Largeが招集され、議論が行われたこと等が報告されました。 その他GAC関連の話題として、ICANN76をもって現GAC議長のManal Ismail氏が 退任となるためGAC議長が交代すること、副議長も5名中2名が交代となること が報告されました。 ■ TLDでの1文字IDN及びSLDでの日本語ドメインラベルについて JPRSの堀田氏からは、1文字のトップレベルドメイン名(TLD)に関する検討状 況と、セカンドレベルドメイン名(SLD)への日本語ラベルの導入の検討状況に ついて、ご報告いただきました。 これまで、1文字のTLDは認められていませんでした。ですが、2021年より稼 働していたIDN EPDPのWG(作業部会)が、その中間報告において、1文字でも単 独で意味を持つ漢字については、1文字のTLDでの使用を認めるべきとの判断 を示しました。 これを受けて、ICANN75会期中に、漢字を使用するCJKの三つの生成パネル(C/ 中国、J/日本、K/韓国のGeneration Panel/生成パネル)が、1文字TLD解禁に 向けたルール作りに向けて意見交換を行ったとのことであり、堀田氏には意 見交換結果や、今後のスケジュールの見込み等についてご報告いただきまし た。堀田氏は本件について、日本語コミュニティからの意見を歓迎すると話 されていました。 堀田氏からは他に、SLDでのIDNラベル導入のための、ルールの検討がICANNで 進められている件についてご報告いただきました。日本語IDNのためのルール については、旧JGP (TLDにおける日本語ラベルのためのルールを検討した「日 本語生成パネル」(Japanese Generation Panel/JGP)にICANNから非公式なが ら打診があり、これから詳細を詰めていく段階にあるとのことでした。本件 についても、日本語コミュニティからの意見を歓迎するとのことでした。 ■ GNSOレジストリ・レジストラ部会報告 GNSOレジストリ・レジストラ部会に関しては、インターリンクのジェイコブ・ ウィリアムズ氏から、ICANN75におけるレジストリ・レジストラ関連会合での トピックとして、以下をご紹介いただきました(いずれも、レジストリ・レジ ストラ両方の部会でのトピック)。 ・Registration Data IRT ・IDN EPDP ・Transfer Review Policy PDP ・DNS Abuse ・レジストリ契約・レジストラ契約の改訂 Registration Data IRTは、gTLDの登録者情報について、収集、転送、公開の 手順を定めたポリシー(Registration Data Consensus Policy)の案について、 実施に向けて検討が進められている件です。gTLDにおける登録者情報の公開 データベース(WHOIS)は、GDPRの影響を受けて暫定の仕様(Temp Spec)での運 用となっていましたが、正式にポリシー化する必要があり、作業が進められ、 2022年秋に案が示され意見募集が行われていました。その後、意見募集期間 は終了し、最近寄せられた意見が公開されています。ウィリアムズ氏による と、2023年の第2四半期頃にポリシー実施が開始され、2024年の第4四半期頃 に実施完了の見込みとのことでした。 IDN EPDPについては、TLD IDNとSLD IDNでは対象課題が少し異なるため、TLD に関するレポートとSLDに関するレポートは分けることになることが説明され ました。IDN EPDPについては、ICANN75では簡単な報告に留まったとのことで す。 DNS Abuseやレジストリ契約・レジストラ契約の改訂に関しては、DNS Abuse 対応をきちんと行っていないと思われるレジストラもあることから、DNS Abuseが発生した際のレジストラの義務(採るべき行動)を明確化するよう、レ ジストラ契約を改訂できないかとの意見がレジストラの一部から出て、ICANN に改訂を提案する予定となっており、レジストリも協力姿勢とのことです。 レジストラ契約・レジストリ契約の改訂については、WHOISからRDAPへの移行 予定の関係で、改訂が予定されており、近くレジストリ・レジストラにICANN から改訂案の説明が行われ、同改訂を受け入れるか否かについて、レジスト リ・レジストラは投票を行う予定となっているとのことでした。 ウィリアムズ氏からは他に、現在行われているレジストラ間移管ポリシー(ド メイン名登録者が保持するドメイン名の登録先レジストラを、他のレジスト ラに変更する際のルールを定めたポリシー)のレビュー作業の進捗状況および 2022年11月開催の、CONTRACTED PARTIES SUMMIT(旧GDDサミット)で取り上げ られるトピックについてご報告いただきました。 ■ 次期新gTLD申請手続きポリシー検討状況報告 GMOブランドセキュリティの寺地氏からは、次期新gTLD申請手続き(SubPro)に 関する進捗状況が報告されました。 SubProについては、GNSOからの勧告に基づき、今後の予定を整理する運用設 計フェーズ(ODP)が2022年1月から行われています。この作業は、2022年秋の 時点で2ヶ月ほど遅れているとのことで、現実の開発を進める次のステップと なるStage 2では、さらに遅れが生じるのではないかとのことでした。 寺地氏からは他に、次の申請ラウンドで申請を提出する場合の手順や、申請 文字列に競合が発生した際の解決方法(紛争処理、オークションの実施等)に ついてご説明いただきました。 ■ ICANN理事会に関する報告 ICANN75で2期6年の理事任期を終えたJPNICの前村から、ICANN理事会に関して 報告しました。通例通り、前回ICANN74ハーグ会議以降の、理事会の活動と理 事会決議を振り返った後、今回のAGMにおける理事会の陣容変更として、前村 を含む4人(前村の他に推薦委員会選出2名、RSSACリエゾン)が任期を終え退任 し後任に引き継がれたこと、新たな理事会では議長が3年間を務めたMaarten Botterman氏に替わりTripti Singha氏となったこと、副議長がLeon Sanchez 氏からDanko Jevtovic氏に交代したこと、さらに理事会委員会でも五つの委 員会においてチェアの交代があり、非常に大きな変化があったことが報告さ れました。 続いて2016年からの任期を振り返って、理事会の決議や出来事を振り返った 後、次第に複雑になり、政府の政策との関連性が深くなっていく中で、ICANN の重要性はますます高まってきていることを指摘し、任期中にいただいた皆 様からのご支援に対し、お礼を述べて結びました。 ■ 最後に 本メールマガジンでご紹介した第65回ICANN報告会については、資料と録画を 以下のWebページでご覧いただけます。 第65回ICANN報告会 https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20221020-ICANN/ 次回のICANN会議は、2023年3月11日(土)から16日(木)まで、メキシコ・カン クンにて、現地開催とオンライン開催のハイブリッド形式にて開催予定となっ ています。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ◇ ◇ ◇ メールマガジン以外でも、情報を発信しています! 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