━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.2010【臨時号】2023.7.13 ◆ _/NIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ---------- PR -------------------------------------------------------- ■■■ 来週開催!Internet Week ショーケース in 札幌 登録受付中!■■■ □□□┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2023/7/20(木)~21(金) □□□ ■■■┃Twitter : @InternetWeek_jp ┗━━━━━━━━━━━┓■■■ □□□┃Webサイト: https://www.nic.ad.jp/sc-sapporo/ ┃□□□ ■■■┃今回は現地開催とオンライン ハイブリッドでの開催です! ┃■■■ ---------------------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.2010 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メキシコ・カンクンで開催された第76回ICANN会議を受けて、恒例となる第66 回ICANN報告会を開催しました。今回のICANN会議でも、新gTLD関連やDNSの不 正利用に関する話題が取り上げられたほか、JPNICが提供する参加支援プログ ラムで選ばれたフェロー2名の方による、会議の参加報告が行われました。 なお、本報告会の資料と動画をJPNIC Webで公開しておりますので、こちらも 併せてご参照ください。 第66回ICANN報告会 https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20230412-ICANN/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第66回ICANN報告会レポート JPNIC インターネット推進部 藏増明日香 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2023年4月12日(水)に、第76回ICANN (The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)報告会をJPNIC会議室にて開催いたしました。 報告の対象となった第76回ICANN会議(以下ICANN 76)は、2023年3月11日(土) から16日(木)に開催されました。ICANN 76の開催地はメキシコのキンタナ・ ロー州カンクンで、会議は現地開催とオンライン開催とのハイブリッド形式 で行われました。 ■ プログラム 今回のICANN報告会のプログラムは、次の通りでした(話者敬称略)。 1. ICANN76会議概要報告 ICANNジャパン・リエゾン 大橋 由美 2. 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告 株式会社日本レジストリサービス 高松 百合 3. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告 総務省 総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 望月 俊晴 4. ICANN理事会に関する報告 JPNIC 前村 昌紀 5. GNSOレジストリ・レジストラ部会報告 株式会社インターリンク ジェイコブ・ウィリアムズ 6. 次期新gTLD申請手続きポリシー検討状況報告 GMOブランドセキュリティ株式会社 寺地 裕樹 7. フェローからの報告(1) サイボウズ株式会社 竹村 太一 8. フェローからの報告(2) 慶應義塾大学 大谷 亘 それぞれの報告の内容について、以下、簡単に紹介します。 ■ ICANN76会議概要報告 ICANNジャパン・リエゾンの大橋氏からは、会議概要(開催地や参加者数等)に ついて、現地参加とリモート参加合わせて165の国から2,019人の参加があっ たこと等が報告された他、会議中に注目を集めたトピックとして以下のトピッ クおよび議論の概要を紹介いただきました。 ・新gTLD次回募集(SubPro) ・Whois Disclosure System ・DNS不正利用 また大橋氏からは他に、2025年に予定される世界情報社会サミット(WSIS+20) に関するプレナリーセッションが開催されたことが報告されました。2003年 および2005年にチュニスにて開催されたWSIS会合にてデジタルデバイド等に ついて採択された成果文書がありましたが、その実施状況の確認(レビュー) が現在行われています。会合から20周年にあたる2025年に国連総会でレビュー 結果の確認が行われる予定となっており、これが「WSIS+20」と呼ばれている ものです。セッションではレビュー作業への関与方法や、マルチステークホ ルダーによるインターネットガバナンスの強化方法について、議論が行われ たとのことでした。 大橋氏からは他に、ICANNの次期事務総長兼CEOの採用に向けた取り組みと進 捗の詳細、また、2023年に日本を含むアジアで予定されているイベントの紹 介がありました。 ■ 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告 JPRSの高松氏からは、ICANN 76におけるccNSOの会合を紹介いただきました。 ccNSOでは、ccTLD委任終了手続きの検討が2017年より長らく行われていまし た。同作業については、作業部会(WG) のPart 1の検討結果がICANN75におい て理事会で承認されたため、その後WGの作業はPart 2に移行し、Part 2では ccTLD委任終了に異議等が出された場合のレビューの方法が検討されていま す。ICANN 76では最終日にccNSO評議会の会合があり、Part 2の最終報告書を 評議会が承認したとのことでした。 高松氏からは他に、ccNSOが設立20周年を迎え、ICANN 76では過去のccNSO議 長が参加して20年を振り返るセッションが開催されたことや、ccNSOにおける ユニバーサル・アクセプタンス(UA)への取り組み状況、ICANN 76でのUAに関 する議論について報告いただきました。 ■ ICANN政府諮問委員会(GAC)報告 総務省データ通信課の望月氏からはICANN 76でのGACにおける話題として、以 下のトピックを紹介いただきました。 ・DNS不正利用 ・新gTLDの次回ラウンド ・登録者情報の開示システム DNS不正利用に関しては、ICANN 76での会合でフィッシングが多いといった現 状や、不正利用への技術的な対応策が紹介されたことが報告されました。ま た、不正利用に関連してレジストリ契約(RA)/レジストラ認定契約(RAA)の改 正が計画されており、ICANN 76では改正に向けたICANNと契約当事者(レジス トリ・レジストラ)との交渉状況の報告があったことが紹介され、改正案につ いては意見募集も予定されているため、総務省として注視していく予定であ るとのことでした。 新gTLDの次回ラウンドに関するセッションに関しては、運用設計評価書(ODA/ Operational Design Assessment)やClosed Genericについて情報共有があっ たとのことです。 その他の話題としては、GACの議長および副議長に交代があったことを報告 いただきました。GAC議長については、5年5ヶ月にわたり議長を務めてきた Manal Ismail氏がICANN 76をもってGAC議長を辞任することとなり、セッショ ン中は会場からManal氏への感謝の言葉が寄せられたとのことでした。 ■ ICANN理事会に関する報告 ICANN 75までは理事として理事会に関する報告を行っていたJPNICの前村から は、現在も注視している理事会の状況と、アドレス支持組織(ASO)に関して報 告しました。 理事会では、2022年12月に6年余りCEOを務めたGoran Marby氏の辞任を受け て、Sally Costerton氏の暫定CEOへの指名、CEO探査委員会の設立と探査作業 の開始と、大きな動きがありました。ICANN 76ではCEO探査に関する意見聴取 セッションが行われるとともに、理事会では次期新gTLD申請手続きPDPの最終 報告書と、推薦委員会(NomCom)レビュー実装最終報告書が承認され、大きな 節目となりましたが、これらの概要が紹介されました。 ASOに関しては、感染症禍以降ICANN会議での活動が途絶えていたASO ACが3年 ぶりにカンクンに集結し、理事会との合同会議とワークセッションを持った ことと、合同会議でも話題に上ったAFRINICが機能不全に陥っている問題に関 して、ASO ACのアフリカ代表枠3名のうち2名が指名できていないこと、NRO (Number Resource Organization)からICANN理事会に対して本件対処に向けた 要請が公開書簡として出されていることに触れながら、説明されました。 ■ GNSOレジストリ・レジストラ部会報告 GNSOレジストリ・レジストラ部会に関しては、インターリンクのジェイコブ・ ウィリアムズ氏から、ICANN 76におけるレジストリ・レジストラ関連会合で のトピックとして、以下について紹介いただきました。 ○レジストラ部会のトピック ・レジストラ契約の改正(RAA契約改定) ・ドメイン名のレジストラ間移転に関するPDP ○レジストリ部会のトピック ・Registration Data Request Services(登録者情報開示サービス) ・レジストラ間移転PDP ・EDDPおよびERRP ・Registration Recovery Policyの見直し ・IDN EPDP ・次の新gTLD申請のラウンド関連 ・ICANN Orgからのアップデート (新gTLDレジストリ契約更新/データエスクロー) ウィリアムズ氏からは、これらのトピックに関する進捗状況について、ICANN 76での会合中行われた報告の概要を紹介いただきました。 他に、契約者会議(CPH)でのトピック(RDAP契約改正/DNS Abuse/Registration Data Request Service/RDRS、Add Grace Period(AGP)の見直し提案等)や、レ ジストラ間移転ポリシー、レジストリ契約(RA)およびレジストラ契約(RAA)に おけるAbuse関連の項目の改正に向けた状況について報告いただきました。 ■ 次期新gTLD申請手続きポリシー検討状況報告 GMOブランドセキュリティの寺地氏からは、次期新gTLD申請手続き(SubPro)に 関する進捗状況について、ODAと理事会の決議を中心に報告いただきました。 このうち、新gTLDへの応募については準備期間を5年と長めに設定して希望者 が一斉に応募するオプションと、準備期間を短く18ヶ月として1年ごとに申請 数の上限(400件)を決め、一つのサイクルが終わってから次のサイクル(応募 期間)へと移るといったオプションが検討されていることが報告されました。 申請方法の詳細について未定の部分がまだあり、開発や準備も必要となりま すので、現実の募集開始はまだ先の話となる見込みで、寺地氏曰く、「実際 の次期募集開始は早くて2025年度の第3四半期頃ではないか」とのことでし た。 寺地氏からは他に、SubProに関連しICANN 76での理事会によって採択された 内容の紹介をいただき、また、詳細が未定となっている点について説明いた だきました。 ■ フェローからの報告 サイボウズ株式会社の竹村太一氏および慶應義塾大学の大谷亘氏からは、 ICANN 76フェローとしてのICANN76への参加について報告いただきました。 フェロー派遣は、神戸にて開催されたICANN 64でのローカルホスト委員会の 剰余金を会議への若手派遣に活用するために設けられた、参加支援制度(*)を 利用して行われたものです。 (*) 参加支援のページ https://www.nic.ad.jp/ja/intl/fellowship-program/icann76.html 当初、フェロー派遣はICANN67にて予定されていましたが、新型コロナ感染症 の影響でICANN会議が連続してオンライン開催のみとなっていたことを受けて 延期が続いており、ICANN76にて実現いたしました。竹村氏および大谷氏両名 からは、現地にて参加したセッションの紹介や、実際に会議参加した感想に ついてお話しいただきました。 竹村氏からは、ICANNのFellowship向けのセッションに参加し、コンセンサス を達成することを想定した模擬議論に参加したことなどが報告されました。 何を言おうか考えている間に、言語の問題もあり、何も発言できないまま議 論が進んでしまったことや、後から「単語だけとか、Yes/Noだけでも発言し て欲しかった」と言われてしまい、発言しなければ何も採用されないことや 意見を表明することの必要性を痛感したこと等について報告されました。 大谷氏は、オンライン参加の場合は聞いているだけで済むものの、実際に会 議に現地参加してみると、他の参加者と議論や交流の際に互いに英語が母国 語ではない状況も多かったため、言語以外の意思疎通も必要となり会話のス キルが求められることや、自分から積極的に話しかける姿勢が求められると 感じたこと等が報告されました。大垣氏もFellowship向けのセッションに参 加してコンセンサス達成のための手法などを経験し、ICANN 76への参加経験 や得られた人脈、得られた知見を伝えたり、活用したりしていきたいと締め くくられていました。 ■ 最後に 本メールマガジンでご紹介した第66回ICANN報告会については、資料と録画を 以下のWebページでご覧いただけます。 第66回ICANN報告会 https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20230412-ICANN/ ICANN会議については、今月2023年6月に第77回ICANN会議が米国、ワシントン D.C.にて現地開催およびオンライン開催のハイブリッド形式で開催されまし た。同会議の報告会も7月下旬から8月上旬頃に開催を予定しておりますので、 ご興味のある方はぜひご参加いただければと思います。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ◇ ◇ ◇ メールマガジン以外でも、情報を発信しています! 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