━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.2092【臨時号】2024.7.19 ◆ _/NIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.2092 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今週末7月20日(土)には、第120回IETFミーティングの開幕を控えています。 そこで、前回会議のおさらいとして、2024年3月にオーストラリアのブリスベ ンで開催された第119回IETFミーティングの内容を前後編でお届けします。 前編では、会議概要、IABワークショップ、BoFなどについてお伝えしました。 後編となる本号では、IETFミーティングの中でも、新たな問題提起が行われ、 今後の本格的な活動につながり得る話題が集まるHot RFCについてご紹介しま す。 前後編ともに、JPNICブログでもお読みいただけます。発表資料などへのリン クも辿りやすくなっておりますので、ぜひブログでご覧ください。 JPNICブログ:IETF国際動向 - 第119回IETFより [前編] https://blog.nic.ad.jp/2024/9885/ JPNICブログ:IETF国際動向 - 第119回IETFにおけるHot RFC [後編] https://blog.nic.ad.jp/2024/9896/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ IETF国際動向 - 第119回IETFにおけるHot RFC JPNIC インターネット推進部/技術部 大谷亘 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 明日7月20日(土)から、第120回IETFミーティング(IETF 120)が始まります。 本稿では、IETF 120に向けたIETF 119のおさらいとして、2024年3月にオース トラリアのブリスベンで行われた第119回IETFミーティング(IETF 119)で行わ れたHot RFCの話題をお届けします。 Hot RFCのRFCはRequest for Conversationsの略で、BoFやWGを結成する前の 概念的な提案や、既知の問題点に対してインターネット標準でどのように解 決するべきかといった発表がライトニングトークの形式で行われるセッショ ンです。正式には「Hot RFC Lightning Talk」と呼ばれます。 アジェンダは以下のページで読むことができます。 HotRFC Lightning Talks at IETF 119 https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/agenda-119-hotrfc-sessa-04.html また、セッションの動画アーカイブはYouTubeで見ることができます。 IETF 119: Hot RFC Lightning Talks (HOTRFC) 2024-03-17 08:00 https://youtu.be/ZDH5eaIF_zc IETF 119では12件の発表がありました。本稿では、日本語に訳した各発表タイ トルと概要、スライドへのリンクを10件分ご紹介します。 ■ 対称鍵交換(SKEX) 安全な対称鍵(共通鍵)交換のためのフレームワークとプロトコルを確立し、 鍵交換システムをアプリケーションに統合するためのフォーマットとインタ フェースの合理化をめざす。 スライド: https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/slides-119-hotrfc-sessa-01-skex-00 ■ DDoSの傾向と防御に対する問題 ネットワークの規模と技術の発展に伴い、DDoS攻撃はより頻繁に、より大規 模に、よりインテリジェントになった。従来のシングルポイントなDDoS防御 システムにおける課題である。多くの人々がDDoSを防御するために、情報と リソース調整に関わることが重要。協調した防御をディプロイ する過程で、 協力するためのシグナリングや技術フレームワークなどを標準化する必要が ある。 スライド: https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/slides-119-hotrfc-sessa-02-ddos-trends-and-defense-issues-00 ドラフト: https://datatracker.ietf.org/doc/draft-cui-dots-extended-yang/ https://datatracker.ietf.org/doc/draft-cui-savnet-anti-ddos/ ■ ネットワークのための大規模言語モデル(LLM) GPTに代表される大規模言語モデル(LLM)は、機械翻訳やテキストから画像へ の生成などのさまざまな分野で目覚ましい性能の向上がある。LLMはその膨大 な数のパラメータのおかげで、大量の知識を記憶し、コマンドに基づいたツー ルを利用できる。LLMがネットワークでのタスクも支援できると考えている。 ネットワーキング領域におけるLLMの変革の可能性を探り、このトピックに関 する標準化の可能性について議論を行う。 スライド: https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/slides-119-hotrfc-sessa-03-large-language-model-llm-for-networking-00 ■ ルーティングネットワークにおける独立サービスID 多くの新しいアプリケーションが登場し、高度に分散化されたエニークラウ ドサービスの利用可能性とともに、いつでもどこでもネットワーク接続を確 立したいという要求が高まっている。このような要求は、全体的なパフォー マンスがアプリケーションの要件を満たすようにしながらも、オーバーヘッ ドなどのコストを下げるために、異なるプロバイダーが所有するネットワー クやクラウドの異なるドメインなど、異種エンティティを効率的に相互接続 する必要性をより高める。相互接続と効率的な調整の鍵は、同じサービスの 一貫した要件を導き出し、独自のポリシーと技術によってサービス・トラ フィックを適切に扱うことができる、相互運用可能な統一インタフェースを 採用することだ。 スライド: https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/slides-119-hotrfc-sessa-04-standalone-service-id-in-routing-network-00 ドラフト: https://datatracker.ietf.org/doc/draft-huang-rtgwg-us-standalone-sid/ ■ ネットワーク機器のためのアタックサーフェス管理 ネットワーク機器におけるアタックサーフェス管理のユースケースと定義を 提供し、そのためのYANGモデルを定義する。 スライド: https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/slides-119-hotrfc-sessa-05-threat-surface-management-for-network-element-00 ドラフト: https://datatracker.ietf.org/doc/draft-hu-network-element-tsm-yang/ ■ Universal Name System (UNS)とUniversal Certificate Authority (UCA) についてのアップデート 前回のIETF 118にて紹介したUNSとUCAについて、最新情報を提供する。 スライド: https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/slides-119-hotrfc-sessa-06-update-on-the-universal-name-system-uns-and-universal-certificate-authority-uca-00 ■ DNSを基にしたルート証明書再検証によるデジタルトラストの促進 ルート証明書の完全性はサイバーセキュリティの基盤である。しかし、なり すましや悪意のある、あるいは危殆化した証明書の拡散は、安全なデジタル 通信に重大なリスクをもたらす。本提案のDNSを基にしたルート証明書の再検 証は、専用の.cert/.certsドメイン名を活用してルート証明書の真正性を定 期的に検証する。脅威、アプローチ、詳細なプロセスの振り付け、および技 術的構成について概説することにより、革新的なDNSの使用を通じてデジタル トラストを促進するための重要な対話を行う。 スライド: https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/slides-119-hotrfc-sessa-hotrfc-dns-based-certificate-re-validation-00 ■ 人道的ICT 人道的ICTの概念を定義し、人権文書および国際人道法を支援するために重要 な作業・サービスに対する支援を優先するための範囲、重要性、およびメカ ニズムを定義する。人道的ICTの従事者、ウェブサイト、オンラインサービス の識別、および悪条件下でこれらのサービスを区別し優先順位付けする手段 として、クレデンシャルの使用を組み込んだAgent Discovery Profile (ADP) の使用に対処することをめざす。 スライド: https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/slides-119-hotrfc-sessa-08-humanitarian-ict-00 ■ エージェント発見プロトコル エージェント発見プロトコル(ADP)は、ドメイン内の関連サービスのシームレ スなディスカバリを可能にし、ウェブ上のエージェントインタラクションに 革命を起こすことを目的とする。ADPの主要な機能を紹介し、ウェブエージェ ントインタラクションを強化し、効率性を促進し、セキュリティを確保する 上で極めて重要な役割を果たすことを強調する。 スライド: https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/slides-119-hotrfc-sessa-09-agent-discovery-protocol-00 ■ ネットワーク資源の安全な通信 (SCONEPRO・旧称SADCDN) 安全なオンパス・プロトコルを使ったネットワークを介して受信したネット ワーク資源に対する受信者ベースの適応に基づいて、ストリーミング映像の ネットワークパフォーマンスとユーザー体験を改善する方法に取り組む。 スライド: https://datatracker.ietf.org/meeting/119/materials/slides-119-hotrfc-sessa-10-sconepro-02 ◇ ◇ ◇ 今回のHotRFCでは、注目が高まっているセキュリティやAIに関する提案や議 論だけでなく、ICTを社会的に活用する方法についてなども積極的に議論され ました。 技術者として単にプロトコルの開発や使用にとどまらず、それがいかに社会 的な影響を及ぼすのかについてもよく考えながら、最新情報をキャッチアッ プしたいところです。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ◇ ◇ ◇ メールマガジン以外でも、情報を発信しています! JPNICブログ https://blog.nic.ad.jp/ Twitter https://twitter.com/JPNIC_info YouTubeでは各種セミナー資料や解説動画などを公開しています https://www.youtube.com/@JPNIC_info ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本号のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃ https://feedback.nic.ad.jp/2092/984b761b53dce4d6a2724d93bf7333b2 ┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃ https://feedback.nic.ad.jp/2092/65a3afcb9226f422b33d610f9b09940f ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: https://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ JPNICへのご連絡/お問い合わせは極力電子メールでお願いします ━━ ■ 各種お問い合わせ先:https://www.nic.ad.jp/ja/profile/info.html ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JPNIC News & Views vol.2092 【臨時号】 @ 発行 一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-12-6 内神田OSビル4階 @ 配信先変更・停止 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/#regist @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には https://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ◇ JPNIC Webにも掲載していますので、情報共有にご活用ください ◇ 登録・削除・変更 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ バックナンバー https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/ ___________________________________ ■■■■■ News & ViewsはRSS経由でも配信しています! ■■■■■ ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/index.xml :::::  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ https://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2024 Japan Network Information Center