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JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.2097【臨時号】2024.8.8 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.2097 です
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第46回JPNICオープンポリシーミーティング(JPOPM46)が、2024年6月21日(金)
に開催されました。JPOPMは、JPNICとは独立したボランティアメンバーで構
成される、JPOPF運営チーム(JPOPF-ST)が主催しています。

今回はインターネット番号資源ホットトピックスや、2024年2月21日から3月1
日に開催されたAPNIC 57とそのフェローシップ体験談、世界から見たJPNICの
登録情報、RIR認定条件の改定議論、IPv4アドレスの移転と売買といった発表
が行われました。発表資料や議事録は、以下のURLで参照いただけます。

  第46回JPNICオープンポリシーミーティング開催のご案内
  https://jpopf.net/JPOPM46Program

関連するJPNICブログ記事としては、以下のものがあります。併せてお読みく
ださい。

  みんなとつくるアドレスポリシー -JPOPM46のご案内-
  https://blog.nic.ad.jp/2024/9809/

  APRICOT2024 / APNIC57 フォトレポート
  https://blog.nic.ad.jp/2024/9657/

  APNIC 57でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案のご紹介
  https://blog.nic.ad.jp/2024/9567/

  地域インターネットレジストリの統治機構に関する2023年のまとめと
  2024年の展望
  https://blog.nic.ad.jp/2024/9469/

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◆ 第46回JPNICオープンポリシーミーティング報告
                                                       JPOPF-ST 豊野剛
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2024年6月21日(金)に、第46回JPNICオープンポリシーミーティング(JPOPM46)
を開催いたしました。

JPOPMは、日本におけるインターネット資源のうちIPアドレス、AS番号といっ
た番号資源の管理ポリシーを検討・調整し、コミュニティにおけるコンセン
サスを形成するための議論の場です。年2回、JPNICとは独立した組織である、
JPOPF運営チーム(JPOPF-ST)の主催により開催しています。また、プログラム
は応募のあったポリシー提案や情報提供のプレゼンテーションを中心に構成
しており、今回は情報提供が7件ありました。今回は前回に引き続きオンサイ
ト開催に加え、リモート中継によるハイブリッドでの開催となりました。

■ 開催概要

  日時  :2024年6月21日(金) 14:00~18:00
  場所  :現地(アーバンネット神田カンファレンス)
          およびZoomによるハイブリッド開催
  主催  :JPOPF-ST
  出席者:現地出席者:13名 / リモート出席者:66名
  その他:X (旧Twitter)による参加が可能でした
  資料・議事録:https://jpopf.net/JPOPM46Program


■ 各発表の詳細

○WHOIS教室

JPOPF運営メンバーの中川あきらが、IPアドレスのWHOISについて、基礎的な
内容を説明するプレゼンテーションを行いました。WHOISの使い方や注意点を
初歩から解説しています。WHOISの使い方や仕組みについて学びたい初心者の
方々には、お薦めの内容です。当日は、この後の松崎氏による発表に関連す
ることもあり、初心者向けではないような高度な内容も含め活発な質疑応答
が飛び交いました。


○インターネット番号資源ホットトピックス

JPOPF運営メンバーの谷崎文義が、インターネット番号資源ホットトピックス
の発表を行いました。この発表はJPOPM32 (2017年11月開催)から続いている
取り組みで、インターネットに関する話題のうち、主に番号資源やポリシー
に関わるものや、その周辺で日本国内だとあまり話題になっていないものを、
ちょっと違った切り口で取り上げています。

今回は『IPv6普及・高度化推進協議会 (発展的)解散』『RIPE NCCで起こった
セキュリティインシデント』の2件が取り上げられました。

『IPv6普及・高度化推進協議会 (発展的)解散』では、2001年に設立され、
かつてのe-japan構想の推進からIPv6 Ready Logoのサーティフィケーション、
IPv4/IPv6共存技術やその普及などに関して数々の活動を行ってきたIPv6普
及・高度化推進協議会が、2024年5月に発展的解散を迎えたことが報告されま
した。協議会は解散となりましたが、活動の一部については、他のコミュニ
ティや業界団体に引き継がれます。

『RIPE NCCで起こったセキュリティインシデント』では、2024年1月に発生し
た、RIPE NCCの利用者アクセスアカウントが外部から侵入を受けた件につい
て報告されました。本インシデントでは、アカウント侵入を受けたネットワー
ク事業者は登録している経路情報の書き換え被害にあっており、実際にBGPの
経路が一時的に数千経路失われた様子などが報告されました。

また、本インシデントを受け、RIPE NCCではアカウントの2要素認証を必須に
するなどの体制強化をしており、その状況も紹介されました。

JPNICにおいても、ユーザーアカウントはパスワードおよび追加認証の管理
方式に変わりましたが、認証に関わるものは各人・各組織でしっかり管理す
ることが重要であるという点もあらためて共有されました。


○APNIC 57フェローシップ体験談

JPNICでは2015年から若手技術者・研究者に対して、国際会議参加にかかる
旅費交通費の補助や参加にあたってのアドバイスなどを行う国際会議参加支
援プログラムを提供しています。

今回、タイのバンコクで開催されたAPRICOT 2024/APNIC 57に本プログラム
で参加された滝田愛澄氏(早稲田大学)より、体験談の発表がありました。各
セッションの技術的な内容の紹介だけでなく、所感や考えなどを含んだ非常
に視野の広い報告で、聞いている皆さんも引き込まれていました。


○APNIC Update/JPNIC Update

JPNICでのポリシー実装状況について、および2024年2月21日から3月1日にか
けてタイのバンコクで開催されたAPNIC 57について、JPNICの中川香基氏から
報告がありました。

JPNICのポリシー実装状況について、「WHOIS abuse連絡先正確性向上の検討
ワーキンググループ」の活動報告を受けたJPNICでの対応状況について説明が
ありました。本件について既にabuse登録項目の追加などは完了しています
が、継続して検査機能や管理機能の整備、ドキュメントや手順化が行われる
予定であることなどが説明されました。

また、abuse問い合わせ先の登録は始まったものの、特に割り当てアドレスに
ついてはabuse問い合わせ先が未登録であるものが多い状況であることも報告
されました。

APNIC 57の報告として、EC選挙の状況や、25年以上にわたって事務局長を務
めたPaul Wilson氏の退任表明といったニュースのほか、アドレスポリシーに
関する議論の情報共有が行われました。今回は4件のアドレスポリシーの提案
に関する議論が行われ、うちprop-154「IXP向け割り当てアドレスサイズの変
更」と、prop-156「IPリソースの一時的な割り当て」の2件についてはコンセ
ンサスとなりました。各ポリシーの内容や議論の詳細については、本プログ
ラムの発表資料をご覧ください。

  APNIC Update 発表資料
  https://www.jpopf.net/JPOPM46Program?action=AttachFile&do=view&target=05_APNICUpdate.pdf

  ●コンセンサスに至った提案
    prop-154:「IXP向け割り当てアドレスサイズの変更」
    https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-154/

    prop-156:「IPリソースの一時的な割り当て」
    https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-156/

  ●継続議論となった提案
    prop-157:「一時的なIPv4アドレス移転」
    https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-157/

    prop-158:「IPv4アドレス申請時のIPv6アドレス自動分配」
    https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-158/


○世界から見た、JPNICの登録情報

「世界から見た、JPNICの登録情報」と題して、IIJの松崎吉伸氏から発表が
行われました。本発表では、各アドレスを利用している組織の連絡先(例えば
abuseコンタクト先メールアドレス)を探したい場合、世界的に見て日本
(JPNIC)のWHOIS情報がどのように見えるかを掘り下げて問題提起しています。
英語での検索においては、JPNICハンドルの提示に留まってしまい実際のメー
ルアドレスが分からないという問題があったり、歴史的経緯を持つプロバイ
ダ非依存アドレスについてはJPNICがアドレス保持者と見えてしまう問題があ
ったり、URLリンクになってしまっており検索の自動化の妨げとなっている問
題があったりと、適切に連絡先に辿り着けない事例について問題の整理と共
有が行われました。

本問題の原因には、WHOISをRIRごとに分散管理する差異、RIR/NIR間でデータ
ミラーリングするエンティティの差異、複数あるWHOISクライアント実装の差
異などが関連しています。簡単には解決できませんが、原因や解決のアプロー
チについて活発に議論が行われました。

本問題は、WHOISの正確性に関わる問題でもあるため、今後もRIR、NIR双方で
継続的な議論や改善の提案が必要と考えられます。


○RIR認定条件の改定議論~インターネットの再定義と言っても過言でない!?

「RIR認定条件の改定議論の世界的な動向について、表題のタイトルでJPNIC
の前村昌紀氏から発表が行われました。近年のRIRのガバナンスについて、
例えばAFRINICでは2020年よりRIRが被訴訟側となり機能不全に陥っている状
況であったり、2022年のAPNIC理事選挙においては、選挙不正が行われ選挙体
制が上手く機能しなかったりと、RIRの統治体制の脆弱性が懸念される状況に
なっていました。本件に対応するために、ICANNにおける地域インターネット
レジストリの設立条件の見直しや、RIRの定款変更などが行われつつありま
す。

例えば、2021年に制定されたICANNのICP(新たな地域インターネットレジスト
リ設立の条件)については、現在ASO ACにより改版が進められており、その様
子は以下のリンクから知ることができます。

  ICP-2改定レビュー状況
  https://aso.icann.org/icp-2-review/

同じく、インターネットを支えるDNSルートサーバシステムのガバナンスにつ
いても検討されています。RSSGWG(ルートサーバシステム・ガバナンス・ワー
キンググループ)ではルートサーバ運用者の協議・自治で進められていた運営
に、明文化したガバナンス機構を構築するべく検討が進められています。

インターネットは、技術者コミュニティによる努力で信頼性と拡張性が維持
されている一方、世界的インフラとして必要不可欠なものとなっています。
上記のような検討の方向性として、国家や政府の主権ではなくマルチステー
クホルダーによる透明性のあるインターネットの基盤運営が重要という声明
が紹介されました。

  NETmundial+10マルチステークホルダー声明(日本語訳)
  https://www.nic.ad.jp/ja/translation/governance/20240430.html

本件の質疑では、国家間の紛争等で各国政府の活動が活発な今は、特にマル
チステークホルダーによる運営を維持することが重要であるという意見や、
ICANNのマルチステークホルダー維持や対政府外交状況への質問などの議論が
行われました。


○近頃の IPv4 移転と売買

JPOPF運営メンバー/JPIXの中川あきらから、「近頃の IPv4 移転と売買」と
題して、IPv4アドレスの移転およびその価格(売買)についての発表がありま
した。

IPv4アドレス枯渇から13年経ちましたが、現在でもアドレス移転での調達が
行われています。2023年はARINおよびRIPE-NCC地域の移転が多く行われ、特
に大手クラウド事業者による大規模なアドレス調達が行われている状況が報
告されました。

大手オークションサイトの取引実績からの価格調査では、2021年のコロナ需
要と思われる価格高騰の時期に比べ下降傾向だったアドレス価格は、2023年
末ごろからまた上昇傾向にあることが報告されました。

また、アドレスリースについても報告と問題提起が行われました。国際的に
は実態としてはIPアドレスのリースを謳うビジネスも行われていますが、
JPNICにおいては、約款上は割り当ての仕組みを逸脱するようなアドレスの
貸し出しはできません。

本件の質疑では、特にリースについて議論が多く行われました。現在、リー
スについて許容されているRIRもあれば、APNICにように明確な規約はないが
接続性が失われるならば返却すべきというRIRもあります。また、リースとい
う言葉の定義について、接続性や経路広報性など複数の考え方があり、定義
自体が難しいという議論もされました。

IPアドレスのマネタイズ、経路の集約性などの問題を鑑みると、今後もリー
スについては継続的な議論点になってくると思われます。


■あとがき

今回のJPOPM46では、WHOISの検索の課題、IPv4アドレス移転と売買の動向と
身近な話題が多かったせいか、現地、リモート中継ともに、ここ数年で最多
の方にご参加いただきました。ご参加いただいた方にはあらためて御礼申し
上げます。

JPOPM46はコロナ禍以降、2回目となるオンサイトでの開催と、リモート中継
によるハイブリッドでの開催となりました。ミーティング後に開催された懇
親会も含め、議論が活発化したことで、Face to Faceでの開催のメリットを
あらためて感じています。ご都合がつく方はぜひ現地での参加をご検討くだ
さい。

一方で、リモート中継についても遠方の方や多忙の方にご参加いただけると
いうメリットもあり、次回以降のJPOPMもオンラインとリモート中継のハイ
ブリッド開催を継続する方向です。こちらについてもお気軽に参加いただけ
れば幸いです。


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 JPNIC News & Views vol.2097 【臨時号】

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