━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 2 】News & Views Column 「Second Lifeとノスタルジー」 KLab株式会社 箱田雅彦 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ インターネットが本格普及し始めて10余年。ネットを取り巻く環境は劇的に変 わりました。今や当たり前の常時接続、ブロードバンド、無線LAN、携帯電話 などのモバイルデバイス、あらゆるものが当時からすれば夢のような話です。 当時はダイヤルアップでナローバンド、携帯電話からはネットなんて見られま せんでした。 しかし、これをお読みになっている方の中には、「そんな環境でも、いや、そ んな環境だったからこそ楽しかったんだよなぁ」と当時を懐かしむ人も多いの ではないでしょうか。 そんな「黎明期大好き!」な方にお勧めしたいのが、昨今その筋をにぎわせて いる「Second Life」(*1)です。 Second Lifeはぱっと見、3Dグラフィックスのゲームに見えますが、ゲームの ようなクリアという概念も目的もありません。そして中に見える建物やアイテ ムはほぼ全て、ユーザーが作り出したものです。いいものができたら売って、 Second Life内の通貨「リンデンドル」に換えることもできます。さらに、リ ンデンドルは公式に米ドルに換金できることから、Second Lifeは新たなビジ ネスインフラとしても注目されています。(もちろん、そんなにうまくはいき ませんが…) このように、ただ世界があり、そこで自由に活動できるのがSecond Lifeなの です。そのため、「3Dのインターネット」という人もいます。 私は2006年秋から少しずつ遊んでみていますが、その発展途上な雰囲気は黎明 期のインターネットのようで、ワクワクしながらも懐かしく感じています。 Second Lifeの中では世界中のユーザーがいろいろなものを作ったり、イベン トを開催したりして、思い思いに楽しんでいます。そして、ちょっとした思い 付きではじめたことにみんながとても興味を持ってくれるのが、個人ホーム ページがさかんになり始めた頃によく似ていると感じました。 このような3Dの仮想スペースとして、これ以外にも「Multiverse」や 「splume」、PS3の「Home」など、さまざまなものが出てきています。こうし た試みはかなり以前からされていましたが、ネット環境の発達によって、自由 度のレベルがやっと使えるものになってきたという印象です。 最近はビジネス目的で注目され過ぎているのが心配ですが、あの頃の気持ちを 思い出しながら、まずは損得抜きに楽しんでみるのがよいのではないでしょう か。 (*1)Second Life http://secondlife.com/ http://secondlife.com/world/jp/ (日本語ページ) ■箱田雅彦 JPNIC、JPRSを経て、現在KLab株式会社に勤務。モバイルサイトの企画運用に 携わる傍ら、宇宙観光アドバイザーとして民間宇宙旅行の普及活動も行ってい る。「Second Lifeビジネス・デザインコンテスト」ビジネス部門優勝。 (http://sl-fund.com/result.php)