━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 2 】News & Views Column 「インターネットの階層化と国際外交」 サイバー大学IT総合学部教授/JPNIC理事 小西和憲 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 専門家を育成し仕事を分業する「社会」を構成することで、豊かな生活を楽し むことが可能となりました。しかし、大規模化された社会を円滑に運用するた めには「階層化」が重要となります。インターネットにおいても、ドットで連 結する「階層的なドメイン名」を導入することで、世界中からホストを特定で きるようになりました。経路制御においても、「AS番号」を導入することで、 ISPのポリシーを反映したネットワーク運用が容易となりました。最近の話題 として、経路数の抑制や実質的なIPアドレス空間の拡大を目的として、ISPに 対応する位置識別子とホストに対応する個体識別子を分離・階層化して管理す る経路制御プロトコル「LISP」が注目されています。 一方、階層化に伴い、そのグループ内の「上下関係」と、それぞれのグループ の代表者による「外交」を上手に規定・運用することが重要となります。わが 国の国際外交については、自信のなさそうな、能面のような表情をした役人の 姿をテレビで見かけますが、これは十分な「権限」を委譲されないまま、国際 外交の場に登場させられているからなのでしょうか。しかし、JPNICについて は、国際会議において、我々の代表として自信に満ち、多数派を構成・リード できる姿を期待しています。 ■ 著者略歴 小西和憲 JUNETの国際接続を1985年から10年間担当した後、科学技術庁のIMnet国際接続 を運用管理、この間、アジアの研究インターネットを取りまとめるAPANを組織 化、APAN-JPの事務局長、APAN NOCディレクタを務めている。2007年4月からは サイバー大学に勤務。JPNIC理事。