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【 1 】特集 「IPレジストリ訪問記」
                                              JPNIC IP事業部 穂坂俊之
                                   (APNICのみ  JPNIC 技術部  山崎信)
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2003年1月から3月にかけ、IPアドレス関連業務調査および情報収集を目的に、
世界各地域のRIR(*1)、およびNIR(*2)を訪問しました。ここでは、訪問時の様
子を簡単にご紹介します。


◆RIPE NCC(Reseaux IP Europeens Network Coordination Centre)

2003年1月27日にRIPE NCCを訪問しました。RIPE NCCは、ヨーロッパ、中近東、
北アフリカ、アジアの一部を受け持つRIRで、オフィスはオランダのアムステ
ルダムにあります。

RIPE NCCは会員数が多い(約3,200会員)ことと、管轄地域が広範囲にわたる
ことからか、会員のトレーニングには特に力を入れており、オフィスにはトレー
ニング専用の部屋も用意されています。

RIPE NCCではIPアドレス資源管理そのものというよりは、情報公開や各種ツー
ルの作成により力を入れており、「New Project Team」なる組織で各プロジェ
クトの推進にあたっています。

□RIPE NCC
  http://www.ripe.net/


◆ARIN(American Registry for Internet Numbers) 

2003年2月20日にARINを訪問しました。ARINは北米大陸、カリブ海周辺、サハ
ラ以南のアフリカ大陸を受け持つRIRで、米国ワシントンDC近郊のChantillyと
いう場所にオフィスを構えています。

ARINが他のレジストリと大きく違う点は、アサインメントウィンドウ(*3)とい
う概念がないというところだろうと思われます。従って、LIR(*4)からエンド
ユーザーに対する割り当ての際、ARINに対してLIRからの割り当て審議申請は
原則不要となります(ただし、/19 以上の割り当てを行う際については、まず
ARINの許可を得る必要はあります。)

また、会員向けのトレーニング方法もRIPE NCCやAPNICとは違い、CD-ROMに収
められた専用ソフトで実施しています。

□ARIN
  http://www.arin.net/


◆APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)

2003年2月6日にオーストラリア北部にあるクイーンズランド州の州都、ブリス
ベンに位置するAPNICを訪問しました。APNICはアジア太平洋地域を受け持つ
RIRで、マダガスカルやアフガニスタンからトンガまで広い範囲を管轄し、会
員のトレーニングを域内の各地で行っています。JPNICはAPNIC会員であり、そ
の中でも最も大規模な会員の一つとなっています。

今回APNICでは主にレジストリシステムについての調査を行いました。ウェブ
による会員向け情報開示システムであるMyAPNIC、申請/問い合わせ追跡シス
テムなど優れたシステムを見せていただきました。中核となるレジストリシス
テムがすでにIPv6対応となっているのが特色です。

□APNIC
  http://www.apnic.net/


◆KRNIC(Korea Network Information Center) 

2003年2月4日に、韓国のNIRであるKRNICを訪問しました。訪問の前週にちょう
どSQL Slammerが韓国のインターネットインフラに多大な影響を与えた事件が
ありましたが、韓国では同国のCERT組織であるKISA(*5)が同事件の対応を行っ
ており、KRNIC内での混乱は特になかったようでした。

KRNICはアサインメントウィンドウの運用に特色が見られます。JPNICではアサ
インメントウィンドウはアドレス割り当て審議および割り振り審議が完了する
毎に更新が検討されますが、KRNICでは更新は1年に1回となっており、運用の
考え方の違いを実感しました。

□KRNIC
  http://www.nic.or.kr/index.html


◆TWNIC(Taiwan Network Information Center) 

2003年2月13日に、台湾のNIRであるTWNICを訪問しました。

TWNICでは、新しくLIRになろうとする際の手続きに特色があります。新規に
LIRになろうとする事業者は、自身のアドレス割り当てのポリシーや国内・海
外との接続回線の帯域等の情報をTWNICに提出し、事務局ではなくIPアドレス
委員会の審査を受け、同委員会からの承認を得る、という手続きを経る必要が
あります。

また、TWNICではAPNICとの業務を調整しやすいように、各種申請フォームは英
語のみの提供となっていることも、他のNIRとは異なる点と思われます。

□TWNIC
  http://www.twnic.net.tw/


◆所感

アドレス資源管理のやり方は各地域毎に微妙に異なっており、JPNICの運用の
方が優れているものもあれば、逆に見習わなければならない事項についても知
見を得て、JPNIC内へもフィードバックすることができ、非常に有益な訪問と
なりました。今後ともこのような交流、情報交換は継続して行っていくべきと
強く感じています。

この経験を通じ、より適正、円滑な資源管理業務を目指してJPNICのサービス
品質向上へつなげたいと思います。


(*1) RIR:Regional Internet Registry(地域インターネットレジストリ)
(*2) NIR:National Internet Registry(国別インターネットレジストリ)
(*3) アサインメントウィンドウ:
          LIRがその接続組織に、上位レジストリの審議を受けることなく、
          自主的に割り当てることができる最大のアドレス空間の大きさを示
          すものです。
(*4) LIR:Local Internet Registry(ローカルインターネットレジストリ)
          主として自分が提供するネットワークサービスのユーザーにアドレ
          ス空間を割り当てる事業者で、JPNICではIP指定事業者がこれにあ
          たります。
(*5) KISA:Korea Information Security Agency


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