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【 1 】特集 「新IPv6アドレスポリシーへの取り組み」
                  JPNIC IPv6アドレスポリシー企画策定専門家チームチェア
                                     NTT情報流通プラットフォーム研究所
                                                              藤崎智宏
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IPv6の特徴の一つとして、そのアドレス数の多さが挙げられます。この膨大な
アドレス空間を利用することで、パーソナルコンピュータが中心である現在の
インターネット利用状況の枠を飛び越えた新たな応用への発展が期待されてい
ます。そのような利用方法の一つとして、製品のシリアル番号といった識別子、
自動車・交通システムでの利用など、あらかじめ製品にアドレスを埋め込んで
の利用が考えられます。JPNICにて、家電業界をはじめとする数社にヒアリン
グを実施した結果でも、

・IPv6アドレスをシリアル番号等の製品識別子に利用したい
・利用の際には製品にあらかじめアドレス(識別子)を付与しておきたい

といったニーズがあることが確認できています。また、IPv6普及・推進協議会
(http://www.v6pc.jp/jp/)より、センサー等の機器に対してIPv6アドレスを
割り当てるニーズがあることも報告されています。

アドレスの割り振りについて考えますと、現在のIPv6アドレスは、IPv4アドレ
スと同様にISPを中心とした割り振りが実施されています。すなわち、上述し
たような、アドレスをシリアル番号等の製品識別子に利用する、といった新た
なIPv6アドレス割り振りのニーズに対しては、現状のアドレスポリシーではIP
アドレスの割り当てとインターネット接続性との関連が強く意識されているた
め、アドレスを割り振ることは難しい状況であると考えられます。

このような新たなニーズが具現化した際に即座に対応できるよう、JPNICでは
「IPv6アドレスポリシー企画策定専門家チーム」を組織し、ISPを経由しない
アドレス割り振りの技術的実現性の検討、IPv6アドレスポリシー改訂の要否検
討を実施しました。

検討の結果、製品の識別子等、機器固有のIDとしてIPv6アドレスを固定的に割
り当てて利用した場合でも、

・技術的には、モバイルIPやVPNトンネリング等を用いることにより割り当て
  たIPv6アドレスに対する接続性を提供することは可能

・現実に実装する場合には、
   - モバイルIPなどのノードに事前にアドレスを割り当て、そのアドレスに
     対するインターネット接続性を提供する機構を実装するコストや、機器
     に組み込む際のプログラム量
   - 対象物が膨大な数になることを考慮に入れた利用技術のスケーラビリティ
   - 対象物に対するアクセスのセキュリティ、対象物所有者のプライバシー
  等を考慮する必要がある

・アドレスポリシーの観点からは、接続性が提供できる前提に立つと、取得を
  希望する組織がサービスプロバイダとなるモデルであれば、現行のIPv6アド
  レスポリシーの範囲でも取得が可能と考えられるため早急な改変の必要性は
  低いが、今後の具体的な要求とあわせて検討していく必要がある

という結論が得られています。また、専門家チームからJPNICに対し、「JPNIC 
としてIPv6利用をさらに促進するという観点からも、IPv6アドレスの取得だけ
を目的とする組織がJPNICのIPアドレス管理指定事業者になれるような仕組み
を検討すべきである」という提言を実施しました。
 
このようなIPv6アドレスの新しい利用方法を可能とするアドレスポリシーに関
しては、IPv6普及・高度化推進協議会のリモコンノードSWGにおいても検討さ
れており、検討の報告が

  http://www.v6pc.jp/jp/wg/remoteSWG/

に公開されています。

今後も、新サービス市場の動向把握に努め、新たなサービスに対してその時々
のアドレスポリシーが整合しているかどうかを時宜に応じて検証していきたい
と考えています。

なお、「IPv6アドレスポリシー企画策定専門家チーム」の検討結果の詳細につ
きましては下記Webページにて掲載しておりますので、ご興味のある方はぜひ
ご覧ください。

□IPv6の新しいアドレス利用形態に関する報告書
  http://www.nic.ad.jp/ja/research/newusageipv6/

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