━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 1 】特集 「第18回APNICオープンポリシーミーティングレポート」 JPNIC IP事業部 奥谷泉 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 開催期間:2004年8月31日(火)~9月3日(金) 開催地 :ナンディ、フィジー 今回のAPNICオープンポリシーミーティング(以下、APOPM)の開催地はフィジー でした。南国のイメージがあるフィジーですがこの時期は肌寒く、夜間は気温 が15℃程度まで冷え込みました。そして、プールサイドにも無線LANが設置さ れ、ノートPCを持って仕事をしている参加者の姿を見受けられたのはAPOPMな らではの光景だったのではないかと思います。 130名程度の参加者があった今回のミーティングですが、太平洋諸島での開催 は初めてで、おかげでオセアニアからの参加者が、全体の約半数を占めました。 国別に見ると日本からの参加者は25名と2位でした。 今回のミーティングにおける大きな決定事項は、既割り振りIPv6アドレス空間 の拡張、そしてAPNICによるIPv6 IRR(*1)サービスの提供についてミーティン グでのコンセンサス(賛同)が得られたことです。特に既割り振りIPv6アドレ ス空間の拡張は、JPコミュニティを代表した提案でしたのでアジア太平洋地域 としても無事コンセンサスが得られて大変うれしく思います。 ミーティングにおいて参加者によるコンセンサスが得られたポリシー提案は、 その後、メーリングリストでの最終確認、APNIC EC(理事)による承認を経て、 APNICのポリシーとして適用されます。 なお、IPv4アドレスにおける追加割り振りの利用率の変更についてもAPNICか ら提案が行われましたが、現在の利用率における具合的な問題点が明確ではな いとの理由から、コンセンサスには至りませんでした。今後、問題の明確化に 向けてAPNICおよびNIR(*2)が、ISPにおけるアドレス管理の状況について簡単 な調査を実施し、継続議論を行うことになります。 ミーティング結果の概要は以下の通りです。ミーティングプログラムとより詳 しいプレゼンテーションの内容についてはこちらのURLをご参照ください。 http://www.apnic.net/meetings/18/programme/ ◆コンセンサスが得られた提案 1) IANAからRIR(*3)へのIPv6アドレスの割り振りポリシーについて(ポリシー SIG) [概要] IANAからRIRへのIPv6アドレス割り振りポリシーを明文化し、最小割 り振りサイズ(/12)、追加割り振りアドレス数(36ヶ月分の需要) 等を定義している。全RIRコミュニティでコンセンサスが得られた場 合、ICANNの承認を経て、グローバルポリシーとして適用される。 [結果] 割り振りサイズ等の具体的な数値は、若干変更の余地を残したうえで ポリシーの大枠はコンセンサスが得られた。今後、他の地域でも同様 の提案が行われる。 2) 既割り振りIPv6アドレス空間の拡張について(ポリシーSIG) [概要] 第6回JPNICオープンポリシーミーティングでの提案へのJPコミュニティ によるコンセンサスをもとに提案を行った。現行のポリシー運用にあ わせ、適切な情報を提示のうえ申請を行えば、初回申請としてIPv6ア ドレスを取得済みの組織が、追加割り振り基準を満たさなくとも取得 済みIPv6アドレス空間を拡張することを認める。 [結果] JPコミュニティからの提案通り、コンセンサスが得られた。 3) APNICによるIPv6 IRRサービスの提供について(データベースSIG) [概要] IPv4同様、APNICでIPv6のIRRサービスを提供することを提案。JPNIC IRR企画策定専門家チームからの提案。 [結果] JPNIC IRR企画策定専門家チームからの提案通り、コンセンサスが得 られた。 ◆コンセンサスが得られなかった提案 4) IPv4アドレスの追加割り振りにおける利用率の変更について(ポリシー SIG) 5) 経路広告が行われている未割り振りアドレス空間の扱いについて(ポリ シーSIG) ◆その他特筆事項 ・Policy SIGのCo-Chairに穂坂俊之、NIR SIGのCo-Chairに奥谷泉、と2名の JPNIC職員が選任されました。 ・非公式なBoFを開催し、各NIRにおけるポリシー策定とAPNICポリシーフォー ラムとの連携について情報交換を行いました。 ・「他の地域同様、IPv6ポリシー文書を見直すべきか」との問いかけがポリ シーSIGで行われ、JPNICはまずJPコミュニティで議論を行いたい、とのコ メントを述べました。 最終日のAPNIC総会では、会場ホテルのスタッフが参加者のためにフィジー語 でお別れの歌をコーラスし、第18回APOPMは締めくくられました。 今回のミーティングは、個々の提案についてJPコミュニティからいただいたご 意見を、JPNICが紹介するかたちを正式にとった初めてのミーティングでした。 その結果、ミーティング開催中、日本からの発言が特に目立ち、AP地域におけ る議論の活性化に貢献できたのではないかと思います。 (*1) IRR:http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-a.html#11-internetroutingregi (*2) NIR:http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ka.html#12-nir (*3) RIR:http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ta.html#14-tiikirejisutori