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【 1 】特集「WIPO Workshop“Domain Name Dispute Resolution”リポート」
                               JPNIC インターネット政策部 小久保明日香
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1.開催とその目的

2004年10月28日~29日、スイス、ジュネーブのWIPO仲裁センターにてドメイン
名紛争に関するWorkshopが開催されました。ドメイン名紛争に当事者または法
律顧問として関与する可能性のある人を主な対象としてUDRP(*1)を解説する目
的の下に行われたもので、25ヶ国から参加者がありました。WIPO仲裁センター
幹部数名及び著名なパネリスト(UDRPの裁定を下す人)経験者3名がインスト
ラクターを務め、
(1)ドメイン名紛争や紛争処理方針の歴史や制度・手続の解説
(2)UDRP紛争処理方針(*2)・UDRP手続規則(*3)・仲裁センター補則の重要条文
   解説
(3)参加者に事前に送付された模擬ドメイン名紛争例の処理方針を巡る参加者
   間のディベート及びこれに対するパネリストからのコメント
等が行われました。


2.主な内容

.com .org等のgTLDドメイン名については、商標権等を根拠として権利を主張
したい場合やその登録が不当であると主張したい場合、UDRPに基づき、WIPO仲
裁センターを始めとするICANN認定紛争処理機関に対してドメイン名の移転あ
るいは取消を求める申立をすることができます。
UDRPは、紛争処理方針(*2)第4節aにおいて、申立人が必ず立証しなければなら
ない3項目を定めています。この3項目は裁定における判断中最も重要なポイン
トなので、Workshopでは比較的時間を割いて解説されましたが、第4節a.(i) 
の商標と当該ドメイン名の同一性、類似性の具体的な判断基準については各パ
ネリスト経験者毎に考えに幅があることを窺わせました。立証責任が原則申立
人側にあることや申立人がその責任を満たせば今度は登録者側にその責任が移
ること、登録者側の登録の正当性やその根拠(UDRP紛争処理方針第4節c.)等に
も重点が置かれていました。解説やパネリストのコメントは、過去に扱った裁
定例を引合いに出す等具体的・各論的なものでした。パネリストらの認識等を
直接聞ける機会は年1回のWorkshop以外にはないため、貴重な2日間でした。


3.その他

インストラクターのパネリスト経験者3名:Scott DONAHEY、Dennis A. FOSTER
及びTony WILLOUGHBYはいずれも米国または英国の弁護士で、参加者も多くは
弁護士・法律関連資格者や知財研究者でした。パネリストはジョークを交えて
過去の裁定例を解説して参加者の笑いを誘う等、全体的には打ち解けた雰囲気
でした。女性の参加率が全体の約4割と高かった点や、2日間のWorkshopの間の
昼食会や初日のWorkshop後に行われたカクテルレセプション等で参加者が皆自
身や自分の国のことを饒舌に語ったり中には熱心に自分を売込む参加者もいた
点等が印象的でした。
なお、次回のWorkshopは、来年同時期頃に開催される予定です。

(*1)UDRPとは: http://www.nic.ad.jp/ja/drp/udrp.html
(*2)UDRP紛争処理方針: 
    http://www.nic.ad.jp/ja/translation/icann/icann-udrp-policy-j.html
(*3)UDRP手続規則:
    http://www.nic.ad.jp/ja/translation/icann/icann-udrp-rules-j.html

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