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【 1 】特集 「2005年のインターネット展望~IP技術によるデジタル統合~」
                                               JPNIC副理事長  後藤滋樹
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これまでのインターネットは、文字通りの「コンピュータ」ネットワークであっ
た。つまりコンピュータを相互に接続してきた。今後のインターネットは、従
来にも増して多くの種類のデータを運ぶことになる。

典型的な例は電話である。世界中のほとんどの電話会社が、近い将来に自社の
電話網をIP技術によって構築すると宣言している。これは必ずしも電話をイン
ターネットに吸収合併するという単純な図式ではなく、インターネットで培っ
たIP技術で電話網を再構築する計画と解釈すべきであるが、それでもインター
ネット技術の適用範囲の拡大には違いない。

このような適用範囲の拡大が、IP技術の発展を促して、インターネットの世界
の進歩をもたらす。既にIP電話、あるいはVoIP (Voice over IP)という形でイ
ンターネット技術が電話に応用されている。その結果がインターネットの側に
も反映して、遅延時間やパケットの損失などの通信品質の評価方法において、
従来のインターネットとは異なる側面が重視されるようになってきた。

放送技術との関連も見逃せない。デジタル放送になると、放送と通信との連携
が今よりも自然に行えるようになる。既に新しい試みが世界中で行われている。
この影響でインターネット自体も、新たな発展をして行くことだろう。

さらに、コンピュータ以外の「もの」がネットワークに接続されるようになる。
既にセンサーのネットワークや、RFIDのようなタグの情報をネットワークで取
扱うための研究が盛んに行われている。コンピュータに比べると、格段に数の
多いノードを扱うようになった時に、インターネットはどのような姿になって
いるのであろうか。現在のインターネットのままでは、十分に規模が拡大でき
ないだろうと思われる。

今後の世の中の活動は、何を取り上げても必ず情報通信との関連がある。それ
は情報通信が社会のインフラストラクチャ(基盤)であることを意味している。
将来のネットワークの姿を展望するためには、現在のインターネットの状況を
知り、課題を理解することが役に立つ。JPNICは現在のインターネットの活動
の中心であると同時に、IP電話の相互接続の問題に具体的に取り組み、さらに
タグのようなIDとIPv6アドレスとの関係も研究している。このようなJPNICの
関係者各位のご努力が、現在の社会の要請に応えるものであることを、2005年
の年頭に改めて認識している。


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