メインコンテンツへジャンプする

JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

ロゴ:JPNIC

WHOIS 検索 サイト内検索 WHOISとは? JPNIC WHOIS Gateway
WHOIS検索 サイト内検索
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
【 1 】特集 「報告書『IPv4アドレス枯渇に向けた提言』の公開にあたって」
                                         JPNIC IP分野担当理事 前村昌紀
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

JPNICでは去る2006年4月3日に、「IPv4アドレス枯渇に向けた提言」という名
前の報告書を公開しました。JPNICの各告知チャンネル、ip-usersやJANOGといっ
た国内コミュニティへのアナウンスに加え、報道機関へのリリース文配布も行
い、より多くの方々にお知らせするように努めてきました。このアナウンスは
以下のURIで参照可能で、報告書本編のPDFもここからたどることができます。

(*1) http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2006/20060403-01.html

報告書に関する一通りの説明はこちらのアナウンス文に委ねることにして、こ
の報告書の検討過程やアナウンス前後の状況を振り返って思うところを述べた
いと思います。

Cisco社のTony Hain氏、APNICのGeoff Huston氏からIPv4アドレスに関する寿
命予測が発表されたのがそれぞれ2005年9月と11月(Huston氏のものは2003年の
論文の更新版)、いずれも英語のしっかりした論文です。それらの結論である
IPv4アドレスの枯渇時期だけが紹介されることはあったにせよ、その内容に関
する紹介は事実上日本国内では皆無であったと言ってよく、3年から10年もす
ればIPv4アドレスはなくなるのだというショッキングな内容が認識されている
とは全く思えませんでした。仮に5年だったとして、ネットワーク機器の減価
償却期間と同等となるので、IPv6対応のものを調達するなど、投資の判断はそ
ろそろ行われなければならないことになります。

まずはこれらのドキュメントを精査検証して内容を日本語で伝える必要がある
と考えたので、2005年12月に番号資源利用状況調査研究専門家チームとして、
国内のネットワーク運用技術者の皆さんにご参集いただきました。専門家チー
ムはご多忙の中毎週ミーティングを行い、個別に取り組んだ宿題を持ち寄って
集中的に検討していきましたが、これら2つのドキュメントが一定の前提条件
の上で妥当な予測が行われたものであることがじきに分かったので、検討の力
点を精査から寿命予測に基づいた状況予測と提言の作成に移していきました。

これまでIPv4アドレスの枯渇という問題は主にIPv6の普及という文脈で取り上
げられるものが多かったですが、専門家チームチェアの近藤邦昭氏と私の間で
は、これはむしろインターネットの運用技術の問題、持続的運営の問題だとい
う見方で一致していました。従って専門家チームの人選も、IPv6推進の立場で
ご活躍の方々よりも、ネットワーク運用技術の最前線にいらっしゃる方を中心
に進めました。

出来上がった報告書は100ページを超える大作となりましたが、内容を一言で
表現すると、「IPv4アドレス枯渇の状況を淡々と書き記したもの」となります。
そういう観点で網羅的に記述された文書としては世界的に見てもこれまでに類
がないものだと自負していて、この趣旨を的確に捉えて下さった方からは高い
評価をいただいています。専門家チームの皆さんの努力に感謝いたします。

一方でやはり単なるIPv6の扇動だとして批判的に捉える方も少なくなかったし、
ネットワーク技術者だけでなく広くいろいろな方々に対するメッセージとして
要旨を絞りきることを、上の趣旨と共存させることができなかったという反省
点もあります。

公開後のコミュニティにおける議論や反応を振り返ると、報告書が発した「IP
v4アドレスが枯渇します、対策を考えましょう」というメッセージに対して、
対策として想定されるものは、「やはりIPv6インターネットへの移行だ」「既
割当の効率利用が進めばIPv4アドレスは枯渇しないから対策は必要ない」
「IPv4でNATなどの技術を使えばIPv6は必要ない」の3種類に大別できるだろう
と思います。この3つの考えのどれが正しいか、ベストかということに関して、
議論を積み上げて行くことが不可欠だと考えています。これからも専門家チー
ムにご協力いただきながら、インターネットインフラ運営コミュニティだけで
なく様々な関係者の方々と精度の高い議論を目指して活動してまいります。

このページを評価してください

このWebページは役に立ちましたか?
よろしければ回答の理由をご記入ください

それ以外にも、ページの改良点等がございましたら自由にご記入ください。

回答が必要な場合は、お問い合わせ先をご利用ください。

ロゴ:JPNIC

Copyright© 1996-2024 Japan Network Information Center. All Rights Reserved.