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【 1 】特集 「ICANNリスボン会議報告」
                                JPNIC インターネット推進部  高山由香利
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2007年3月24日から30日まで、リスボン(ポルトガル)にて開催されたICANN会議
に出席しました。

以下に、今回の会議の主要トピックをいくつかご紹介します。

                  ◇              ◇              ◇

◆ICM Registry,Inc.による.xxx(sTLD)の申請を却下

新sTLD(*1)導入の一環として、ICM Registry,Inc.(以下、ICM)より申請されて
いた.xxxの契約案についてICANN理事会で審議され、賛成5票、反対9票、棄権1
票で申請は却下されました。

本申請は、2004年3月のICMによる申請以降、3年に亘りICANNで審議が続けら
れ、契約案の修正等を経てICANNとの間で契約交渉がなされてきましたが、今
回の却下により、本sTLDが新設されることは無くなったということになりま
す。

ICMは、.xxxが新ドメイン名として導入されれば、インターネット上のアダル
トコンテンツとそれ以外のコンテンツとの明確な棲み分けを可能にし、アダル
トコンテンツを容易にフィルタリングできることや、多くの事前登録を受付け
ており十分なニーズを感じていることなどの理由から、.xxxが有用なドメイン
名であることを主張していました。

しかしながら、アダルトコンテンツは各国の法律により捉え方が異なることか
ら、.xxx導入に懸念を示すGACの公式声明が発表され、またこれまでに無いほ
ど多数のパブリックコメントが寄せられていました。

ICANNが.xxxを承認するということは、.xxxへの掲載に適するか否かといっ
た、コンテンツに関する判断を伴うことにもなり、ICANNが負っている技術的
な役割を超えることから、ICANN理事会は.xxxに関する契約案および申請を却
下すべきとの判断に至りました。

(*1)sponsored Top-Level Domain(スポンサー付きトップレベルドメイン)


◆RAAレビューに関する議論

これは、2007年3月16日にICANNから通知された(*2)、米国のレジストラである
RegisterFly社とのRAA(Registrar Accreditation Agreement:レジストラ認定
契約)解約を受けて、理事会の場で議論されたものです。

RegisterFly社では、経営上の問題に加え、それが引き金となりドメイン名の
登録期限を更新できなかった登録者から数々の苦情が寄せられるなど、オペ
レーション上の問題をも抱えていました。

ICANNでは、状況を改善すべくRegisterFly社との交渉を再三試みたようです
が、RegisterFly社の経営上の問題は訴訟へと発展したため、ICANNは実地調査
のために職員を2名送り込み、最終的にはRAAを解約する決断を下しました。
(*3)

この一件を教訓として、登録者保護に向けたRAAの内容の見直しや、レジスト
ラが所有するデータのエスクローを強化することなどが課題点として浮上し、
次回会合でも議論されることになりました。

(*2)Termination of RegisterFly.com Registrar Accreditation Agreement
  http://www.icann.org/announcements/announcement-2-16mar07.htm

(*3)Factsheet
  http://www.icann.org/announcements/factsheet-registerfly-registrars-26mar07.pdf


◆WHOISに関するPDPの進捗

WHOISタスクフォースは、WHOISサービスに関する最終報告書(*4)をGNSOに提出
するとともにその役目を終え、WHOISのPDP(Policy Development Process:ポリ
シー策定プロセス)は一つの節目を迎えたとも言えます。

ただ、報告書ではOPoC(Operational Point of Contact)とSpecial 
Circumstancesという二つの異なる提案が含まれ、かつそれらの役割は明確さ
を欠いており、タスクフォース内でも辛うじて過半数を獲得した内容となって
います。WHOISについては、登録者の情報公開を巡って「情報公開派」と「プ
ライバシー擁護派」の対極的な議論がこれまでに繰り返されており、コンセン
サスを確立することの難しさが窺えます。

GNSO評議会では、活動期間を120日間に限定して、影響を受ける利害関係者
(GNSOのメンバーや法執行機関の関係者など)からなるワーキンググループを結
成し、OPoCの役割や責任などを明確にしたり、報告書内で提起された課題解決
に取り組むことになりました。

(*4)FINAL TASK FORCE REPORT ON WHOIS SERVICES
    http://gnso.icann.org/issues/whois-privacy/whois-services-final-tf-report-12mar07.htm

◆新gTLD導入に関するPDPの進捗

新gTLD導入については、3月16日に提出された最終報告書のドラフト版(*5)を
ベースに議論が行われ、並行して活動している予約語および他者の権利保護に
関するワーキンググループの活動進捗報告もありました。新gTLD導入にあたっ
ては、IDNに関する検討も必要となることから、GACやccTLDメンバーとの会合
を持った他、GNSO内のIDNワーキンググループからも会期中に報告書が提出さ
れました。

今後は、5月までには勧告の内容を固め最終報告書とし、6月初旬には理事会レ
ポートとしてICANN理事会に提出され、次回サンファン会議の理事会にて審議
される予定とのことです。サンファン会議では、新gTLD導入への方向性がより
明確になるのではないかと思われます。

(*5)GNSO new TLDs Committee Draft Final Report 
    Introduction of New Generic Top-Level Domains
    http://gnso.icann.org/drafts/pdp-dec05-draft-fr.htm

                  ◇              ◇              ◇

このICANNリスボン会議の報告会を、4月25日(火)13:30より全国町村会館(東京
都千代田区)にて、IAjapanと共催いたします。皆様のご参加を心よりお待ちし
ております。

  □第18回ICANN報告会開催のご案内
    http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2007/20070406-01.html

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