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【 1 】特集 「ARIN XIXミーティングレポート[第1弾] 全体会議報告」
                            JPNIC 技術部/インターネット推進部 木村泰司
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2007年4月22日~25日にかけて、プエルトリコのサンファンで第19回ARIN
ミーティングが開かれました。ARINは北米地域のインターネットレジストリ
で、一般に公開されたミーティング(有料)を年に2回開催しています。プエル
トリコはカリブ海にあるアメリカ領の島です。ミーティング会場近辺はカジノ
付のホテルがあるなど、アメリカのリゾート地の雰囲気がありますが、島自体
はダイビングやカリブ海沿岸特有の自然の森を楽しめるような場所であるよう
です。

本稿ではミーティング全体の様子をお伝えしたいと思います。

ARINミーティングは、JPOPMや他のRIRのミーティングと同様に、アドレス資源
管理ポリシー策定プロセスの一環であるPublic Policyミーティング(PPMと呼
ばれています)や、IPアドレス管理のあり方やARINに関する自由な議論が行わ
れるカンファレンスです。

1日目はPre-meeting activity(事前活動)と呼ばれ、ワークショップやオープ
ンポリシーアワー(アドレスポリシー自体に関する会議)が開かれます。今回
は、「Practical Guide to IPv6」というテーマでワークショップが開かれま
した。2日目と3日目はPublic Policyミーティングが開かれ、4日目はARINメン
バーミーティングと呼ばれる、ARINの運営に関するARINメンバーのための、い
わば総会です。

今回のミーティングにおける特徴は、まずポリシー提案が13もあったことが挙
げられます。この中には、JPNICを中心として各RIRでポリシー提案を行ってい
る「IPv4アドレスの枯渇に向けたポリシー」が入っています(詳細は次回発行
予定のNews & Viewsでお送りいたします)。各ポリシーの議論に当てられる時
間が20分と短いため不満の意見が上がりましたが、迅速な進行によって全ての
議論が期間中に行われました。

今回のミーティングの参加者は全体で144名でした。そのうちアメリカからが
113名、カナダからが3名、カリブ海近辺と北大西洋近辺からが3名でした。各
RIRからは3、4名ずつ参加者がいたようです。

◆Pre-meeting activity

Pre-meeting activityでは、前述の通り「Practical Guide to IPv6」という
テーマのワークショップが行われました。ワークショップといっても内容は
チュートリアルに近いもので、IPv6の基礎や各種OSやルータでの設定方法、
6to4やトンネリングについての説明でした。参加者は10名~15名ほどでした。

  □ ARIN XIXのPre-meeting activityの資料等
    http://www.arin.net/meetings/minutes/ARIN_XIX/premeeting.html

オープンポリシーアワーでは、ARINコミュニティにおけるポリシー策定プロセ
スであるIRPEP(Internet Resource Policy Evaluation Process)の歴史の紹介
や、今回のPPMで議論されるポリシーに関して、ステータスの確認が行われま
した。

ARIN におけるポリシーはNRPM(Number Resource Policy Manual)と呼ばれ、一
つの文書にまとめられています。ポリシー変更はこの文書への変更を通じて行
われるため、ポリシーに関する議論は主にその文案を元にして行われます。

  □ IPPEP - Internet Resource Policy Evaluation Process
    http://www.arin.net/policy/irpep.html

  □ NRPM - Number Resource Policy Manual
    http://www.arin.net/policy/nrpm.html

◆Public Policyミーティング

Public PolicyミーティングはIPREPの一環として行われるミーティングで、コ
ミュニティの中の提案者によってPPML(Public Policy Mailing List)に投稿
された提案のうち、ARIN AC(Advisory Council)によって受理され、再度PPML
に正式なポリシー提案として投稿されたものについて、意見交換を行うために
行われます。

今回は先に述べましたように13もの提案があり、ARINミーティングで時々見ら
れるような意義についての討論は、参加者の間でも避けられたような印象があ
りました。Public Policyミーティングで議論された提案のうち、IPアドレス
ポリシーに関する議論については、次回のNews & Viewsで報告いたします。

◆遠隔参加について

RIPEミーティングやAPNICミーティングと同様に、ARINミーティングでもオン
ラインでの遠隔参加(remote participation)ができるようなサービスが整いつ
つあります。ARINミーティングでは、RealVideoとWindows Mediaによるスト
リーミングが行われていました。しかしRIPE NCCやAPNICとは異なり、質疑応
答に参加できるのは、remote participationの事前登録を行っているユーザー
に限られていました。AUP(Acceptable Use Policy)が用意されているなど、
ARINらしいサービス提供だと感じられました。

  □ ARIN XIX Remote Participation Acceptable Use Policy (AUP)
    http://www.arin.net/ARIN-XIX/remote_aup.html

                 ◇                ◇                ◇

ミーティング会場で、ポリシー策定プロセスを説明したflashアニメーション
が展示されていました。このflashアニメーションはオンラインでも閲覧でき
ます。

  □ The ARIN Policy Process: From Ideas To Actions
    http://www.arin.net/education/cbt/IRPEP/IRPEP.html

ARINにおけるポリシー策定に関わるコミュニティには、IPアドレス資源の公平
性や広い意見の集約という意味の他に、アドレス資源管理における責任所在と
しての意味が加わりつつあるようです。既存の参加者の維持だけでなく新たな
参加者の獲得も、ARINにとって重要な課題であると思われます。(*1)

次回のARINミーティングは、2007年10月17日~19日にかけて、米国ニューメキ
シコ州のアルバカーキで開催されます。


(*1)ARINからIPアドレスやAS番号の割り振りを受けているLIRは2007年3月現在
    で3,000近くあります。アメリカ地域のARINメンバーは2,700ほどで、今回
    のARINミーティングの参加者はそのうちの5%程度ということになります。

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