2004/01/13 理事会 資料5-2 2004年度事業計画案説明資料 ■ はじめに 本資料では、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の2004年 度事業計画案について、補足説明を行なう ■ 背景と基本的な考え方 2002年4月のJPドメイン名登録管理業務移管より2カ年度を経過し、また現行の 三事業による事業体制も4カ年度目を迎える。 2004年度のJPNICの事業体制としては現行の三事業を柱とする体制を維持しつ つ、新たな課題に対し柔軟かつ機動的に対応していく。 ドメイン名事業についてはインターネットコミュニティに対する情報センター 機能を中心にこれまでの業務を更なる充実、発展を図る。 IPアドレス事業に関しては日本国内における円滑なIPアドレスの分配と管理 のためインターネット利用環境・業者の変化に対応した施策を実施していく。 またIPv6の本格的な普及、促進に向け、関係団体とも連携をとり活動を推進する。 インターネット基盤整備のための調査・研究・啓発・普及事業は広報教育、 DNS運用技術、セキュリティ関連技術等の業務領域において高度化、細分化す る諸課題に取り組む。 更に社団全体の運営に関しては厳しい経済環境に対応すべく、効率的、効果的 な運営体制を目指し、基金の設置、事務処理の簡素化などを推進する。 これらにより会員をはじめとするインターネットコミュニティへの更なる貢献 を果たしていく。 ■ 体制 上記により事業遂行上の体制については、本年度もドメイン名事業、IPアド レス事業、インターネット基盤事業(インターネット基盤整備のための啓 発・普及事業とインターネット基盤整備のための調査・研究事業)の三事業体 制を継続する。 予算面はこれまでと同じくJPRSから支弁される費用と業務受託収入、IPアド レスの維持料・登録料収入、会費収入及びその他の収入によって賄う体制を基 本とした。しかしながら、会員の減少から会費収入が減じており事業の遂行に 支障を来す恐れもある。事業執行にあたってはさらなる節減に努め、効率化を 図るともに、これまでの繰越金を基金として統合し、この基金を運用すること により収入減を補う努力を開始する。 ■ 各事業の内容 1. ドメイン名事業 日本のインターネットコミュニティの利便性を向上させることを目的に、ド メイン名事業のミッションとしてドメイン名に関する情報センター機能・ポリ シー調整策定機能・JPドメイン名管理支援機能の3機能を通じ下記の業務を行なう。 なお、「1.5 JPドメイン名紛争処理方針の運用と関連業務」および「1.7. JP ドメイン名レジストリのデータエスクロー関連業務」に関する費用は、JPドメイン名 登録管理業務移管契約に基づいて、JPRSにおけるJPドメイン名の登録料収入・ 維持料収入の一部をもって賄うものとする。 (情報センター機能) 1.1 ドメイン名に関する情報センター業務 ・ドメイン名、DNS、ドメイン名紛争処理、WHOIS、国際化ドメ イン名(IDN)に関する基本情報、最新情報の提供 ・世界のドメイン名情報を国内に対して発信・問い合わせ対応(日本語) ・日本のドメイン名情報を世界に対して発信・問い合わせ対応(英語) 1.2ドメイン名に関する調査研究 ・各国ccTLDおよびgTLDに関する動向調査 ・ドメイン名紛争処理の裁定事例およびドメイン名に関わる裁判判決事例の調査研究 ・国際化ドメイン名の動向調査 ・WHOIS等による情報公開とプライバシー問題に関する調査研究 1.3 ドメイン名に関する教育・普及活動 ・Internet Weekにおけるオープンフォーラムの開催 ・最新動向セミナーの開催 (ポリシー調整策定機能) 1.4.ICANNを中心とする世界的なドメイン名管理ルール作りへの参画 ・ICANN等が開催する諸会議への参加 ・ドメイン名に関するポリシーの調整・策定 (JPドメイン名管理支援機能) 1.5 JPドメイン名紛争処理方針の運用と関連業務 ・JPドメイン名紛争処理方針及び手続規則の運用および改訂作業 ・紛争処理機関との協調作業 1.6 AD.JPドメイン名関連業務 ・AD.JPドメイン名申請における審査業務 1.7 JPドメイン名レジストリのデータエスクロー関連業務 ・データエスクロー運用体制の管理 1.8 JPドメイン名の公共性の担保に関する業務 ・JPドメイン名レジストリの適切な運用に関する監視 2. IPアドレス事業 近年のインターネットの利用環境の変化、プロバイダーのサービス提供形態 の変化に対応し、2004年度はIPアドレスの割振り、割当て業務、規則、および それに伴うシステムの見直しを進めるものとする。2003年度はRIRの代表機能 としてNROが設立されたこと、世界情報社会サミット(WSIS)において現行の ICANNを中心として民間主導のガバナンスに対する代替案として政府間組織を 中心としたガバナンスが議論の俎上に上ったことなど、インターネット・ガバ ナンスの世界でも大きな動きがあり、2004年度も引き続き予断を許さない状況 であることから、2004年度の活動としては、APNICとの連携はもちろんのこと、 他RIRやICANNなど関連団体の活動にも注視し、国際的な規則策定プロセス、IP アドレス管理のガバナンスに対し積極的に関わりをもつようにする。併せて、 国内コミュニティへの情報提供、意見集約などにも力を入れていくことととも に、政府や指定事業者や会員の皆様との連携を強化し、状況変化に対して適切 に対応していく。 さらに、ブロードバンド、常時接続の普及により、家庭などへのIPアドレスの 割当てが増加しているため、これまでのインターネット管理者層への情報提供 の拡充のほかに、2004年度は新たに一般向けの情報提供も実施していく。その 他、昨年度に引き続き、IP指定事業者とのリレーション強化をさらに進めるこ とで、日本国内における円滑なIPアドレスの分配と管理に努めていく。 具体的な活動として、2004年度は以下の業務に取り組むものとする。 2.1 番号資源管理業務および規則・システムの見直し ・IPアドレス、AS番号の割振り、登録管理 ・IPアドレス管理に関わる費用の見直し ・業務の合理化、新サービスに対応したレジストリシステムの開発 ・ISP以外へのIPv6アドレス割振りに関するの調査およびポリシー検討 2.2 国際調整・連携業務 ・APNICの会合,ポリシー策定プロセスや諸プロジェクトへの積極的参画 ・ARIN、RIPE NCC会合への参加,動向調査と協力関係の確立 ・JPNICオープンポリシーミーティング開催と国内コミュニティの意見集約 ・RIRからのアナウンス文、メーリングリスト議論の翻訳、情報提供 ・IPv6アドレス割振り規則改訂のためのグローバルな調整と連携 ・適切なインターネットガバナンス維持のための関連諸団体との連携 2.3 調査研究および情報提供業務 ・ルーティングレジストリによる経路制御管理の研究 ・IPアドレス管理に関する一般ユーザ向けの基本情報等提供 ・ルーティング、IPアドレスに関する統計情報提供の拡充 3. インターネット基盤整備事業 インターネットの基盤整備に資するために、次の普及・啓発、調査・研究業 務を行なう。広報教育業務としては、情報センター機能の中核としてJPNIC WEB、メールマガジン、広報誌の拡充を図ると共に、各種のフォーラム、セミ ナーを適宜開催することにより、情報発信業務を質量両面で強化する。調査・ 研究業務としては、インターネットの安定的かつ安全な運用基盤の構築に向け、 DNS運用とセキュリティ関連技術の調査・研究に引き続き注力する。調査・研 究成果に関しては、広報教育業務を通して幅広くインターネットコミュニティ に公開することにより、両業務の効率的な一体化を目指す。 3.1 インターネットの基盤整備のための広報・教育業務 ・パブリックフォーラム、セミナーの開催(ICANN報告会等) ・メールマガジン,広報誌Newsletterの発行 ・JPNIC WEB(含む会員専用ページ) の編集 ・Internet Week の開催 ・インターネットセキュリティに関する情報発信,普及・啓発 3.2 インターネットの基盤整備のための調査・研究業務 ・DNSの運用技術に関する調査・研究 ・DNSに関する新しい利用技術の調査・研究 ・WHOISやRRP等のレジストリーサービスに関する調査・研究 ・インターネットセキュリティに関する調査・研究 ・認証局設立要件に関する調査・研究