第3回 JPNIC 運営委員会議事録 開催日時: 1993年9月17日(金) 10:10-18:00 場所: 東京大学 大型計算機センター 大会議室 出席委員: 相澤彰子、加藤朗、神山一恵、小西和憲、後藤邦夫、後藤滋樹、 酒井伸啓、佐野晋、高田広章、中村順一、中山雅哉、平原正樹、 丸山直昌、村井純、吉村伸 欠席委員: 苅田幸雄、東田幸樹、松方純 招待者: 布施勇、佐藤裕介、吉澤文代、相崎智子(以上事務局) 傍聴者: 2名 配布資料: 第3回 JPNIC 運営委員会議事次第 資料1-1 第2回 JPNIC 運営委員会議事録 資料1-2 第2回 JPNIC 運営委員会議事録の承認 資料1-3 「ネームサーバの設定手続について」の改正 資料2-1 ドメイン名割り当て報告 資料2-2 IP アドレス割当作業報告 資料2-3 DB-IN グループ作業報告 資料2-4 DB OUT WG 作業報告 資料2-5-1 DNS 管理グループ( 国内向け )作業報告 資料2-5-2 DNS 現在登録状況 資料2-6 APNIC/APCCIRN 報告 資料2-7 CHARGE WG 報告 資料3-1 Geographic Domain 導入について 資料3-2 DB-IN グループからの審議事項 資料3-3 DNS グループからの審議事項 資料4-1 CCIRN 報告 資料4-2 事務局からの報告および審議依頼事項 資料4-3 JPNIC ロゴ 資料4-4 日本ネットワークインフォメーションセンター入会のご案内 資料4-5 平成5年度 JPNIC 予算執行状況報告 *close* 資料5-1 ドメイン名割り当て待ち状況 *close* 資料5-2 IP アドレス割当作業報告( IP-ALLOC SUMMARY ) 議事 平原 JPNIC 運営委員会委員長司会のもと、センター規程第30条第1項に基づき委員 の 2/3 以上の出席( 15名 )を確認し、第3回の JPNIC 運営委員会( 以降「運営委員 会」)の開催が宣言された。 議事録の確認に先立ち、JPNIC 事務局に8月16日からアルバイトとして採用され た相崎智子(あいざき ともこ)さんが紹介された。また、慶應義塾大学の加藤朗( かとう あきら)氏が9月16日付で東京大学大型計算機センターに勤務先が変更に なったことの紹介があった。 [ 公開議題 ] 1. 前回議事録の確認 資料1-1~1-3 により、第2回の運営委員会議事録および電子メイルによる運営委員 会の議事録を確認した。 2. ワーキンググループ作業報告 2.1 DOM 神山委員より、資料2-1 に基づきドメイン名の割り当て状況が報告された。 これに対して、以下の質問と回答があった。 Q1:DB status 変更に伴う処理とは何か。 A1:月末時に1年間リジェクトしていたパラメータを削除する処理である。 Q2:冷却期間とはどういう意味か。 A2:使用していたドメイン名が廃止になった場合、1年間割当てが出来ないことを意味 する。 2.2 IP 吉村委員より、資料2-2 の2つ目の表の日付 1992/07/21 を 1993/07/21 に訂正を した後、それに基づき IP アドレスの割り当て状況が報告された。 また、JEPG/IP との IP アドレス割当てに関する仕事の分担問題が提起され、 ・IP アドレスのアロケーションに必要な資料は、 JPNIC としては JEPG の亀山氏 が書いたものを参照するか、独自に考えるなりして申請者に対するガイドライン として示せればよい。 ・IP アドレス割当グループと JEPG/IP の IP アドレスタスクフォースがミーティ ングを持って、両者の仕事の区分を明確にするよう検討する。 等の意見があり、 JEPG/IP と接触するための調整を、IP アドレス割当グループの chair が行うこととなった。 2.3 DB 高田委員より、資料2-3 に基づき DB-IN WG からの報告があった。 ・JPNIC のメーリングリストの管理の手数を減らすために、自動設定化を進めてい る。 ・過去に割り当てた IPネットワークアドレスで、 JPNIC データベースにデータが あって InterNIC にないものの登録をほぼ完了した。 これに関連して、通常処理と自動処理の違いについての質問があり、それについて、 個人情報を新たに登録する場合に、漢字を読んでローマ字に直したものが書かれてい るローマ字と一致したケースと、ドメイン名グループがドメイン情報を新規に作る場 合及び IP グループが IP 情報を新規に作る場合には自動処理が行われ、それ以外は 目視チェックにより誤りがないと確認されたものが通常処理となるとの回答があった。 また、InterNIC のレスポンスはどうかとの質問があり、レスポンスは非常にむらが あり2~3日で終わることもあれば、10日かかることもあり、DNS は遅れはないが IP の遅れがよくあるとの回答があった。 引き続き中山委員より 資料2-4 に基づき DB-OUT WG の報告があった。 ・8月31日から whois.nic.ad.jp とアドレスを指定してそちらから検索できるよ うにした。 ・実験的なサービスではあるが gopher から whois をひく利用が多くなっってきて おり、利用目的がネ ットワーク管理のためのものか等を含め、今後どのような形 でサービスを行っていくのがよいか検討が必要と思われる。 ・X.500 のサービスについては、NTT より SS10 を JPNIC 作業グループに貸与して もらうこととなった。 whois server のアクセスに関する統計情報の提示で、今後の問題として特定の個人 の振る舞いが判ってしまうようなドメイン名については非公開にする等の配慮が必要 ではないかとの意見があり、プライバシー問題については別途検討することとなった。 2.4 DNS 高田委員より、資料2-5-1 の本文の1行目の9月14日を9月14日15時と訂正 した後、それに基づき国内向け作業の報告があった。 加藤委員より、資料2-5-2 に基づき国内・海外向き DNS の現状登録状況の報告があ った。 2.5 PUB 吉村委員より、以下の報告及び依頼があった。 ・UNIX マガジンに JPNIC レポートというタイトルで連載が9月号から開始され、 第1回目は運営委員長が JPNIC の紹介の記事を載せ、第2回目はドメイン割当 てグループの神山委員が JP ドメイン名の割当てと題して載せている。第3回目 は IP を予定していたが、諸般の事情からすぐには書けそうもないので、緊急性 を要するような話題のものを載せたいので、いいものがあったら出してほしい。 ・UNIX マガジンでは記載記事の PS 版を、発売後1ヶ月経った時点で JPNIC に提 供してくれることになっている。なお、著作権は筆者にある。 ・ニュースレターの作成については、今年の4月に新体制になったことに伴い、 JPNIC の活動全般を紹介するような内容のものを作成することになり、次回委員 会までに丸山委員が目次案を作成することになった。 ・来年のインターロップにブースを出す件 無料で出せるかどうか交渉する必要がある。 ・当面、JPNIC からの記事の提供は UNIX マガジン1社にしぼる。 他社でも取材には応じる。 ・JPNIC に関する記事を印刷物として出した時は事務局に報告する。 2.6 RES 中山委員より、8月13日付でワークステーションを1台借り、IS.NIC.AD.JP とい う名前をつけて使用している。マシンは SS2 でメモリ 64MB、ディスクは 1.3GB の構 成となっている。これとは別に SS10 を貸与してもらって置くことになているが、こ れは東京大学(生産技術研究所)が借りて JPNIC が使用してもよいという形でおさえて いるとの報告があった。 is.nic.ad.jp のレンタル分の費用は1年分 約230 万円をまとめて払っている。 2.7 SOC 今回報告事項が無いことが確認された。 2.8 FUTURE 今回報告事項が無いことが確認された。 2.9 CHARGE 佐野委員より、資料2-7 に基づき、現在の会費の体系を定めた経緯等を整理し、問 題等を検討するための資料を作成した旨の報告があった。 --- 昼食 & 休息 (12:15-13:15) --- 2.10 APNIC 村井センター長から APNIC について以下の概要説明があった。 ・APNIC プロジェクトは、APCCIRN 会議のパイロットプロジェクトとして採択され、 1993.9.1~1994.6.30 の10カ月間で行うこととなった。 ・JPNIC のファンドの 10% を提供する。 ・プロジェクトが行うことは、パシフィック地区にアサインされている IP アドレ スの上へのストラテジィを決めることや、ルーティング・レジストリィについて 検討することなどが上げられる。 この件に関して以下の意見があった。 ・APNIC の経費は JPNIC 全体の予算の 10% 程度を補正予算で割り当てる。 ・RIPE NCC が日本に来て、EXCHANGE プログラムを行う際の経費も見込む必要があ る。 ・APNIC プロジェクトが成功すれば、カントリーNIC の立ち上げやデリゲーション が楽になる。 ・人的支援は 1.75 人となっているが、この範囲を超える支援が必要となったら、 緊急連絡を出した後、様子を見て no という必要があるだろう。 これらの意見を踏まえて、今後以下のように進めることになった。 ・APNIC WG で検討した経緯を11月のこの委員会で報告し、チェックする。 ・それを12月の APCCIRN に中間報告する。 2.11 RULE 今回報告事項が無いことが確認された。 3. ワーキンググループからの審議事項 3.1 DOM グループからの審議事項 神山委員から、資料3-1 により Geographic Domain 導入について説明があり、以下 の点について変更することで承認された。 ・市区町村に統廃合があった場合、一定の期間を置いて新しい名称に移行してもら うことについては強要せず、移行を推奨する程度にとどめる。 ・パイロットプロジェクト期間(1993.10.1~1994.9.30)中に割り当てたドメイン名 はその後変更される可能性があるが、ドメイン名の存続を期待させるような添え 書き(かっこ書き)は止める。 ・個人ドメイン名の相続についてはパイロット期間中は除き、その後、問題が生じ た時点で別途協議を行う。 ・CO(企業)についての説明文から、営利法人に関する記述を削除する。 説明文を以下のようにする。 「商法の適用を受ける法人、有限会社法の適用を受ける法人、特殊会社。」 ・ Geographic Domain 用フォームについてはパイロット期間の様子を見て、変更を 検討する必要もあり得る。 --- 休息 (15:45-16:00) --- 3.2 DB グループからの審議事項 高田委員から、資料3-2 により、プロジェクト情報記入ガイドの改訂について説明 があり、承認された。 その結果、変更分を tech-contacts@nic.ad.jp に投げることになった。 なお、Geographic Domain に係わる部分については今後検討することになった。 3.3 DNS グループからの審議事項 高田委員から、資料3-3 により、国内向けネームサーバへの .NET ドメインの登録 についての説明があり、承認された。 なお、APNIC 関係で APNIC.NET を取得したが、国内向けネームサーバへの設定につ いては、実験的に行うことを前提として設定を行った旨の補足説明があった。 4. その他 4.1 CCIRN 報告 後藤委員から、資料4-1 により、CCIRN ( Coordination Committee for Inter- continental Research Networks ) の報告があった。 なお、話題として IANA(Internet Assigned Number Authority, Internet Society の組織である) がオーソリティとしてトップに立ち、InterNIC がアメリカ大陸のデリ ゲーションを受け持つ構想も浮上しているとの話もあった。 4.2 事務局からの報告および審議依頼事項 4.2.1 報告事項 (1) ロゴ、名刺の作成について ロゴについては、前回の委員会の席上提示されたものとは違うデザイン(神山一恵 氏製作: 資料4-3 )ものを採用したとの報告があり、そのロゴを使用して作成した名 刺を3名分作成したとの報告があった。 (2) JPNIC 会員ネットワークの会員タイプ「A」判定の明確化について ある会員ネットワークが会員タイプの判定について直接 JCRN に問い合わせたとい ういきさつもあるので、年内に開催が予定されている JCRN のミーティングでの検討 に、平原委員長を JPNIC 代表のオブザーバとして派遣することになった。 (3)その他 会員プロジェクト一覧をメイルでもらい、それを一部編集(不要な部分を削除)し て使ってよいかとの問い合わせがあったとの報告があり、その程度であれば差し支え ないであろうとの判断となった。 なお、公開情報の利用についてはルールを設ける必要があり、手始めにディレクト リの DOC に著作権及び社会通念上のルールに則って行使して欲しい旨の文章を載せる こととなり、丸山委員がその文案を考えることになった。 4.2.2 審議依頼事項 (1) 予算の補正について 新規会員( タイプB、区分5 )が入会したことに伴い、会費に 300万円の増収が見 込まれるので、その用途について審議願いたい旨の依頼があり、各 WG グループで活 動に必要な経費があれば10月末までに事務局まで申し出ることとし、それを取りま とめた上で補正予算案として提出し、審議することとなった。 (2) JPNIC 入会申込書の書式変更について JPNIC 入会申込書に「運用組織名」欄を新たに追加したとの説明があり、様式の変 更については、「記入上の注意事項」の2項を以下のように訂正することで了承され た。なお、この申込書が細則扱いであるならば、理事会には報告するだけでよいとい う判断となった。 「2.[運用組織名称] は、[会員名]と異なる名称の組織がネットワーク組織を運用 している場合で、JPNIC からの会費請求等の名目で必要となる場合に記述して下 さい。」( )内の添え書きは原案とおり。 (3) 各 WG から公開されているドキュメントの修正について 一般に公開されているドキュメントの内、「 JNIC 」の名称が記載されているもの について、「 JPNIC 」に統一するよう修正の協力依頼があった。 (4) その他 予算執行状況についての報告があり、その中で海外出張旅費の支払に関して、海外 出張における宿泊費については、まだこの場での審議がされていないのでご検討願い たいとの依頼があり、検討の結果、海外どの地域でも一律の2万円を支給することと なった。 [ 非公開議題 ] 5. ワーキンググループ作業報告 5.1 DOM 神山委員より、資料5-1 に基づき 9/14 現在のドメイン名割り当て待ち状況につい て報告があった。 5.2 IP 吉村委員より、資料5-2 に基づき IP アドレス割当作業報告があった。 6. その他フリートーキング等 以下についてのフリートーキングがあった。 (1) プライバシー問題 ・今まではネットワークの運用・管理のために必要な情報として、ネットワーク責 任者や運用責任者に関する情報を登録することを義務的にお願いしてきたが、個 人ドメインの場合、自宅の住所や電話番号が知られてしまう恐れがあり、今後プ ライバシーに係わると思われる情報をどれだけ公表するか検討する必要がある。 ・データベース情報を出してもらう際、ダイレクトメール等に使用してはならない 旨、明記してはどうか。 ・今の whois は情報の出しすぎの感もあるので、もう少し範囲を狭めてはどうか。 ・プライバシーに係わる情報を含むドキュメントすべてに関して、 WG グループで 検討してはどうか。 この問題については、吉村委員がプライバシー問題を検討する WG を召集し、検討 を進めることとなった。 (2) CHARGE 問題 ・来年度予算を検討する上でも負担金( CHARGE )の改訂は急ぐ必要がある。 ・地域ネットワークの状況の変化に対応した負担金制度とすべきだろう。 ・学術だから安くという考え方で今後通用するだろうか。 ・2年先 JPNIC が東大を出ていくことも考えた予算規模にしていく必要がある。 ・資金提供を受ける方法があるとしても、そこにしばられるようであれば受けられ ない。 CHARGE についてはこれらの意見を踏まえ、検討を継続していくこととなった。 (3) IPミーティング開催について 加藤委員から、以下の話があった。 ・IPミーティング '93 が 12月9日(木)にNEC本社講堂(港区三田)で開催される。 なお、このミーティングに JPNIC として中山委員を派遣することとなった。 以上