1996/04/19 資料6-2 JPNICによるportable addressの割当について JPNIC IP-WG 主査 浅羽登志也 1. 審議事項 以下の1-3に述べるAPNICからの提案に基づき、JPNIC IP-WGでは、4に示す方針 のもとで今後portableアドレスの割当を廃止して行く方向での検討を始めたい。 2. APNICからの提案内容 現在JPNICが行っているportableアドレスの割当を廃止し、今後portableアド レスの割当は全てAPNICが直接行うようにしたいという提案がAPNICからなされ た。 APNICはこのportableアドレス割当の為に、通常のCIDRスペースとは別のアド レススペースを確保し(/13)、アドレススペースによってそれがCIDR割当され たのか、portableとして割り当てられたのかが区別できるようにする方針であ る。 APNICがこの方式を採用する目的には、以下の3つがある。 a. portableアドレスとして割当を行うためのアドレスブロックをまと めてる事ができるため、全体のアドレス利用効率を高められる。 b. portableアドレスの割当をするかどうかの判断を一個所にまとめら れるので、判断基準の一環性がとりやすくなる。 c. aggregate可能なスペースと、aggregateが不可能なスペースを明確 に分けることができ、ISPでそれらに対する経路制御をどう扱うかの 判断材料を与えられる 現在同様の提案がKRNIC等にもされており、既にKRNICでは、portableの割り当 ては行われなくなっている。 最終的には、次回APNICミーティングで全体に対する提案がなされるようだが、 とりあえずJPNICに対して個別になされたこの提案に対するJPNIC側の対応を決 める必要がある。 3. 経過 APNICからの提案に対して数回にわたりIP-WGのミーティング上で検討を重ねて 来た。その結果、APNIC側で明確にしてもらうべき点をまとめ、APNICに対し質 問を投げた。 以下は、JPNIC IP-WGからの質問内容と、APNICからの回答である。 Q1. portable adressが割り当てられるアドレススペースをまとめることによ り、ISPに対してそのアドレスの routability の確保を促すのか? A1. registryとしては、このスペースの経路制御に関してどうするべきと言う べきではない。それらがインターネットのルーティングシステム上にアナ ウンスされるかどうかは、それを取り扱うISPに任せる。 Q2. JPNICに対してportable addressの割り当て申請が来た場合、JPNICはどう するべきなのか? 可能な方法としては以下の3つ。 1. JPNICは、CIDRスペースと同様に、APNICからportable spaceの delegationを受け、日本の申請者に対する割り当てはそのスペース 内から行い、APNICに対してレポートをあげる。 2. JPNICは申請者がAPNICに申請を行う為の窓口業務行う。つまり、 JPNICは申請を受け付け、内容を審査し、それをAPNIC申請フォー ムに直して、JPNICからAPNICへ申請の仲介を行う。 3. JPNICは申請を取り扱わずに、APNICに申請を出すよう促す A2. 1はアドレス空間の利用率等問題になるのでやりたくない。APNICとしては、 2でも3でも構わない。 Q3. 課金はどうなるのか? A3. 3の場合は直接APNICが申請者に課金をする。2の場合であれば、APNICは一 旦JPNICに課金を行い、JPNICが申請者に対して課金をするというのが好ま しいのではないか。 Q4. RFC1466bisのportableを割り当てて良い場合の3の場合、全てをportable spaceからの割当とするのか、それともある長さのprefixまでは、CIDRス ペースからの割当をするのか。 A4. どれだけの長さのprefixをportable spaceからの割当とするかは、JPNIC とプロバイダの間の裁量に任せる。ただ、特定の長さを決めてしまうと申 請者がその長さを狙った申請を出して来るような場合もあり、単に/18以 上は全てportable spaceから割り当てるとしたほうが良いだろう。 Q5. in-addr.arpa delegationはどうするのか? A5. APNICが管理するスペースからの割当なので、APNICが行う。これは、割り 当てられたprefix lengthには依存しない。 Q6. whois dbはどうするか? A6. APNICのwhois dbに登録する。 4. JPNICの方針案 APNICとのやりとりの結果、また本来の目的を考慮したうえで、JPNICの portableアドレスの割当に関して以下のような方針で検討を勧めることに WG内部のコンセンサスが取れた。 1. JPNICはportableアドレスの割当を行わない 2. portableアドレスの申請に対して、APNICに対する窓口業務を行う 3. APNICに申請を転送する前に、RFC1466bisに述べられているportable アドレスを割り当てるための基準を満たしているかどうか審査を行う 4. JPNICは行った窓口業務について申請者に課金を行う 5. APNICからアドレス割当に対する課金については、現行の毎年$1,500 課金される方式をではなく、割当手数料を申請時にのみ課金する方式 をJPNICから提案する。 今後は、申請処理フローの詳細について検討し、それに基づいてドキュメント 化をし、施行へと持っていきたい。また、5については引続きAPNICと交渉を続 ける。 5. 検討事項 a. 申請書のフォーマットをどうするか。 - JPNICフォーマットを作り、それで受け付け、内容審査後、 APNICフォーマットへの変換を行い、APNICに転送するのか - 申請者には最初からAPNICフォーマットでの申請をしてもら うのか b. 申請内容の審査基準 - マルチホームを理由としたportableアドレスの申請に対する 基準をどうするか - 大きなスペースに対する申請に関しては、APNIC案を踏まえて 全てportableスペースからの割当にするか c. in-addr.arpa delegationの申請の扱い - 全てAPNICに任せるのか(/24などの場合) - JPNICのネットワーク情報を従来通り用い、それをAPNICの 申請フォーマットに変換してAPNICに転送するのか - APNICに直接申請してもらうか d. 返却 - portableアドレスを返却する場合には、JPNICに返却申請を してもらうのか - APNICに直接返却申請をしてもらうのか e. 課金 - 毎年$1,500がかかるのは、納得が行かない。 - JPNICとしては、JPNICと同様の、申請時に割当手数料を徴収 し、毎年の課金は無くすような提案をしたい。 - 申請をrejectした場合の課金をどうするか