1996/07/29 運営委員会
資料 3-14
JPNIC配付文書について
ご依頼の文書を簡単にチェックした結果をまとめます。まず、チェックした文書と
チェック方法を以下にあげます。
●チェックした文書
:http://www.nic.ad.jp/jpnic/pub/index.html
※「JPNICニューズレター」も参考にしました。
(http://www.nic.ad.jp/jpnic/pub/NewsLetters/No4/*.html)
●チェック方法
主に、JPNIC配付文書一覧表(jpnic/pub/index.html)の構成に関してチェック
しています。文章表現や編集方法に関しては、体系だったチェックを行っていな
いため、気づいた点のみまとめます。
●チェックの前提
文書の読者は、インターネットの基本的な知識を持っているものと仮定します。
例えば「ドメイン名」「IPアドレス」などの専門用語やNetscapeなどのツールの
操作、概要について理解している読者とします。また、大多数の読者はドメイン
名やIPアドレスの新規申請、変更、廃止の手続きについての情報を利用するもの
と仮定します。
□チェック結果の概要
JPNIC配付文書一覧表の問題点は、一覧のタイトルや順番が利用しづらい点に代表
されます。使いやすさには、文章のわかりやすさや画面に表示した場合の見やすさ
も影響しますが、影響はさほど大きくありません。
以下に述べるように、一覧表の内容を変更するだけで、多くの問題点を改善できる
はずです。加えて、文書を選択する前に手続きの手順を知る方法を用意すると、
大部分の問題点を改善できます。多少文章が不明解でも、想定読者であれば所定の
手続きをこなせると思います。
ここでは、一覧表の問題点と各文書の文章表現・編集方法に関する点に分けて、
詳細を記述します。
□一覧表の利用について
(1)各種申請(手続き)についてのタイトルをホームページに用意する
読者(利用者)が各種申請を行う場合、申請方法を知らない利用者はJPNICのホー
ムページ(/index-j.html)にたどりつくことになります。ホームページにも、
手続きに関するタイトルが見当たらないという問題があります。
このため「7.インターネットに関する情報」を選択してしまい英文が表示されて
愕然としたり、「8.JPNICへの御質問、御意見、御提言の電子メイル宛先」を選択
して「先にQ&A(次の項)を参照」と指示されるなどの紆余曲折を経て、どうにか
「6.出版物、文書」を選択して一覧表が表示されます。
ホームページのタイトル「6.出版物、文書」と「JPNIC配付文書一覧表」とでは、
ギャップがあります。どちらのタイトルも、利用者への最適なガイドになっていま
せん。また、ファイル名の「index」も一部のファイルのみを対象としているため、
完全とは言い切れません。
→ 「JPNIC配付文書一覧表」は「ドメイン名・IPアドレスの申請手続き」などの
タイトルにする。
(2)手続き以外の文書はファイルを分ける
一覧表を表示すると、「JPドメイン名の新規申請について」などのタイトルが表示
され、必要な情報にたどりついたと思います。次に問題となることは、文書ファイ
ルが多すぎる点です。例えば、以下のようなファイルの存在が問題になります。
・INDEX:一覧表(このファイル自身)
(このファイル自身)という注釈がありますが、「同じ画面をコールする」とい
う意味を理解できずに利用者を混乱させます。情報ノイズとなってわかりにくさ
を強調してしまうため、この欄は削除すべきでしょう。
・HELP:メイルサーバの使い方
文書の一覧と同じレベルで並んでいるため、まぎれてしまいます。可能であれば
画面をスクロールしても表示されるように、一覧とは別欄を用意できると良いと
思います。
・jpnic-pub/Copyright:JPNIC公開文書の利用について
実際は、各文書の著作権保護に関する注意書きです。タイトルと文書の内容が食
い違っています。著作権に関する記述は文書の先頭に著作権関連情報が付いてい
るので、ここに含める方法もあります(法的な制限がある場合は別途検討)。
・Domain name,IP address,General meeting,Board meetingなど
文書グループを表していますが、①英語である②文書ファイル名との違いがわか
りにくい、といった問題があります。
①:インターネットの利用者が英語に堪能とは限りません。日本語タイトルも必要です。
②:文書のタイトルよりも前に出す、フォントサイズを大きくする、太字やゴシ
ックにする、前後に空白の行を数行入れる、などの工夫でかなりわかりやすくな
ります。
・General meeting,Board meetingなど
総会や理事会などの議事録、配付資料がまとめられています。これらの文書は、
JPNICの関係者(JPNIC会員?)だけに必要な文書と思われます。少なくとも、
各種申請時には無関係です。Newslettersなどと同じように、「第4回総会」と
いったファイルにまとめて関係者だけが必要に応じて表示できるようにすべきで
す。
リストから必要な情報を捜し出す方法は、検索方法としては最適な方法ではありま
せん。特に、リストが長すぎて(項目が多すぎて)画面に表示しきれない場合は、
使いづらさが強調されてしまいます。リストからの検索は、可能な限りレベルごと
に画面を分けて、リスト件数を画面に入りきる数に減らす必要があります。
→ General meeting,Board meetingなどの文書を別ファイルにして、ひとつの
リストに含まれる項目(文書)数を画面に表示しきれる数に抑える。
(3)文書の一覧は手続きの順番に並べる
一覧表は利用上、INDEX(索引)よりも紙マニュアルの目次に相当すると考えます。
全ファイルを網羅していない、日本語のタイトルやキーワードからの検索が困難、
などの理由から、検索性が目次だけに頼ることになります。目次構成の考え方
(設計)は、紙マニュアルとほぼ同じと思います。設計方法については省略し、
ここではドメイン名申請に関する文書を例に順番を考えてみます。
現状では、申請に関係する文書が「Domain name」「IP address」の欄にあると
見当をつけて文書を選択します。この場合、他の欄に「Q&A」のような形で注意事
項などが含まれていると読むことができません。関連情報は、すべて1箇所にまと
めておく必要があります。
また、一覧はファイル名のアルファベット順に並んでいます。このため、
「domain-name-delete.txt:JPドメイン名の廃止申請について」が
「domain-name-new.txt:JPドメイン名の新規申請について」よりも先に(上に)
表示されてしまいます。通常、手続きの説明は、手続きの順番に沿って並べます。
変更や廃止の説明は、新規申請の説明後に並びます。
●現状の順番
①JPドメイン名(地域型)割り当てに関する実験プロジェクトについて
②日本ドメイン名一覧表(英語)
③日本ドメイン名一覧表(日本語)
④JPドメイン名の割り当てについて
⑤JPドメイン名に関する変更申請について
⑥JPドメイン名の廃止申請について
⑦JPドメイン名申請と手数料について(一般向け)
⑧組織ドメイン名選択のためのガイド
⑨JPドメイン名の新規申請について
●手続きの順に並べ替えた例
①組織ドメイン名選択のためのガイド
②日本ドメイン名一覧表(英語)
③日本ドメイン名一覧表(日本語)
④JPドメイン名の割り当てについて
⑤JPドメイン名(地域型)割り当てに関する実験プロジェクトについて
⑥JPドメイン名の新規申請について
⑦JPドメイン名申請と手数料について(一般向け)
⑧JPドメイン名に関する変更申請について
⑨JPドメイン名の廃止申請について
●タイトル、レベルなどを見直した例
①ドメイン名申請ガイド
・JPドメイン名一覧表(日本語)
・JPドメイン名一覧表(英語)
②JPドメイン名の割り当て
・一般のJPドメイン名の割り当て
・地域型JPドメイン名の割り当て
③JPドメイン名の新規申請
・一般利用者の申請と手数料
・JPNIC会員の申請と手数料
④JPドメイン名の変更申請
⑤JPドメイン名の廃止申請
ドメイン名などについて理解している読者向けには、上記程度のタイトル・順番
に変更すれば良いと思います。ただし、「インターネットをはじめたい(が、何
も知らない)」初心者に関しては、ドメイン名やIPアドレスの用語解説から説明
し、どういう場合に何を申請すべきかという詳しいガイドも必要になります。
初心者にもわかるように見直す場合は、日本語文字コードの注意(DOS-V利用者向
け)など、必要な情報や目次構成が変わります。
→ ファイル名のアルファベット順に並べた一覧は、手続きの順番に並べる。
タイトルから読む順番や場合分けなどがわかるようにする。
□文章表現・編集方法に関する点
上述の「一覧表の利用について」は、設計に該当する問題点です。ここでは、
執筆・編集に関する問題点で気づいた点をあげます。文章のわかりやすさや画面
表示の見やすさは、対象となる読者(利用者)によって大幅に異なるため、今回
はチェックに時間をかけていません。改善の前に、読者の分析から始めて全面的
な見直し作業を行うことをお勧めします。
文章は、入力項目や操作方法、例などが充実しており、具体的な説明になってい
ます。多少、文章表現がわかりにくいと感じられる部分や、説明の順序がわかり
にくい箇所もみうけられます。しかし、技術的な前提知識を持つ読者を想定して
いる場合は、大きな問題点とはならないでしょう。以下に些細な点ですが表現・
表記上の問題点をあげます。
●送り仮名の表記:「割り当て」と「割当」を混同するなど
●項番(章-節-項などのタイトルにつける番号)の表記:
・「2.0」から始まる部分と「3.1」から始まる部分の混在など
・1.○○申請方法 ← 順番が重要ではない場合は「■○○○申請方法」など
1.×××する ← 「1.1 ×××する」または「①×××する」
2.△△△する ← 「1.2 △△△する」または「②△△△する」
2.○○の注意事項 ← 順番が重要ではない場合は「■○○の注意事項」など
1.××××× ← 「2.1 ×××××」または「①×××××」
2.△△△△△ ← 「2.1 △△△△△」または「②△△△△△」
上例のように番号や記号の使い方が不的確
執筆時にHTMLタグを付けて入力しているのか、テキストデータに後からタグを付け
るのか、定かではありませんが、タグの入力ミスで見づらい箇所がかなり見受けら
れます。特に、パラグラフの区切りのタグが抜けているため、複数パラグラフが
1パラグラフとして表示されてしまうケースが目立ちます。
●タグの入力ミス例
■○○の変更 ××を変更する。 2△△の場合は、××です。 3○○の場合は、
□□します。 4××を△△します。 5××の詳細は、○○を参照します。
●正確にタグを入力した場合の表示例
■○○の変更 ← パラグラフの区切りの入力ミス?
1.××を変更する。 ← 箇条書きの開始番号の入力ミス?
2.△△の場合は、××です。
3.○○の場合は、□□します。
4.××を△△します。
5.××の詳細は、○○を参照します。
自動的にタグをチェックする方法(HTMLDTDを利用してSGMLパーサーでチェックす
るなど)を検討すべきと思います。また、執筆者(編集者が存在する場合は編集者
も)が思った通りのレイアウト(表示方法)になっているかを最終的に確認する
必要もあります。
テキストデータに後からタグを付ける場合は、パラグラフの区切りやパラグラフの
スタイルが明確になるように、テキストデータに何らかのマークを入れるといった
規約を用意します。テキストデータを入力する人(執筆者)とタグを入力する人
(編集者)双方で規約を検討し、規約に基づいて入力すると効率的です。
HTMLやSGMLでは執筆者がレイアウトを意識せずに済むというメリットがある反面、
レイアウトが無視されてしまうため(読者にとっては)読みづらい文書ができてし
まうという問題点も発生します。執筆者は、パラグラフの区切りや見出し・本文・
箇条書きの区別などを意識して入力する必要があります。
→ テキストデータのHTML化やタグのチェック方法など、執筆・編集・テスト
(確認)の仕組みを見直す。
以 上
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田代 彰 <AKIRA TASHIRO>
富士通株式会社 ネットワークサービスビジネス本部 企画部
E-mail:aki@web.ad.jp (NIFTY-Serve:NAB02105) FAX:03-3730-3217