1998/11/13 運営委員会 資料 5-7 担当:DOM-WG JPドメイン名 グランドデザイン1999(叩き台) (最終更新:1998年11月13日) このドキュメントは、JPドメイン名の登録方針やドメイン名構造などに関す る今後2~3年の検討の方向性について、ドキュメント発行時点におけるJPNIC の方針をまとめたものである。このドキュメントは、あくまで検討の方向性を 述べたものであり、今後の検討の中でその内容が変更される可能性があること をお断りする。 前文 近年のインターネットの成長は極めて著しく、社会の通信インフラとして定 着しつつある。そのような中で、インターネットの利用方法は変化するととも に多様化する傾向にあり、ドメイン名に対する要求も変化・多様化している。 JPNICでは、要求の変化に対応できるよう登録方針やドメイン名構造を見直す とともに、多様化する要求に対しては、ドメイン名登録サービスを多様化させ、 ユーザに選択の幅を提供することによって答えていくべきであると考えている。 1.登録方針 1.1 登録方針の前提となる考え方 ドメイン名登録規則の策定にあたって、基本としている考え方は次の通り。 ★それぞれに説明を加える (A) 必要なドメイン名が登録しやすく、安定して使えること (B) 公平性 (C) 迅速な登録 (D) 将来のユーザに対する配慮 (E) 健全性 (F) 国内ユーザの利益の重視 1.2 現行の登録方針とその理由 現行のドメイン名登録規則は、次の方針に従って策定されている。これらの 方針は、前節で述べた考え方を実現するためのものであり、不変のものではな い。 (1) 組織名とドメイン名の対応と衝突回避方法 登録するドメイン名の最も左のラベルは、登録者が自由に選択する。同一のド メイン名の登録を希望する組織が複数ある場合には、先願主義によってどちら が登録できるかを決定する。 ドメイン名を登録者の組織名と関連のあるものしか認めない方針を採っている ccTLDもあるが、この方針では、JPNICがドメイン名の妥当性を審査せねばなら ず、公平で迅速な審査は難しいという問題がある。また、登録者が必要なドメ イン名を登録しやすくするためには、登録者が自由に選択する方針が適切と考 えている。また、先願主義に関しては、これに代わる公平な手段が考えられな い。 (2) ドメイン名構造と登録要件 組織種別や地域をあらわす第2レベルドメイン名(SLD)を設け、組織種別を表 すSLDへの登録要件は法律に基づいて厳格に定める。 SLDは、歴史的な事情や、ドメイン名空間を広げるために、必要なものと考え ている。組織種別を表すSLDへの登録要件を厳密に定めることは、次に述べる 組織あたりの登録可能ドメイン数の制限とあわせて、将来のユーザに必要なド メイン名を登録しやすくし、ドメイン名と知的財産権に関わる問題の発生を軽 減するために必要と考えている。 (3) 組織あたりの登録可能ドメイン数 1つの組織が登録できるドメインの数を、原則として1つに制限する。 上に述べた通り、組織あたりの登録可能ドメイン数の制限は、将来のユーザに 必要なドメイン名を登録しやすくし、ドメイン名と知的財産権に関わる問題の 発生を軽減するために、必要と考えている。 (4) ローカルプレゼンス JPドメイン名を登録できる組織を、原則として日本に何らかの登記があるもの に限定する。 JPドメイン名とgTLDの違いを明確にするために、何らかのローカルプレゼンス を求める必要がある。海外のユーザが多くのドメイン名を登録し、日本のユー ザが必要なドメイン名を登録しにくくなることは、JPドメイン名の趣旨に合致 しないものと考えている。日本における登記を求めているのは、SLDへの登録 要件を法律に基づいて定めていることから来ている。 (5) ドメイン名の売買・譲渡の可否 ドメイン名の売買は禁止とし、ドメイン名の譲渡も原則として禁止する。ただ し、ドメイン名の売買が行われないことが明らかとみなせるケース(具体的に は、組織の合併の場合、親子会社間、営業の全部または主要な一部の譲渡の場 合のいずれか)に限り、当事者間の合意により譲渡を認める。 ドメイン名の売買を許可した場合、多くのドメイン名を登録し、それを販売す るというビジネスが成立する。このようなビジネスを許すことで、将来のイン ターネットユーザに不必要大な負担を強いる可能性がある。逆に、ドメイン名 が自由に売買されることで、インターネットの健全な発展に資するとは考えら れない。商標の売買が認められていることから、ドメイン名の売買も認めるべ きという考え方もあるが、商標では実際に問題が発生しており、ドメイン名の 登録・維持コストが小さいことを考えると、ドメイン名の売買を認めた場合に は問題はより深刻と考えられる。 ドメイン名の譲渡禁止は、ドメイン名が売買されるのを防止するための最も有 効な手段と考えている。 (6) 紛争解決手段 ドメイン名登録者と第三者の間のドメイン名に関する紛争について、JPNICで は判断を行わず、日本において法的に有効な判断が出た場合にはそれに従う。 これは、とりわけ知的財産権との問題に関して、JPNICはそれを判断する立場 になく、またその能力もないと考えているためである。また、国内ユーザの利 益を考えると、JPドメイン名に関する紛争は日本国法に基づいて解決されるの が好ましい(ただし、準拠法の問題は、JPNICで決められる問題ではない)。 (7) 形式的判断 ドメイン名の登録要件を、できる限り形式的に判断できるようにする。 登録要件を形式的に判断できるようにすることは、裁量の余地を排除すること で公平性を確保し、登録手続きを迅速に行うために、必要な条件と考えている。 1.3 登録方針に関する今後の方向性 前節でも述べた通り、現行のドメイン名登録規則の策定方針は不変のもので はなく、今後次のように変更していくことを検討する。その際には、要求の多 様化に答えるために、複数の方針を併用する(例えば、SLDの種類毎に異なる 方針を採用する)ことも検討する。以下の項目番号は、前節の項目番号に対応 している。 (1) 組織名とドメイン名の対応 基本的な方針に変更はないが、国際的な動向がそのようになるのであれば、登 録者にドメイン名選択の根拠や使用方法を明示させ、それを公開する方法を採 ることは検討する。 (2) ドメイン名構造と登録要件 法律的に定義が難しい組織がドメイン名を登録したいという要求もあり、どの ような組織でも登録可能なSLDを設けることを検討する。 (3) 組織あたりの登録可能ドメイン数 将来のユーザが必要なドメイン名が登録しやすいという条件が満たされるなら、 1つの組織が登録できるドメイン数の制限を外す(ないしは緩和する)ことを 検討する。 (4) ローカルプレゼンス 何らかのローカルプレゼンスを求める方針は変更しないが、ローカルプレゼン スの条件については、(2)の登録要件と関連して、登記より簡易な条件を採用 する方向を検討する。 (5) 譲渡の可否 ドメイン名の売買を防ぐ有効な枠組みがある(ないしは作れる)なら、当事者 間の合意によりドメイン名の譲渡を認める方向で検討する。 (6) 紛争解決手段 JPNICで判断を行わないという方針には変更はないが、裁判に変わる簡便な紛 争解決手段がある(ないしは作れる)なら、それを導入する方向で検討する。 (7) 形式的判断 形式的判断が可能な登録規則にするという方針は変更しない。 2.ドメイン名構造 現行のJP TLD下のSLDは、組織種別SLD(技術細則では属性型と呼んでいる) と地域別SLD(技術細則では地域型と呼んでいる)の2つの分類される。JPNIC では今後、これらに加えて、汎用SLD(仮称)と呼ばれる新しいSLDの種類を導 入する方向で検討する。また、前節でも述べた通り、SLDの種類によって異な る登録方針を採用することを検討する。 SLDの種類の意味付けと、それぞれに関する今後の検討の方向性は次の通り。 (1) 組織種別SLD 組織種別SLDは、どのようなユーザが用いるかという視点から、組織の種類別 に設けたSLDである。現状で、AC, AD, CO, ED, GO, GR, NE, ORがこれに該当 する。 それぞれのSLDの意味付けを以下に説明する。以下で説明する意味付けは、あ くまでもドメイン名空間設計の背景となっている考え方であり、それぞれの SLDの登録要件に反映されているが、登録されたドメイン名を実際にどのよう に使うかは登録者に任されており、JPNICは原則としてそれに関与しない。 CO 日本に登記のある会社(営利を目的とする法人)がドメイン名を登 録できるSLD。 OR 日本に登記のある非営利目的の法人がドメイン名を登録できるSLD。 GO 日本国政府機関がドメイン名を登録できるSLD。 今後、GOドメイン名の管理を、日本国政府の適切な機関に委譲する可 能性を検討する。 GR 任意団体がドメイン名を登録できるSLD。 AC 高等教育を受ける者が用いることを一義的に想定したSLD。付随して、 高等教育を行う組織も、ACドメイン名を用いることになる。高等教育 を行う組織が、ACドメイン名を登録できる。 ここでいう高等教育とは、主に18歳以上の人を対象とした教育とする。 すなわち生涯教育も含まれる。 ED 初中等教育を受ける者が用いることを一義的に想定したSLD。付随し て、初中等教育を行う組織も、EDドメイン名を用いることになる。初 中等教育を行う組織が、EDドメイン名を登録できる。 ここでいう初中等教育とは、主に18歳未満の人を対象とした教育とす る。 NE ネットワークサービスを受ける者が用いることを想定したSLD。ネッ トワークサービス提供者が、ユーザに使わせることを条件に、NEドメ イン名を登録できる。 AD ネットワーク機器のホスト名に用いることを一義的に想定したSLD。 付随して、ネットワークサービスを提供する者が、ADドメイン名を用 いることもある。現行では、JPNIC会員がADドメイン名を登録できる こととしている。 (2) 地域別SLD 地域別SLDは、地域に密着した組織が登録することを想定して設けたドメイン 名であるが、現状では有効利用されていない。今後、より魅力的なドメイン名 となるよう次のような方向で検討する(以下には互いに両立しない項目も含ま れている)。 ★未完成 (3) 個人ドメイン名 今後、日本人または日本国内に在住する個人が登録できる地域によらないドメ イン名を新設する方向で検討を行う。具体的なドメイン名構造については、今 後の検討の中で決定する。今後の検討により変わる可能性はあるが、組織種別 SLDに分類するのが妥当と考えられる。 (4) 汎用SLD ★未完成 3.知的財産権の問題 ★未完成 4.コスト負担 ドメイン名の登録・維持にかかるコストの負担モデルに関しては、JPNICの 会費制度との関連で、見直す方向で検討する。 ★もう少し詳しく書く。 5.規則策定の方法 ドメイン名登録規則の策定方法、とりわけ、登録規則を策定するJPドメイン 名検討部会のメンバの選出方法については、今後の検討課題とする。 ★もう少し詳しく書く。 以上