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                                                       資料 4-2-3

------------------------------------------------------------------------
2nd DRP-TF Report DRAFT Ver. 1.0
------------------------------------------------------------------------
各位
                              2000年7月11日

                      社団法人 日本ネットワーク
                      インフォメーションセンター
                              (JPNIC)
                      ドメイン名の紛争解決ポリシー
                      に関するタスクフォース
                              (DRP-TF)

            タスクフォースレポート
      「JPドメイン名紛争処理方針」に関する最終答申について


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目次

 1.これまでの経緯と今後のスケジュール
 2.第一次答申以降の主な議論
 3.一般からのコメントと DRP-TF からの回答
 4.処理方針・手続規則と登録規則との関係について
 5.紛争処理機関の認定について
 6.実体法整備の必要性について
 付録:参考文書
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1.これまでの経緯と今後のスケジュール
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 ドメイン名の紛争解決ポリシーに関するタスクフォース(以下「DRP-TF」)は、
昨年12月15日の設置以来、JPドメイン名に係わる紛争処理に関する規約である
「JPドメイン名紛争処理方針」(以下「処理方針」)および、その処理手続につ
いて定めた「JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則」(以下「手続規則」)
の策定に向けて検討を進めると同時に、これらを具体的に実現するための方法・
手段について、検討して参りました。

 4月26日、DRP-TF は、第一次答申案をとりまとめ、JPNIC 運営委員会に提出。
運営委員会はその答申を受領・承認し、5月8日、一般に公開されるとともにコメ
ント募集の手続が開始されました。第一次答申の内容につきましては、次のペー
ジをご覧下さい。

 「JPドメイン名紛争処理方針」に関する第一次答申について
  < http://www.nic.ad.jp/jp/regist/dom/drp/index.html >

 6月11日、一般からのコメント募集が締め切られ、これを受けて、DRP-TF でさ
らなる議論を進めました。一般からのコメントの内容、並びに、DRP-TF での議
論のポイントにつきましては、本レポートにとりまとめた通りです。

 7月10日、DRP-TF は、これまでの議論を最終答申案としてとりまとめ、JPNIC
運営委員会に提出。運営委員会はその答申を受領・承認しました。これを受けて
処理方針および手続規則は、次のスケジュールにて公開・施行することになりま
す。

 ・2000年 7月11日 : JPドメイン名紛争処理方針の公開
 ・2000年10月11日 : JPドメイン名紛争処理方針の施行

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2.第一次答申以降の主な議論
----------------------------

  第一次答申以降、DRP-TF で話し合われた主な議論は次の通りです。

(1) 申立の根拠は「商標」のみで良いか

 第一次答申では、申立の根拠を「商標」のみとし、未登録商標をどの範囲まで
 認めるのか、長年にわたり使用されていない登録商標も保護されるのか、ある
 いは外国商標の保護の在り方等について、一般からの意見を募集しました。

  一般から寄せられたコメントの中には、申立の根拠について、「商標」のみに
 限定せず、不正競争防止法の保護対象となっている「営業表示・営業標識」も
 含むべきであるというというものが複数見られました。営業表示・営業標識を
 除外すると、不正な目的を持ったドメイン名登録・使用であっても、申立の根
 拠が商標でないということで適用対象からはずれてしまい、紛争処理方針の意
 義が損なわれるのではないか、というのがその理由として述べられています。
 同様に、人名についても保護の対象とするべきであるという意見も寄せられま
 した。

 また、ICANN の統一紛争処理方針では、申立の根拠は「商標(trademark or
 service mark)」となっていますが、これまでに出されたドメイン名紛争に関
 する裁定のなかでは、有名な女優や歌手の名前で登録されたドメイン名につい
 て、米国商標法に基づく判例法上の商標権、または「passing-off」(詐称通
 用)を認め、移転裁定を下したケースが報告されております。

  このような状況を受け、再度 DRP-TF 内で議論を行った結果、申立の根拠を
 「商標その他表示」とし、日本の商標法における「商標」よりも若干緩やかに
 することにいたしました。

 なお、適用対象となる紛争は、あくまでも以下の三項目すべてを満たすことが
 条件になっております。当初、紛争処理手続を短期間で終えることを考慮に入
 れ、申立の根拠を比較的判断のつきやすい「商標」に限定しておりましたが、
 最終的には、(iii) の「不正な目的」の判断がより重要であるとのことから
 (i) を若干緩やかにしてもよいのではないかという結論に至りました。

 (「処理方針」第4条a項より)

 >  (i)  登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有する商
 >     標その他表示と同一または混同を引き起こすほどに類似しているこ
 >     と
 >  (ii) 登録者が、当該ドメイン名の登録についての権利または正当な利益
 >        を有していないこと
 >  (iii) 登録者の当該ドメイン名が、不正の目的で登録または使用されてい
 >        ること

(2) 不正な目的のための登録・使用についての判断基準は法的に妥当か

 本件に関する DRP-TF の考えは、第一次答申と変わりはありません。なお、こ
 の件につきましては、最終的には実体法の整備をもって解決すると考えており、
 その必要性については後段「6.実体法整備の必要性について」にて述べてお
 ります。

(3) 「合意裁判管轄」を限定すべきか否か

 最終答申の手続規則において「合意裁判管轄」の規定は次のようになっていま
 す。

 (「手続規則」第1条より)

 >  (f) 「合意裁判管轄」とは、
 >        (1) 東京地方裁判所、または
 >        (2) 申立人が、紛争処理機関に申立書を提出したときに、当センタ
 >            ーのドメイン名登録原簿に記載されている登録者の住所におけ
 >            る管轄裁判所
 >    をいう。

 DRP-TF の議論では、特許に関する裁判と同様、裁判所内に知的財産部のある
 東京地方裁判所と大阪地方裁判所に「合意裁判管轄」を限定すべき、あるいは、
 東京地方裁判所1カ所に限定すべきとの意見も出されましたが、この部分は
 ICANN の方針に則り変更しないこととしました。

(4) 裁定が出された後、登録者・申立人が提訴する場合の「合意裁判管轄」への
  拘束について

 裁定が出された後の「合意裁判管轄」については、ICANN の処理方針・手続規
 則では、負けた登録者を拘束することに力点がおかれています。これは、登録
 者側が裁定結果を故意に実施させないようにするために、両当事者と関係のな
 い国の裁判所に提訴することを防ぐねらいがあります。具体的には、申立人が
 申立書の中に「合意裁判管轄」を選択する項目があり、紛争処理手続により登
 録者が負けた場合(ドメイン名の取消・移転という裁定が出された場合)、処
 理方針「第4条 k. 裁判所への出訴」に則って裁定結果通知後10日以内の出
 訴における「合意裁判管轄」を予め限定するという形になっています。他方、
 紛争処理手続により申立人が負けた場合の「合意裁判管轄」については何ら拘
 束する規定は設けられていません。

 第一次答申においては、両当事者の裁定が出された後の提訴におけるバランス
 を考慮し、申立人が負けた場合の「合意裁判管轄」についても拘束する内容と
 なっておりましたが、その後の議論から、ICANN の処理方針・手続規則と同様
 の規定にするという結論になりました。これにより、申立人が手続を開始する
 に当たり、過度の負担が軽減されるものと考えております。

------------------------------------------
3.一般からのコメントと DRP-TF からの回答
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  上記3で紹介したコメントの他に、様々なコメントが寄せられました。以下に
その主なものをとりあげ、それに対する DRP-TF の回答を加えたいと思います。

(1) 処理方針・手続規則 全体に対するコメントと回答

(1-1) 用語等について

  コメント:
   処理方針・手続規則は、ICANN の処理方針・手続規則の翻訳に近く、冗長な
  部分が多すぎるように感じられます。日本語で規則を定めるにはもっと日本
  語がこなれている必要があるのではないでしょうか。

  回答:
   ICANN の処理方針・手続規則の和訳をもとにローカライズ作業を行ったため、
  ご指摘の点は否定できません。日本語としてわかりにくい部分につきまして
  は、一部改善を試みました。(処理方針第4条b項(i)、同第4条c項(iii)、
  同第8条(ii)、手続規則第6条 (e)、同第19条(e) など)

(1-2) 条文と章立について

  コメント:
   アメリカ流の条文構成をとり入れていますが、日本の法律家の利用を前提と
  するのであれば、日本の法律条文構成に習うべきではないでしょうか。

  回答:
  今回の処理方針・手続規則の策定は、ICANN の処理方針・手続規則をローカ
  ライズするという形をとりました。DRP-TF としては、条文構成を ICANN の
  ものと同じにすることにより、ICANN の処理方針・手続規則のどこを採用し、
  またどこを日本の状況に合わせてローカライズしたかを比較する上でメリッ
  トがあると考えております。また、今後、裁定結果の比較を行う機会も出て
  くるものと考えておりますが、そのような観点からも条文構成は ICANN の
  ものに準じる形が良いと考えております。

(1-3) 登録規則との関係

  コメント:
   登録者がこの紛争処理方針に従うことに同意する旨は登録規則に定めるのが
  適切ではないでしょうか。また、登録に当たっての告知義務や他の紛争処理
  手段、センターの紛争への不関与も登録規則に定めるのが適切ではないでし
  ょうか。

  回答:
  今回、登録規則の改訂も合わせて行い、登録者がこの紛争処理方針に従うこ
  とに同意する旨は登録規則にて次のように定めることにいたしました。

 (「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」より)

 > 第10章  紛争処理
 >
 > 第40条(紛争処理)
 >  登録者は、その登録にかかるドメイン名について第三者との間に紛争がある
 > 場合には、紛争処理方針に従った処理を行うことに同意する。

   なお、登録に当たっての告知義務の条項は、今回、処理方針は登録規則から
  参照され一体となることとしましたので、効果的には問題のない形になって
  いると考えております。ただし、登録規則で規定すべしというご指摘はごも
  っともであり、今後の規則改訂における検討項目とさせて頂きたいと思いま
  す。

(1-4) 必要と思われる規定について

  コメント:
   仮手続、申立の取下げ、パネリストの受諾に関する規定が必要ではないでし
  ょうか。

  回答:
   仮手続については、本方針は十分に迅速な手続を目指しているものであるた
  め、仮手続は不要であるとの結論になりました。

   申立の取下げについては、ご提案頂きました文章を元に新たに規定しました。
  (手続規則第17条)

   パネリストの受諾に関する規定は、紛争処理機関の補則で定められるもので
  あると考えております。したがって、本処理方針・手続規則では特に規定し
  ません。

(2) 処理方針の各条文に対するコメントと回答

(2-1) 契約上の権利義務関係(第2条)

  コメント:
   紛争処理手続で解決が計れず、裁判にまで持ち込まれた場合を考えると、紛
   争解決の合意のレベルだけでなく、実体問題のレベルにおいても、第三者を
   巻き込んだ契約上の権利義務関係が形成されるように工夫する必要があるの
   ではないでしょうか。

  回答:
  今回の処理方針・手続規則に基づく契約上の権利義務関係が及ぶ範囲は、あ
  くまでも「JPドメイン名紛争処理手続」に限定されるものであると考えます。
  実体レベルにおける権利義務関係は、実体法で取り扱われる範囲のものであ
  り、早急な実体法整備が必要であると考えます。

(2-2)「登録者が知る限りにおいて」の意味(第2条(b))

  コメント:
   「登録者が知る限りにおいて」とはどのような意味合いでしょうか。商標調
   査などを必要とするのでしょうか。

  回答:
   「登録者が知る限りにおいて」とは、「不正の目的」に落ちない範囲での自
  己責任を負うことの宣言という意味合いになると考えています。

(2-3) 優劣関係の明示(第3条)

  コメント:
   第3条については、(a)(b)(c)がそれぞれ矛盾する内容をはらむ可能性があ
  るので、優劣関係を明示した方がいいのではないでしょうか。

  回答:
   3つの項目に優劣はないと考えております。

(2-4)「不正の目的」とその要件(第4条b項)

  コメント:
   周知・著名商標を含むドメイン名については、正当な商標権者が取消・移転
  申請が可能となるよう、「不正の目的」の要件の緩和をお願いしたいと思い
   ます。

   また、第4条b(iii)は、現実の使用を必要とするのでしょうか。

  回答:
   「不正の目的」の判断については、「ただし、これらの事情に限定されない」
   との記述がありますので、特に要件の緩和はここでは行わないことにいたし
  ました。

   第4条b(iii) につきましては、「現実の使用の有無」も含めて、基本的に
  はパネリストがケースバイケースで判断を行っていくことになると考えてお
  ります。

(2-5) 併合審理に関する規定(第4条f項)

  コメント:
   第4条f項は、複数の紛争が別々のパネルに係属している状態を前提にして
  いますが、併合審理となることによって係属が失われるパネルがどうするの
  か、明確になっていないと思います。

   また、同一当事者間で複数のドメイン名紛争があった場合、同一手続で審理
   出来ることは明確ですが、異なる当事者間の申立を併合することの可否や、
   反訴の可否についても明確になっていません。

  回答:
   併合審理については、先に成立しているパネルに併合するか否かの決定権が
   あり、あとから成立したパネルについては、審理手続を行う必要がなくなる
  だけという形になります。

   異なる当事者間の申立を併合することは出来ません。これはそれについての
  記述がないことによりその旨を表しております。また反訴につきましては、
  本処理方針・手続規則に基づく紛争処理が短期間で完結することを目指して
  おり、また、他方裁判所への提訴も認めていることから反訴は出来ない前提
  となっております。

(3) 手続規則の各条文に対するコメントと回答

(3-1) メールの送受信に関する問題(第2条(a)、第4条(c))

  コメント:
   日本では、送付側/受領側のシステムの不具合などにより、「メールの文字
   化け」という問題があるように思われます。手続開始日との関係などで、考
   慮する必要があるように感じました。

  回答:
   この件につきましては、具体的な処理手続上の問題であり、必要に応じて、
  紛争処理機関の補則に定めて頂く方向で考えております。

(3-2) 「逆ドメイン名強奪行為」(第15条(e))

  コメント:
   「逆ドメイン名強奪行為」という文言は、広く一般に意味が認識されている
  とは思われないため、分かりやすい表現に改めた方が良いのではないかと思
   います。

  回答:
   ご指摘の部分は、「処理方針を不正の目的で利用して登録者からそのドメイ
  ン名を奪いとろうとする行為」という形で分かりやすい表現に変更しました。

(3-3) JPNIC 指定事業者への通知(第16条(a))

  コメント:
   移転・取消という裁定が出された場合、当該ドメイン名の接続先の ISP(イ
  ンターネットサービスプロバイダ)にも裁定結果や実施日などを通知して頂
  きたいと思います。

  回答:
   移転・取消という裁定が出された場合には、当該ドメイン名の接続承認を行
  っているJPNIC 指定事業者に対して通知をする形にしたいと考えております。

------------------------------------------------
4.処理方針・手続規則と登録規則との関係について
------------------------------------------------

 今回、処理方針・手続規則の新設と合わせて、登録規則の改訂を行いました。
また、「移転裁定」が出された場合であっても、登録規則に定められている登録
要件を満たさないときには当該ドメイン名を使用できない状況が生じることから、
処理方針・手続規則に新たな文言が加えられました。処理方針・手続規則と登録
規則との関係について検討された項目は次の通りです。

(1) 処理方針・手続規則における登録規則への言及

 現在 JPNIC では、これまでのドメイン名とは異なる登録規則に基づく新規の
 ドメイン名(以下「汎用JPドメイン名」という)の登録サービスの開始を検討
 しております。これに伴い、これまで「ドメイン名登録等に関する規則」と呼
 んできた規則の呼称を「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録に関
 する規則」と改め、また、新規のドメイン名の規則については「汎用JPドメイ
 ン名登録に関する規則」とすることにいたしました。

 これにより、処理方針・手続規則における登録規則への言及は次の通りとする
 ことにいたしました。なお、「汎用JPドメイン名登録に関する規則」につきま
 しては、本日現在まだ策定されておりませんが、今回策定した処理方針・手続
 規則は JPNIC のすべての登録規則に適用される前提で考えられているもので
 すので、「汎用JPドメイン名登録に関する規則」に対する適用も決定事項とし
 て進めております。

 (「処理方針」第1条より)

 > 第1条   目的
 >
 > この「JPドメイン名紛争処理方針」(以下「本方針」という)は、社団法人日
 > 本ネットワークインフォメーションセンター(以下「当センター」という)に
 > より採択されたものであり、当センターにドメイン名の登録をした者(以下
 > 「登録者」という)が従う「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録
 > に関する規則」または「汎用JPドメイン名登録に関する規則」(二つの規則を
 > 総称して以下「登録規則」という)からの参照により、それと一体になるもの
 > であって、登録者が登録したドメイン名の登録と使用から発生する、登録者と
 > 第三者との間のドメイン名に係わる紛争処理に関する規約を定めたものである。
 > 本方針の第4条で定めるJPドメイン名紛争処理手続は、 「JPドメイン名紛争
 > 処理方針のための手続規則」(以下「手続規則」という)、および当センター
 > により認定された紛争処理機関(以下「紛争処理機関」という)が別途定める
 > 補則に従って、実施されるものとする。

 (「処理方針」第1条より)

 >    (g) 「登録規則」とは、当センターとドメイン名登録者の間の契約内容を
 >    規定した「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録に関する
 >     規則」および「汎用JPドメイン名登録に関する規則」を総称したもの
 >     をいう。

(2) 登録規則における処理方針・手続規則への言及

 「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」では、新
 たに次の1章を設け、処理方針・手続規則への言及する形をとっております。

 なお、「汎用JPドメイン名登録に関する規則」におきましても、同様の章を設
 けるつもりでおります。

 (「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」より)

 > 第10章  紛争処理
 >
 > 第40条(紛争処理)
 >  登録者は、その登録にかかるドメイン名について第三者との間に紛争がある
 > 場合には、紛争処理方針に従った処理を行うことに同意する。


(3)「JPドメイン名紛争処理手続」の裁定による取消・移転を可能とすることに
  ついての登録規則における規定

 「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」の改訂に
 より以下の通り「JPドメイン名紛争処理手続」の裁定による取消・移転を可能
 とすることにいたしました。

 (「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」より)

 > 第29条(ドメイン名の移転登録)
 >    登録者は、ドメイン名の移転に関する登録者と第三者の合意がある場合、
 > 当センター所定の方式によって届け出て、その承認を得ることにより、ドメイ
 > ン名の移転登録をすることができる。
 > 2 この規則に特別の定めがある場合を除き、そのドメイン名の移転を受ける
 > 第三者について登録不承認事由がある場合には、ドメイン名の移転登録をする
 > ことができない。
 > 3 前項の不承認事由が第9条第1項による場合には、その第三者が移転の届
 > け出と同時に他のドメイン名について第26条による他のドメイン名について
 > 廃止届を提出し、その届け出が受理された場合には、登録不承認事由がないも
 > のとみなす。
 > 4 認定紛争処理機関で移転の裁定があり、当センターがその裁定結果を受領
 > してから10営業日(当センターの営業日をいう)以内に、登録者から、JPドメ
 > イン名紛争処理方針(以下「紛争処理方針」という)第4条k項に定める文書
 > の提出がされない場合、当センターは、その裁定にしたがって、ドメイン名の
 > 移転登録をする。この場合、第2項の規定は適用しない。
 > 5 当センターは、前項の裁定結果を受領した場合、ただちに、移転の登録を
 > すべき日を認定紛争処理機関、紛争の当事者に通知する。

 > 第31条(登録の取消)
 >   下記各号の事由がある場合、当センターは、ドメイン名の登録を取り消す
 > ことができる。
 > (1)登録申請の不承認の事由があることが判明したとき
 > (2)登録者が第4条第2項の求めに応じず、もしくは第26条第2項または第
 >    28条に定める義務に違反したとき
 > (3)第三者から、登録ドメイン名の使用の差し止めを命ずるわが国において
 >    効力を有する確定判決、和解調書、調停調書または仲裁判断書もしくは
 >    これと同一の効力を有する文書の正本の提出があったとき
 > (4)そのドメイン名の登録が明白かつ現実的に社会的許容性を欠く状況が生
 >    じたとき
 > (5)認定紛争処理機関にて取消の裁定があり、裁定結果の通知から10日以内
 >       に、裁判所へ出訴したことの証明が登録者から提出されないとき

(4) 紛争中におけるドメイン名の移転の可否についての登録規則における規定

 「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」の改訂に
 より以下の通り「紛争中におけるドメイン名の移転の可否」を定めることにい
 たしました。

 (「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」より)

 > 第30条 紛争処理手続き開始の場合の特則
 >    第24条、第26条、第27条および前条の規定にかかわらず、紛争処理方針
 > 第8条によりドメイン名の移転ができない場合には、ドメイン名の変更、廃止
 > または移転に関して同条所定の期間が経過した場合または処理が行われた場合
 > を除き、当センターはその申請を受理しない。
 > 2 前項の実施に必要な事項、紛争処理手続き中の登録原簿の変更に関する処
 > 理その他紛争処理に付随する事項については、当センター所定の方法による。

(5) 「移転裁定」を出された申立人が登録規則に定められている登録要件を満た
  さないときの取り扱い

 「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」では、
 「一組織一ドメイン名」原則(第9条)、「ローカルプレゼンス」原則(JPド
 メイン名登録者は日本に住所がなければならない)、並びに、組織種別による
 「登録資格」(第6条および別紙1)があります。

 これにより、「移転裁定」を出された申立人がこれらの原則・登録規則を満た
 していない場合、ドメイン名登録は移転されるものの、使用はできない(ネー
 ムサーバー設定されない)という状態が発生します。具体的には次のような場
 合が想定されています。

   a) 申立人がすでに属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名を登録して
    いる場合(「一組織一ドメイン名」原則に抵触)
   b) 申立人が、日本に住所を持たない場合(「ローカルプレゼンス」原則に
    抵触)
  c) 申立人が、登録資格を満たさない場合(例えば、株式会社が ORドメイン
    名の移転を受ける場合など)

 このため、処理方針に次の記述を加えることにいたしました。

 (「処理方針」第3条 第2文より)

 > 当センターは、さらに登録規則または他の法律的要請に基づいて、ドメイン名
 > 登録の取消、移転の手続を行うことができる。ただし、移転がなされても、登
 > 録規則で定める登録資格・要件等が満たされないときには、当センターは当該
 > ドメイン名のネームサーバ設定を行わない。

------------------------------
5.紛争処理機関の認定について
------------------------------

 「JPドメイン名紛争処理手続」を行う紛争処理機関については、現在国内外に
存在するこの分野を得意とする仲裁機関複数と協議を進めております。本処理方
針・手続規則が有効となる本年10月までには、いずれかの機関を紛争処理機関と
して認定させて頂き、その業務が開始されるよう JPNIC としても協力体制を整
えていくつもりでおります。

------------------------------
6.実体法整備の必要性について
------------------------------
 
 JPNIC に登録されたドメイン名が、第三者の商標その他表示を害する不正の目
的による登録・使用であるとき、この第三者とドメイン名登録者間には紛争があ
ることになります。「本処理方針および手続規則」は、この紛争を簡易迅速かつ
適切な手続で解決する手段を提供するものです。この手段の利用は、法律的には、
JPNIC とドメイン名登録者間の契約、並びに、JPNIC およびドメイン名登録者と
上記第三者(すなわち、紛争の解決を求める申立人)間の契約によって可能とな
ります。
 契約の内容は、原則、自由に決定できるものですが、「本処理方針および手続
規則」の実体は、現在商標その他表示を規制している商標法または不正競争防止
法のいずれとも、紛争処理の対象並びに要件において合致するものではありませ
ん。このような状況のもとでは、「本処理方針および手続規則」の運用に当たり、
パネリストに過度な負担を与え、あるいは、判断につきパネル間の統一を欠くな
どの問題を生じさせるおそれがあり、また、パネルの裁定につき不服をもつ当事
者が裁判所に救済を求めるときの方法、その根拠が明確でないばかりでなく、裁
定と裁判所の判断に食違いを生じさせるおそれもあり、結局、「本処理方針およ
び手続規則」およびその運用に対する信頼性を損なうことになりかねません。
 よって、「本処理方針および手続規則」がアメリカや WIPO におけると同様、
真に有効な紛争解決手段として社会的に受け入れられるためには、実体法の整備
が速やかになさる必要があると考えます。

--------------
付録:参考文書
--------------

 ・『ドメイン名の紛争解決ポリシーに関するタスクフォース』の設置について
    < http://www.nic.ad.jp/jp/topics/archive/19991215-01.html >

 ・「ICANN 統一ドメイン名紛争処理方針」(日本語訳)
    < http://www.nic.ad.jp/jp/internet/doc-j/icann/icann-udrp-policy-j.html >

 ・「ICANN 統一ドメイン名紛争処理方針のための手続規則」(日本語訳)
    < http://www.nic.ad.jp/jp/internet/doc-j/icann/icann-udrp-rules-j.html >

 ・「反サイバースクワッティング消費者保護法(米国)」(日本語訳)
    < http://www.nic.ad.jp/jp/internet/doc-j/domain/acp-j.html >


 以上。

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