2001/12/13 評議委員会 資料 3-1-1 ドメイン名検討委員会からの審議事項 [タイトル] ACE方式の標準方式への移行が登録規則・制度に及ぼす影響について [審議していただきたい事項の内容] 日本語ドメイン名に関し、ACE移行の際に規則・制度の観点から必要となる 要検討事項と、それらに対する答申をまとめたので、その内容につき審議 いただきたい [提案背景] ACE方式の標準方式への移行が登録規則・制度に及ぼす影響に関する答申 0. 本資料の位置付け 2001年10月22日に執行理事会にてJPRSより提案された「日本語JPドメイン名関 連技術標準化に伴う依頼」を受諾することが承認され、それに基づいてIDN-TF およびDOM-COMに本件が諮問された。同執行理事会にて、 (1)IDN-TFにて技術的検討を実施する (2)その結果をDOM-COMにて確認する という手順で検討を進め答申する旨の手順も指示された。これに従い、今回 その結果を答申として評議委員会に提出させていただくこととなった。 1. 背景 現在、日本語ドメイン名は運用試験フェーズ2にあり、RACEによる名前解決サー ビスを提供しているが、IETF IDN WGではAMC-ACE-Zの採用が有力であり、本運 用移行時にはACEの方式も移行する必要がある。ACE方式の決定は2002年1月頃、 標準(RFC)化はその2~3ヵ月後が見込まれている。 2. ACE移行の際の要検討事項とIDN-TFとしての見解 以下に、ACE移行の際に規則・制度の観点から必要となる要検討事項と、それ らに対する答申をまとめた。 1)ACE移行の際の手法 ACE移行の際の方式として、以下の2つが考えられる。 (1)日時を決め、RACE方式からAMC-ACE-Z方式への変更(具体的には、ネームサー バ設定される日本語ラベルのエンコーディング方式の変更)を一斉に行う (2)ある一定の移行期間を設け、移行期間中はRACE方式とAMC-ACE-Z方式の2つの 方式でネームサーバ設定を行い、移行期間終了後にAMC-ACE-Z方式のみとす る <答申> 今回、移行の際のユーザ側における移行作業を円滑に行うため、移行期間を設 ける(2)の方式を採用することが適切であると考える。 この際、 (a)移行期間をいつから開始するか (b)移行期間をいつまで続けるか (c)移行期間開始のアナウンスは開始のどのくらい前に出すか (d)移行期間に伴う技術細則の改定、アナウンス、実施はいつ行うか (e)運用試験フェーズ2の終了と本運用開始の定義 を検討する必要がある。 (a)については、IETFにおける標準化を受けて開始することとなるため、2002 年3月以降が見込まれる。技術細則の変更後1ヶ月の周知期間を設けるとすると、 早くとも2002年4月以降が見込まれる。 また、JPRS側から、システム側の対応可能時期は2002年5月の連休明けあるい はそれ以降となる、という見解を得ている。 (b)については、1~2ヶ月程度の移行期間が必要であると考える。 (c)についてはIETF IDN WGにおいてACE方式が決定した時点でプリアナウンス を行っておき、標準化が完了した時点で上記技術細則の周知期間を考慮し、1ヶ 月ないしはそれ以上の周知期間をおいてアナウンスを行うことが適切であると 考える。 (d)については、移行期間の1ヶ月前に技術細則を変更し、アナウンスする必要 があると考える。 (e)については、RACEでの名前解決を終了する時点で運用試験フェーズ2終了と し、標準ACE方式での名前解決を開始した時点で本運用開始とする。 結果として、 2002年1月 プリアナウンス 2002年3月 IETFにおける標準化(見込み) 2002年4月 移行期間開始のアナウンスおよび技術細則の改定・公開 2002年5月連休明け 本運用開始(移行期間開始) 2002年6月~7月 運用試験フェーズ2終了(移行期間終了) というスケジュールが適切であると考える。なお、IETFにおける標準化の時期 がずれ込んだ場合、それに応じて上記スケジュール(4月以降の部分)も順延され る。 2)VGRSとの協調(移行時期の調整) VGRSにおいても現在多言語ドメイン名のテストベッドが運用されており、標準 化後に正式運用に移行する旨のアナウンスが行われている。そのため、VGRSが 多言語ドメイン名(「多言語.com」等)を正式運用に移行する時期とJPNICが日 本語ドメイン名を正式運用に移行する時期を合わせるかどうかについて、検討 する必要がある。 <答申> まず、VGRSが現時点で2002年1月中旬にテストフェーズの移行(「多言語. mltbd.com」から「多言語.com」に移行、ただしエンコーディング方式はIETF における最終決定前)をするとの考えを示していることから、これとの同期・ 連動を前提にスケジュールを立てることは避けるべきであると考える。 ただし、日本語ドメイン名の普及施策上、正式運用(エンコーディング方式を IETFにおける最終方式に変更)の時期を、VGRSとできるだけ同期・連動させる ことは必要であると考える。 3)予約ドメイン名(ACE識別子)の開放 従来、標準エンコーディング方式が確定していなかったため、??-- で始まる ラベルを持つすべてのドメイン名(?は任意の1文字)を予約ドメイン名としてき た。今回標準エンコーディング方式が決定された場合に同時に予約を解除する かどうかについて検討する必要がある。 予約ドメイン名を解除する場合、登録規則の「汎用JPドメイン名における予約 ドメイン名」の改定が必要となる。 <答申> 現状で特に支障は生じていないと考えられるので、今回のACE移行の時期に同 時に予約ドメイン名の開放は実施せず、当面はICANN等の状況を鑑みながら検 討を続けることが必要であると考える。 4)登録可能な最大文字数の見直し 従来、登録可能な日本語ラベルの長さを15文字以内としてきたが、AMC-ACE-Z 方式では18文字までの登録が技術的に可能となる。このため、登録可能な最大 文字数を増やすかどうかについて検討する必要がある。 登録可能文字数を増やす場合、技術細則の改定が必要となる。また、登録可能 文字数を増やした場合、これまで登録できなかった(たとえば優先登録期間中 に切り捨てられた)名前が登録可能となるため、再度優先登録期間(sunrise period)を設ける等、混乱を防ぐ対策の検討が必要となる。 <答申> 現状で特に支障は生じていないと考えられるため、今回のACE移行の時期に同 時に登録可能文字数を変更する必要はないが、できるだけ速やかに実施する 必要があると考える。 5)ネームサーバホスト名に関する制限事項の見直し 従来、ネームサーバホスト名としてASCII文字以外をもつホスト名や、ACE識別 子を持つホスト名(例えばRACE方式における bq-- で始まるラベルを持つホス ト名)の登録を禁止してきた。これらは標準エンコーディング方式が決定され る以前の混乱を防ぐために行われた措置であったため、標準エンコーディング が確定した時点で、これらのネームサーバホスト名を登録可能とするかどうか について検討する必要がある。 <答申> 標準エンコーディング方式が確定すれば制限する必要がなくなるため、今回登 録可能とすることが適切であると考える。 そのためには、技術細則の改定(「1.5 ネームサーバホスト名に関する制限事 項」の修正)が必要となる。 6)連絡先電子メールアドレスに関する制限事項の見直し 従来、連絡先として登録される電子メールアドレスについても、上記5)のホス ト名と同様の理由により、同様の制限が行われてきた。これについても標準エ ンコーディングが確定した時点で、登録可能とするかどうかについて検討する 必要がある。 <答申> 技術的には、メールアドレスとして日本語が使えるようになるまでは(つまり、 各種メールアプリケーションが対応するまでは)ACEエンコードされた方式でメー ルアドレスを取り扱わなければならないことになる。すなわち、利用者側では 日本語ドメイン名ではなく、ACEエンコードされた方式によるメールアドレス の設定が必要ということになり、DNSのみを設定すればよいということではな い。 そのため、電子メールアドレスとして確実な利用が可能となるまでの間、この ようなメールアドレスの設定は行わない(それまでは、従来の制限を継続する) ことが適切であると考える。 以上