2003/11/13 評議委員会 資料 3-1-1 -------------------------------------------------------------------------- 2003/11/13 JPNIC IPアドレス検討委員会 IPアドレス検討委員会からの審議事項 [審議事項] 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当てサービス実施について [審議していただきたい事項の内容] 特定の用途を目的とした、プロバイダ非依存アドレスを割り当てサービス をJPNICが提供することについて審議していただきたい。 特定の用途とは、以下の3つの用途を指す。 ・マルチホーム ・インターネットエクスチェンジポイント ・クリティカルインフラストラクチャー 1. 背景 1) 2002年7月15日、ある一定の大きなアドレスブロック(/21)を使用する予 定があることが、初期割り振り要件(IP 指定事業者となり、割り振りを 受けるための要件)に追加された。 2) この要件の変更により、独自のアドレス空間の割り振りを受けるための アドレス使用量の最低ラインが設けれたため、新たにマルチホームを希 望する小規模組織が、JPNICから直接割り振りを受けられなくなってい る状況である。 3) マルチホームをするためには、LIRに依存しない独自のアドレス空間が 必要となる。このため、これらの小規模組織に対して、割り振りアドレ スとは別のプロバイダ非依存アドレスの割り当て取次ぎサービスの実施 を検討してきた。 4) 初回割り振り要件の変更時には、小規模マルチホームサービスの提供が 検討されていたが、課金金額がネックとなっており、引き続き検討する こととなっていた。 5) APNICでは、初回割り振り要件の基準の変更時に、小規模マルチホーム のためのポリシーがあわせて作られた。その後、インターネットエクス チェンジポイントとクリティカルインフラストラクチャー等の用途が追 加され、現在に至っている。 6) 現在、小規模(初回割り振り基準を満せない)でマルチホームを希望する 組織に対してアドレスを割り振るようなサービスがJPNICには無いため、 APNICに直接申請してもらうように案内している。 7) 2003年7月のJPOPMで、この割り当てサービスを望む強い声があり、かつ サービスの早期実施を検討することについてコンセンサスが得られた。 以上の理由により、IP事業部でサービスの実施に向けて検討を開始した。 2. IP事業部おける検討 実施にあたって以下の懸念事項があったが解決済である。 (2-1)サービスの必要性 APNICの統計情報を調べた結果、本割り当てを希望する組織は、日本の 組織からは年間約10件程度の申請である。この申請件数は、近年の増加 している。また、APNIC へ直接申請するためには、ドル建て決済が必要 であるが、ドル建て決済が難しい組織もあるという意見がJPOPM で出さ れた。このように、ユーザからの強い要望がJPOPMで出されている。 (2-2)課金金額の問題 当初はAPNICの非会員としての申請の取次ぎサービスを予定しており、 費用が高くなることが懸念されていた。しかし、APNIC会員のJPNICが、 APNIC会員としての取次ぎサービスを実施することにより、当初の提案 金額を比較的抑えて提供することが可能となった。 (2-3)システムの問題 今回は、このサービスのために新規でシステムを構築することなく、既 存のシステムを利用した形で対応することが可能である。 3. IP事業部における結論 ・上記2.の懸念事項は解決済である。 ・APNICとのサービス格差を少しでも小さくすることが望ましい。 ・JPOPMにて強い要望が出されている などをIP事業部内で検討した結果、できるだけ早い時期にサービスを 開始することが望ましい、との結論に達した。 IP事業部としては、2004年1月を目処として、サービス開始を目指 したい、との結論に至っている。 4. サービスの概要 特殊用途用プロバイダ非依存アドレスの割り当てサービスは、次のよう な形態で提供する。 [サービス提供形式] - JPNICがエンドユーザに対して、直接、割り当てる形式とする。 (JPNICがIPアドレス管理指定事業者に近い役割をする) - JPNICとエンドユーザ間で契約を締結し、エンドユーザに対して手数 料および維持料を請求する。 (金額については、5.を参照) - サービスを受けるエンドユーザからの各種申請および問合わせ窓口は 全てJPNICとする。 - エンドユーザに割り当てるアドレスは、APNICのプールから払いださ れる。 (現在実施している、APNICとの割り振りプールの共有化と同様の形式) 5. 課金金額 サービスを提供するにあたり、以下の金額をサービス受託者に対し請求 する。(全て税別) ・割り当て手数料: 250,000円 - 上記金額には、その年の維持料、APNICからのアドレス課金、およ びJPNICの申請にかかるコストである。 - 上記の金額を契約締結時に請求する。 ・アドレス維持料: 100,000円(/20未満の空間) - 現在のIP指定事業者に対して適用している、維持料の料金体系に あわせた。 - 4/1~翌年3/31 までの年間維持料を、その年の3/31までに振り込む ものとする。(維持料は前払い制に変更) [補足] - 本サービスにおけるアドレスの割り当ては、1つのネットワークに対 して/20よりプレフィクスの短いネットワークにはならないことを想 定している。 →/20よりプレフィクスの短いネットワークは、指定事業者契約を勧 めるため。 - 本サービスによって割り当てるIPアドレスのネットワークへの割り当 ては、一度の申請のみで終了するケースが多いと想定している。 このため、割り当てるアドレスの大きさに関わらず、一回の申請一契 約単位とする。 6. サービス用ドキュメント サービスの提供を開始するにあたり、以下のドキュメントを準備する。 また、現在施行中のドキュメントに対し、若干の修正が発生することが予 想される。そのため、適切な周知期間を設けて、ドキュメントを修正して、 新サービスへ対応する予定である。 ・契約書(案) 特殊用途プロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約書 ・手続文書(案) - 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当て/変更/返却申請手続き について - 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当て申請フォーム - 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当て変更申請フォーム - 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当て返却/契約解約フォーム - 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当て契約申込書 - 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス提出情報変更届 7. スケジュール 2003/11 評議委員会審議 理事会審議 2003/12 サービス開始アナウンス 2004/01中旬以降 サービス開始予定 8. IP検討委員会での諮問結果 本件は、2003年10月17日(金)の検討委員会において諮問された。 検討委員会にて審議した結果、本件については評議委員会へ審議依頼事 項として提案する旨の答申を行った。 --------------------------------------------------------------------------