gTLD の現状と今後 1997.8.30 坪 俊宏 (JPNIC DOM-WG) -------------------------------------------------------------------------- 1.gTLD とは 2.gTLD をめぐるこれまでの動きと今後の予定 3.gTLD 共有データベース(共有リポジトリ)について 4.知的財産との紛争解決について -------------------------------------------------------------------------- 1.gTLD とは ・gTLD = generic Top Level Domain(一般トップレベルドメイン) (「.jp」は、nTLD = national Top Level Domain の一つ。) ・定義:住んでいる場所を問わず誰に対しても開かれているTLD。 ・現在あるgTLDは InterNIC が管理する「.com」「.org」「.net」。 ・IAHC(国際臨時特別委員会)が本年2月に勧告した7つの新gTLDが本日の話題。 .firm ビジネスまたは企業 .store 購買できる商品を提供するビジネス .web WWWに関連する活動を強調する組織 .arts 文化的および娯楽的な活動を強調する組織 .rec レクリエーションまたは娯楽的な活動を強調する組織 .info 情報サービスを提供する組織 .nom 個別のまたは個人の名称を希望する者 ただし、開始前にもう一度レビューが入る。例えば、.store が .shop になる可 能性もある。 -------------------------------------------------------------------------- 2.gTLD をめぐるこれまでの動きと今後の予定 ■1995/10 InterNIC が「.com」「.org」「.net」「.edu」「.gov」の登録・維持に関して 課金を開始。(ただし「.edu」「.gov」は当面連邦政府が負担) <http://www.global-commons.com/j/services/hosting/policy-nsi-fee.html> <ftp://rs.internic.net/policy/internic/internic-domain-3.txt> これを契機に、InterNIC の独占問題、並びに、TLD登録業務を競争環境におく べきであるという議論が活発化。 ■1996/8 IANAのJohn Postel氏が、新しいTLDを作ることに関するインターネットドラフト を発表。その内容は、初年度50の登録機関に対して合計150の新TLDを割り当てと いうものであった。 <http://www.alternic.net/draft_postel.html> ■1996/10/22 Internet Society が、新しいTLDを作るためにIAHCを発足させることを発表。 <http://www.isoc.org/whatsnew/iahc.html> ■1996/11/12 IAHCが発足。 <http://www.isoc.org/whatsnew/iahcmembers.html> ■1996/12/19 IAHCが中間報告書を発表し、一般からのコメントを求める。 <http://www.isoc.org/whatsnew/iahcconclusions.html> ■1997/2/4 IAHCが最終報告書を発表。その内容は、新しいTLDを7つ作り、28のレジストラ (全世界の7地域から4機関ずつ抽選で選抜)で共有するというもの。 ・プレスリリース: <http://www.nic.ad.jp/ja/materials/domain-talk/199708/iahc-press-final.txt> <http://www.isoc.org/whatsnew/iahcreport.html> ・最終報告書: <http://www.nic.ad.jp//ja/materials/domain-talk/199708/iahc-final-report.txt> <http://www.iahc.org/draft-iahc-recommend-00.html> なぜ7つなのか? ・DNSはインターネットの運用において非常に重要であり、最初の変更は控えめ な規模とし、後から評価するということにした。 ・これまで商標の世界の人々から、商標を侵害するドメイン名登録を監視する 必要があるため、これ以上新しいgTLDを作るべきではないということを繰り 返し言われてきた。特に、知的所有権の世界の人々は、gTLD-MoU下における 紛争解決処理の実施の実現性を証明することを強く主張している。 <http://www.gtld-mou.org/docs/faq.html> の2.2 レジストラがgTLDを共有するという意味: ・どのレジストラを通じても7つのgTLDに登録申請できる。 ・ドメイン名を変えずに、レジストラを変えることができる。 ・レジストラはサービスと価格で競争。 ■1997/5/1 gTLD-MoU署名式が開催され、80組織が署名。IAHCは解散。iPOC(暫定ポリシー管 理委員会)が継承。 ・プレスリリース: <http://www.itu.int/PPI/press/releases/1997/itu-08.html> ・gTLD-MoU <http://www.nic.ad.jp//ja/materials/domain-talk/199708/iahc-gTLD-MoU.txt> <http://www.gtld-mou.org/gTLD-MoU.html> ・gTLD-MoU署名組織リスト(最新版) <http://www3.itu.int/net-itu/gtld-mou/signat.htm> gTLD-MoU について: 一般トップレベルドメイン覚書(gTLD-MoU)は、インターネットのドメ インネームシステム(DNS)の管理と改善のためのポリシーを策定し展開 するための国際的な管理の枠組みである。ここに含まれるものとしてはと りわけ、新しい gTLD の追加、新しいドメイン名レジストラの選抜、ド メイン名の諸権利に関して紛争が発生した場合に使用される公正な紛争 解決メカニズムの策定、があげられる。 ■1997/5/6 レジストラの抽選方式を廃止。(レジストラの数、地域の制限はなしに) <http://www.iahc.org/press/press-lottery.html> ■1997/7/18 - 10/16 レジストラを公募。 <http://www.gtld-mou.org/docs/application.htm> (配布資料『レジストラ申請受付開始についての発表(1997/7/21)』参照) 本日現在、7社(スペイン1社、米国3社、日本1社、カナダ1社、オーストラリ ア1社)がレジストラに決定。(日本からは、国際調達情報が決定) <http://www.gtld-mou.org/docs/reg-results.html> ■1997/10/15(予定) CORE(レジストラ協議会)の正式スタート。CORE-MoU署名セレモニー(ジュネー ブ?)。 ■1998/1/15(予定) gTLD登録の運用開始(2カ月で安定運用を目指す) (実際の表現としては、「1/15以前に開始するのは難しい」) 第1日目に数多くの申請が来ることに対する対応の検討: ・各gTLD毎にレジストラの申請行列を作り、ラウンドロビン方式で処理する。 ・スタート時の問題を最小限にするため、レジストラを1組織ずつ段階的に取 り込んでいく。 ・一定期間(例えば、30日あるいは60日)内に届いたすべての申請を同時に届 いたものと位置付け、競合していないものはすぐに登録、競合しているもの は紛争解決を試みる。 -------------------------------------------------------------------------- 3.gTLD共有データベース(共有リポジトリ)について ■1997/8/15 共有リポジトリの設計に関する第1回非公式会合 <http://www.euroispa.org/usrd.html> ■1997/9/4-5 CORE共有データベース/リポジトリの設計および技術に関するレジストラ技術 会合(ニューヨーク) ■1998/3/31 NSF/NSI協力協定の終了 ■1998/9/30 NSF/NSI協力協定の移行期間の終了 -------------------------------------------------------------------------- 4.知的財産との紛争解決について ■1997/2/12-14 商標とドメイン名に関するWIPOコンサルタント会合(ジュネーブ) <http://www.wipo.int/eng/internet/domains/index.htm> ■1997/5/26-30 商標とドメイン名に関するWIPO協議会合(第1セッション)(ジュネーブ) ■1997/9/1-2 商標とドメイン名に関するWIPO協議会合(第2セッション)(ジュネーブ) ・ドメイン名異議申し立てパネルに関する実体ガイドライン(1997/5/23) <http://www.gtld-mou.org/docs/racps.htm> <本日配布資料> ・ドメイン名異議申し立てパネルの手続きのためのWIPOルール <http://www.wipo.int/eng/arbit/acprules.htm> ・異議申し立て者の選択オプション(図) <http://www.gtld-mou.org/docs/acps/sld011.htm>