2002/03/01 総会 資料 2-2 2002年度事業計画案説明資料 ■ はじめに 本資料では,日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の2002年 度事業計画案について,補足説明を行なう. ■ 背景と基本的な考え方 JPNICは、2000年度には汎用JPドメイン名登録管理事業開始の準備と、この業務 を代行する別法人(日本レジストリサービス、以下JPRSと略記)の設立に多くの 力を注いだ。続いて2001年度は、汎用JPドメイン名について市場競争に互してユ ーザ利便性の向上を図りつつ、JPドメイン名登録管理業務のJPRSへの移管のため の諸作業を行なってきており、2002年度からそれが実現する。 一方、インターネット基盤整備のための調査・研究・啓発・普及について、新 たに重点分野としての取組みを行ない将来につながる体制を整えることができた。 また、IPアドレスについては、従来のIPv4及びAS番号の登録管理を充実させる とともに、IPv6の普及推進に着手してきた。 2002年度のJPNICは、ドメイン名に関しては、JPドメイン名登録管理業務をJPRS へ完全に移管し、紛争処理方針策定、JPドメイン名の公共性担保、ICANNとの国際 的な協調などの公益目的実現のための業務に取り組んでいく。IPアドレスに関して は、アドレス規則策定や国際的な提案活動など、IPv6普及に向けての活動を更に 推進しく。これらはどれも、JPNICがグローバルなインターネットの良い意味での 牽引車として、大きな貢献をめざしているエリアと考えている。 加えて、イベントやメールマガジンなど、インターネットの普及啓発、情報発信 活動にも2001年度に引き続き積極的に取り組んでいく。 また、昨年の米国のテロを契機に、インターネットのセキュリティが大きな話題 となっているが、JPNICにおいては、インターネット基盤のセキュリティ強化にどの ような形で貢献できるかの検討を早急に進めることを考えている。 ■ 体制 以上の背景を踏まえて、事業遂行の体制については、2001年度のそれを継続する こととした。具体的には、ドメイン名事業、IPアドレス事業、インターネット基盤 整備のための調査・研究・啓発・普及事業(以下「インターネット基盤事業」と略 す)、の三事業体制とし、予算面ではそれぞれJPRSから支弁される費用と業務受託 収入、IPアドレスの維持料・登録料収入、会費及びその他の収入によって賄う体制 を基本とした。また、インターネット基盤事業の中に、2002年度より「セキュリテ ィ事業準備室(仮称)」を設け事業内容のフィージビリティスタディを開始する。 その費用は、予算上、繰越金を充てることで計画した。 ■ 各事業の内容 1. ドメイン名事業 JPドメイン名登録管理業務のJPRSへの移管後も、JPNICは引続き、JPコミュニテ ィの利便性を高める下記の業務を行なっていく。しかしながら移管後は、2001年度 まであった登録管理業務はなくなり、それに付随する収入および支出も発生しない 形となるので、一部の業務(「1.1JPドメイン名紛争処理方針の策定と関連業務」 および「1.5JPドメイン名レジストリのデータエスクロ―業務」)については、JPRS に対して支払われるJPドメイン名の登録料収入・維持料収入等の一部をもって賄わ れる形をとり、それ以外の業務については、JPRSからの委託という形にて遂行する。 なお、「1.6JPドメイン名の公共性の担保に関する業務」については、公益法人とし てのJPNICの役割であり、会費をもって賄うものとする。 1.1 JPドメイン名紛争処理方針の策定と関連業務 ・ICANN、WIPO等の動向調査 ・JPドメイン名紛争処理方針及び手続規則の策定・改訂 ・紛争処理機関の認定作業(連絡・調整作業含む) 等 1.2 ドメイン名に関する情報センター業務 ・世界のドメイン名情報を国内に対して発信・問い合わせ対応(日本語) ・日本のドメイン名情報を世界に対して発信・問い合わせ対応(英語) ・ドメイン名に関するオープンフォーラムの開催 1.3 ICANNを中心とする世界的なドメイン名管理のルール作りへの参加・協力 ・ICANN等の動向調査 ・ICANN等が開催する諸会議に出席 ・ドメイン名検討委員会および専門家による政策の検討・立案 (ICANN、WIPO等のコメント募集への対応を含む) ・政策の実施(政策の普及を含む) 1.4 ドメイン名およびDNSに関する調査研究 ・ルートサーバーに関する調査研究 ・WHOIS等による情報公開とプライバシー問題に関する調査研究 1.5 JPドメイン名レジストリのデータエスクロウ業務 1.6 JPドメイン名の公共性の担保に関する業務 2. IPアドレス事業 従来からのIPv4アドレス、AS番号について、安定的な登録管理を行うために、 業務体制の整備、レジストリシステムの改善を図る。また、IPアドレスに関する 調査、経路情報などのネットワーク状況調査について検討する。 さらに、昨年度より、IPv6に関するIPv6の普及推進活動を実施しているが、 2002年度も引き続き積極的に活動を実施する。主に、IPv6アドレス規則策定 業務、IPv6利用基盤の普及・支援活動を行う。 具体的には、IPアドレスの安定的、持続的な供給を引続き担いつつ、インター ネットの利用形態の多様化や技術革新に迅速に対応していくことを第一として、 次の業務に取組む。 2.1 IPv4アドレスレジストリ業務 ・IPアドレスの割振り、割当てのガイドラインの策定・改訂 ・IPアドレスの安定的供給を果たすための指定事業者との連携業務 等 2.2 APNIC、ASOでのプレゼンスを向上していく国際調整業務 ・NIRポジションの検討と提案策定に関する業務 等 2.3 IPアドレスに関する調査業務 ・グローバルなIPアドレス割当て及び枯渇状況調査 ・ルーティングレジストリにおける研究活動 ・トラフィックモニタリング等のネットワーク情報調査 2.4 IPv6アドレスの国内基盤整備及び普及活動 ・IPv6アドレス取り次ぎサービスの拡張 - 審議の日本語対応サービスの実施(APNICの代行審議) ・IPv6アドレス規則策定 - JP版をもとにAP版を策定。グローバルな規則としての成立を図る。 ・IPv6レジストリシステム仕様検討 - APNICと連携しながら、IPv6アドレス対応の次世代レジストリシステ ムの検討を行う ・コミュニティへの情報提供と意見の集約 3. インターネット基盤整備のための調査・研究・啓発・普及事業 インターネット基盤整備およびインターネットの普及に寄与するために、次の 業務を行なう。 3.1 インターネットの普及に関する広報・教育業務 ・ ドメイン名,DNS,DRP等に関するセミナーの開催 ・パブリックフォーラムの開催(ICANN,IPv6動向等) ・メールマガジン,JPNIC WEB の充実に関する業務 ・Internet Week の開催に関する業務 3.2 ドメイン名およびDNSに関する調査,研究業務 ・ DNSサービスのsecure/stable/scalable運用に関する技術開発 ・ 国際化ドメイン名に関する調査,研究 ・ DNSサービス活用の動向調査・研究業務等 3.3 インターネットの基盤充実のための業務 ・セキュリティ事業の調査,検討 ・ 認証機関業務の調査,研究 ・ インターネットセキュリティに係わる施策提言,情報発信,普及・啓発等