第8回インターネットガバナンス研究会
日時: | 2001.6.29 18:05-20:20 |
場所: | 中央大学駿河台記念館 2階 |
司会: | グローバルコモンズ 坪 俊宏氏 |
参加者: | 56名 |
1. 開会の挨拶 (坪)
2. ICANN ストックホルム会議速報
資料に基づき、 JPRS堀田氏より第10回ICANNストックホルム会議に関する報 告が行われた。
3. At Large 会員制度について(丸山)
資料に基づき、JPNIC丸山氏よりAt Large 会員制度、 状況および活動に関する報告が行われた。
4. 新TLD導入の経緯と最新動向 (大橋)
資料に基づき、JPRS大橋氏より新TLD導入の経緯および最新動向に関する報告が行われた。
[注意事項]
.bizと.infoのスケジュールは大幅に更新されている状況であるため、 関心のある方は、レジストリ組織の情報を直接確認していただきたい。
[補足]
IPクレームとドメイン名申請は別のこと、 IPクレームを行なったからといってドメイン名が優先されることはない。 (DOM-WG 久保)
[質疑応答]
Q) 7つのgTLDの .info, .biz 以外のTLDの動きはどうなっているのか。
A) .pro, .name については動きが見えているが ICANN との調整が済んでいない状態なのでサービス開始はいつかは不明である。 しかしながら、残りの gTLD よりは進展があるように思われる。(大橋)
Q) 新 gTLD については、商標を漢字やローマ字に変換するときの変換の定義はあるのか。
A) 今のところそのような定義や基準は公開されていない。 .biz については登録が始まっているのに商標のガイドラインが出ていない状態である。また、.info は去年の10月に商標登録が行なわれて いるものが対象となるが、.biz については今商標登録を行なっていても対象となる。(大橋)
Q) 商標の定義は日本だと特許庁で行っているが漢字で定義している。 ローマ字への変換の定義はあったのか?
A) 基本的にはないはず。
IPクレームとドメイン申請は別のものである。
IPクレームをしたからといって優先されわけではない。
.BIZの商標のガイドラインを作るらしいが、
登録が始まっているのにガイドラインがまだ出ていない状態である。
業者に直接聞くのがよい。
1日ごとにBIZの料金などかわるので、動きを見たほうがよい。
新gTLDはJPのように理路整然としているわけではないようだ。(久保)
Q) BIZ, INFOはレジストリ・レジストラ形式か? もしそうなら、 レジストラの要件は?.COM と同じなのか。
A) レジストリ・レジストラモデルで行う。
契約の状況は(件数)聞いているが、
レジストラの要件については情報がない。
ICANNのレジストラであるということは確からしい。
(補足).INFO は第2のCOM、BIZはビジネス用途に限っている。
登録時にチェックするが、
あとでRDRP(何者かが不正目的でドメインをとっていたらWIPOに申し立てるもの)制限がある。どんどん新しい言葉が出てくる、注意深いフォローが必要。常に確認したほうがよい(久保)
Q) 他のレジストラは条件をつめているのはICANNとどこでもめているのか?7つ以外の募集はいつ頃か?
A) なぜもめているのかは不明。契約上の問題なので情報は出ていない。
新gTLD7種以外の次の募集についてはまだ情報がない。
現段階の7種も全部は開始されていないので今年はないかもしれない。
運用が始まってから半年後といううわさがあったが、
立ち消えになっていて実際のところはわからない。
(補足)proof of concept という前提でいろいろな目的の TLD を作っている。
実際に市場がどう受け止めるのかを確認してから次のステップへ進むことになる。
ただし、Alternate Roots の問題などがあり、
ICANNが手続を急がなければ混乱が生じる可能性がある。(坪)
Q) 著名商標のリストをつくらないのか? WIPOは勧告を出して保護するようにといっているが、 それと真っ向から対立するのでは?
A) リストがあれば著名商標を事前保護できるが、
新しいgTLDを早く入れたいがいつまでできるのかという議論があり、
すぐにはできないのであとでUDRPを行おうとした。
WIPOに著名商標リストを作れるかと問い合わせたら、
WIPOはICANNからこれですというのが出ていないのでこのままきているという状態。
作らないというのはポリシーでなく、
リスト作りを待っていたらgTLDを早く導入できないため、
今回はリストを作らず新gTLDを導入することにしたと。(堀田)
コンセンサスは確認できていないがラフコンセンサスとしては、
著名商標は保護すべきであるということになっているかと思う。
ただし、いつも著名商標の定義というところで議論がとまってしまう。
特に、一つの国の中での著名性ではなく世界的に著名ということになると定義は非常に難しい。
結果的に、著名か否かでなく、
商標という観点でサンライズ期間などが設けられている。
「著名かどうか」という定義のコンセンサスができれば導入するが、
いままでの流れでは難しいのでは(坪)
今の問題のWIPOは依頼があればリストを検討する状態である。
ICANN側は総論はよいが各論は不可としている。
例えば、「APPLE」といえば、
アメリカではPCメーカーを誰もが連想するがこれを著名商標としてしまうと、
りんご農家がAPPLEのドメイン名を取れなくなってしまう。
日本では防護標章登録制度があるからそれを提示したことがある。
そのなかの「Pilot」や「Sailor」について、
アメリカでは飛行機の操縦士や船員それぞれの組合がドメイン名を取れないのはおかしい、としてかえって揚げ足を取られてしまった。
ICANNとしてはリストを作れないということではなく、
作れるなら作ってもよいとしている。
WIPOにリスト作りを奨励している。
また、ウーロン茶などは中国の著名商標になるが、
日本では普通名詞になるといった状況がある。
よって事前につくるのは難しい。
裁判所は、
個別事例について裁判時に判断するのはできるがリストアップはできないだろう。(久保)
5. 質疑応答
Q) 日本語ドメインのサービスが来年以降と新聞に出ていたがこれはどういうことか?
A) 多言語.com は去年11月上旬、テストベッドを開始した。
このままでは1年近く登録のみになってしまう。
IE5.0のアドレスバーに日本語.comといれれば飛べる仕組みサービスをはじめた。
とりあえずサービスをはじめたということになっている。
技術的にみればそれだけのことだが、
ユーザーの側からみると大きな一歩になっている。
来年までサービスが開始されないという言い回しの意味は、
本格的な日本語.comのサービスを運用するには、
ブラウザだけでなくメールとかほかも必要だからである。
標準化が終わるのは今年の終わりぐらい。
使用できるようになるのは来年だろうという見方が有力である。(堀田)
Q) ICANNというのは本当に必要なのか?
A) 必要だと思っている。
皆さんの意見が聞きたいのでアンケート用紙に考えを書いてほしい。
必要だと思うのはインターネットの仕組みで中心的に調整するところは絶対必要だから。インターネットの発展をみると、
中心的な調整が必要な部分をできるだけ技術に置き換えるということが繰り返されているが、どうしてもゼロにはならない。
中心的に調整する機能は絶対に必要。
伝統的な仕組みでは世界的なWIPO、ITU、ISOなどがあるが、
これと同じようなものがインターネットにも必要。
ただし、今のICANNのような非営利法人がよいかどうかはわからない。
参加者の皆様にアンケート用紙に書いていただきたい。(丸山)
(補足)
個人的に必要だと思う。NSIが昔ドメインを独占していたが、
それを解きほぐしたのがICANNである。
gTLDは誰かが決める必要があった。
ICANNの前にやろうとしたグループが失敗している経緯もある。
みんなの意見をとりあげたのはICANNなのである。
アドレスのほうも同じような状況だろう。
Regional RIR、APINIC、RIPEなど、
ばらばらだったのを世界的に統一する機関が必要と考えている。
ASOでも必要とされている。
レジストリになりたいという組織を判断するのはICANN以外ができなくもないが、
どこかがやる必要がある。(荒野)
当初IANAと呼ばれていた機能は現在ICANNが引き継いでいる。
ICANN/IANA の重要な機能は4つある。
- TLDの管理
- IPアドレスブロックの割当管理
- インターネットパラメータの管理
- ルートサーバの管理
Q) .BIZ、.INFOなどのTLDを世の中に広めるプロモーションは誰がやっていくべきなのか? その主体? レジストラが促進するのだろうが、 エンドユーザに知ってもらう役割は誰が担うのか?
A)ビジネスなので提供する側がやるべきものでは、と単純に考えている。 ICANNがチョイスを増やしているということ周知するのはICANNのアウトリーチではないだろうか。(大橋)
Q)新gTLDへの質問で.INFO等の導入についての.JPへの影響はどう考えているか?
A)ICANNの勉強会なので少し答えにくい。 2つの観点がエンドユーザにはあると思う。 ドメインが増えると選択肢が増えることを良いことと考える人と、 悪いことだと捉える人がいる。 今の.JPや .com にそれぞれいいところがある。 価値を定義するのはレジストリがやることだろう。 ブランドをつくることをしなければならない。 単に空間を提供するというのでなく、 本当の意味での使い方の選択肢を与えるのがレジストリの価値。(堀田)
6. 閉会の挨拶
坪氏より閉会の挨拶があった。