第6回JPNICオープンポリシーミーティング議事録 [午後の部 13:30-17:45] [本議事録について] - 開催概要、プレゼンテーション、決定事項は別途公開しています - 議題1-4についての[午前の部]の議事録は別途公開しています - ここでLIR(ローカルインターネットレジストリ)としてふれられている組 織は、日本ではIPアドレス管理指定事業者に該当します [午後の部 議題] 5.歴史的経緯を持つPIアドレスに関する取り組み (P) 6.運用責任者として登録する担当者について (P) 7.AP地域におけるコンセンサスの、日本での適用について (P) 8.NROアップデート (I) 9.JPNICアップデート (I) 10.まとめ (P) ミーティングでコンセンサスの確認を行う発表 (I) 情報共有を目的とした発表 [発表および質疑応答] 5.歴史的経緯を持つPIアドレスに関する取り組み (JPNIC IP事業部 佐藤香奈枝) [提案概要] 歴史的経緯を持つPIアドレスは、登録情報が古く更新が行われない、IPアド レスのハイジャック等不正に利用されるといった管理上の問題が指摘されて いる。これらの問題を解決することを目的として次の取り組みを提案する。 ・ 更新権限の明確化・認証の強化 ・ LIR への移管を認めること ・ 使用されていないアドレスの回収 [主なご意見] ・対象となるPIアドレスの割り当て先の組織の意見も充分に取り入れたうえ でコンセンサスを形成するべきである。 ・使用されていないPIアドレスの回収については、「使用されていない」の 判断を慎重に行い、回収の期間を公示するべきである。 ・PIアドレスのLIRへの移管については、移管後のIPアドレスの扱いについて、 明確にしてほしい。 ・歴史的PIアドレスにおける課金の方針を明確にしてほしい。 [コンセンサスの確認] ・更新権限の明確化、認証の強化を実装することについて →賛成多数 ・LIRへの移管について →賛成者ゼロ ・使われていないアドレスの回収の実装について →賛成者ゼロ [結論] ・ 更新権限の明確化、認証の強化を実装することについてはコンセンサスが 得られた。IP-USERSのメーリングリスト上で最終的なコンセンサスの確認 を行う。 ・ LIRへの移管、および使用されていないアドレスの回収を実装することに ついては、コンセンサスに至らなかったため、いただいたコメントをふ まえ再度検討をし、必要に応じて再提案を行う。 [コンセンサスの確認に伴う質疑応答] ・以下の事項についてコンセンサスの確認を行いたい。コンセンサスの確認に あたり、意見があればお願いしたい(チェア) - 更新権限の明確化 - LIRへの移管 - 使用されていないアドレスの回収 ・PIを持っている人の意見はどのように反映されるのか。(会場) (回答) ここでコンセンサスを取り、PIアドレスの割り当て先からの意見はip-users メーリングリストを通していただくことを考えている(提案者) ・ip-usersメーリングリストにPIの保持者が全員登録されているとは限らない のでは。(会場) ・現実的にPIアドレスの保持者からすべて意見を求めるのは不可能なので、 ip-usersにPIアドレス保持者が登録されているという前提で、ip-usersで 確認を行うべきである。この考えに賛同していただけるか。(会場) ・ここで決を取りたい。(チェア) ip-usersでの意見募集でよいという方、挙手をお願いします。 ip-usersでは不十分だと思われる方、挙手をお願いします。 ・挙手の結果をこの場でお伝えした方がよいか。(事務局) (回答) お願いします。(チェア) ・母数が64のうち、賛成が24、ということで過半数にはいたらなかった。 反対の方は13名でした。(事務局) (回答) ありがとうございます。他にコメントがありましたらお願いしたい。(チェア) ・コンセンサスを確認するポイントが不明瞭である。提案内容を実施すること に関してコンセンサスを採ろうとしているのか、継続議論することをコンセ ンサスを採ろうとしているのか。(会場) (回答) 更新権限の明確化、認証の強化については、実装に向けてのコンセンサス を本日得たい。しかしながら、LIRへの移管および使用されていないアド レスの回収については、検討をするための情報が不足している部分もあった ので継続議論となってもやむを得ないと考えている。(提案者) ・ではこの提案についてコンセンサスの確認を行いたい。(チェア) - 更新権限の明確化 →賛成多数 - LIRへの移管→0名 - 使用されていないアドレスの回収→0名 ・ありがとうございます。更新権限の明確化についてはコンセンサスが得ら れ、LIRへの移管、使用されていないアドレスの回収については、この場で のコンセンサスではないということで継続議論とする。それでは次の提案 に移りたい。(チェア) [発表内容についての質疑応答] ・経路広告が行われていないIPアドレスであっても使用することを表明した組 織からはそのアドレスを回収しないとのことだが、その場合、同意書の締結 は行うのか。 (回答) はい、回収しないということは、登録情報を維持することになるので、同 意書の締結は行う。 ・提案では「同意書」と述べているが、実質は契約書であると認識した。この 文書は既存のものを利用するのか、新規に作成するのか。また、契約内容に 関する個別対応は可能なのか。 (回答) 現在歴史的な経緯を持つPIアドレスについては同意書、契約書、どちらも 存在しないため、新規に策定することになる。 内容については、問題のないよう、汎用性のあるものにすることを予定し ている。JPNICからご用意した以外の内容で対応できることはお約束はで きないが、ご相談には応じたい。 ・今回の提案対象となっている「PIアドレス」はCIDR以前のアドレス全てと理 解していいのか。もしくは最後のフローチャートに出ている具体的なアドレ スレンジがその対象なのか。 (回答) CIDR以前のアドレス全てが対象との理解でよい。 ・この提案通り実装が進んだ場合、最終的にはARIN、APNIC等とのやり取りは 無くなり、窓口はJPNICに一本化されると理解してよいのか。 (回答) その通りである。現在ARIN管理下のアドレスも現在APNICへの移管を進め ており、最終的にはJPNICが窓口となる。 ・PIアドレス管理について、APNIC配下、JPNIC配下を選択するうえで、それぞ れの違いについて情報は提供してもらえるのか。 (回答) はい、費用については今後検討される事項であるため違いも現時点では明 確にご提示できないが、その時点で明らかになっている情報は全部明らか にする。 ・実際に対象となるPIアドレスの割り当て先組織の意見も考慮したうえで決定 するべきなのではないか。本ミーティングでコンセンサスをとった後、実際 にPIアドレスを持っている人にどう広報していくかが非常に重要と考える。 (回答) 了解した。 ・「経路広告が行われていない=使われていない」という判断は、その方法も 含めて慎重に行うべきである。特に昔からアドレス持っている人は使用は していても、グローバルにルータブルな使い方をしていない可能性もある。 また、「使っていない」と判断するものについては、公示期間を予め提示 しておかないと、トラブルになる可能性があるので、定義したがよい。 (回答) 了解した。 ・LIRへ移管することを選択した場合、移管後もそのアドレスを移管元が使い 続けることができるのか、それとも、一度移管されると、移管を受けたLIR は移管元以外のネットワークにも、そのアドレスを割り当てることが できるということなのか。 (回答) 後者である。すなわち、そのまま使い続けられる、ということではない。 一度LIRに移管されたアドレスの割り当てについてはLIRの判断で元々割り 当てを受けていた組織に対して再割り当てを行うかどうかもLIR判断で行って よい。 ・その場合、元々割り当てを受けていた組織への再割り当てにあたり、審議 が発生する、ということなのか。 (回答) 現在APNICで実施している内容ではそのようなことになっている。逆に、 そのことについて「移管を促進する」という観点からは、審議を不要とす る方法もあるのでは、とJPNICでは考えており、みなさまのご意見をお伺 いしたい。 ・「使用していない」とは具体的にどういう状態を指すのかを明確にして欲 しい。また、使用していないのに、LIRに移管するメリットはどこにある のか。 (回答) 現在、歴史的経緯を持つPIアドレスの返却を促進する枠組みが全くなく、 LIRへの移管を認めれば多少の整理につながるかもしれない、ということ がAPNICからの提案の背景であり、大きなメリットを提示して積極的に移 管を進めるというものではない。 ・移管された側がそのままそのアドレスを利用できるのかなどを明確にして いただかないと、判断が難しい (回答) 了解した。 ・IPアドレス管理指定事業者が、/24 のPIアドレスの移管を受けた場合、そ の指定事業者は/24のサイズに対して「/20以下」のランクをもとに維持料 を課金される、ということになるのか。 (回答) 割り振り基準を満たした組織が指定事業者となるため、/24のアドレスだ けを持って いる指定事業者は存在しない。基本的には最低でも、最小割 り振りサイズである/20の割り振りは受けているため、それに加えて/24の アドレスの移管を受けた場合、「/19以下」のカテゴリで維持料が課金さ れることになる ・PIアドレス割当先に連絡は取れないが、そのアドレスが広報されていると いうケースについてはどうするか。 (回答) そのようなケースについては、別途何らかの方法で連絡を試みる、という フローにしており、代案は現在想定していない。まずは整理できるものか ら整理する、ということで考えており、今後そういうケースが出てきた際、 また相談する、ということにしたい。 ・そのようなケースが日本に存在した場合、ISPに対して問い合わせがくるの か、また、ISP側に何らかの責任が発生するのか。例えば組織再編があり、 組織の名前も担当者も変わったので、元々の割当先に連絡取れない、とい うケースの場合、どのように対応すればよいのか (回答) 連絡については情報の登録が行われている組織に対して連絡をとることま では検討しているが、その先の対応についてはまだ検討が進んでいない。 ・登録者とは連絡が取れないが使用されている、というケースについては再 度連絡を試みる、というループに入るのではなく、どこかで関係者間で協 議、ということを決めればよい。また、その時点で接続先ISPと連絡を取り 合う、とは今回定義していないので、もし連絡を取るのであれば、明確に 書いていただいた方がよいだろう。 (回答) 了解した。 ・本提案は、移管先と移管元が同じ組織であることを想定しているか。 (回答) あり得るケースではあるが、それだけを想定したものではない。 ・LIRが客を囲いこむ手段として使われかねないのではないか。一旦移管 してしまうと、LIRを変えることが難しく、移管に伴う不利益については、 予め明らか にした方がよい。 ・今、この段階で、回収するということについてどこまでが決定事項になっ たのかわからない。実行するということが決まったのか、実行方法を今議 論しているのか。 (回答) 回収することが唯一の目的ではなく、整理していく、ということが大きな 目的であるため、回収に焦点を絞ったご説明は行っていない。 ・使っている側の立場からすると、IPアドレスの回収に伴い、システムの再 構築が必要となるため、実装時期を教えてほしい。 (回答) ご指摘のケースは、PIアドレスを現に使っており、今後も使い続けるとい うケースであると理解した。そのようなケースは回収の対象外となるため、 システムの再構築を行い、回収に向けての準備を行っていただく必要はない。 ・PIアドレスの課金について今回触れていないが、説明してほしい。 (回答) 料金を設定するのは難しい問題。歴史的PIについての課金は前向きに考え ているが、今回の話はそれとは独立して、歴史的PIの管理を現在よりも改 善することを主眼にご提案している。 ・PIの返却に合意するか、しないかの判断にあたり、課金は大きな検討材 料となるため、方針は明確にしてほしい。また、返却に伴いリナンバが必要 となり、通常よりも長めの期間をいただきたい。 (回答) 課金するという方向で検討をしており、それを提示いたします。返却に要 するリナンバ期間などについては、今年度中に方針の目処をつけたいと考 えている。(前村) ・LIRへの移管を認めた場合、割り振り審議の負荷を避けるためにIPアドレ ス管理指定事業者がPIアドレス保持者からIPアドレスを買収するケース が出てくるのではないか ・移管を受けることを繰り返して審議を回避する、という行為を認めるの か、認めないのか、方針を決めればよい。個人的にはそれは勝手にやら せればいいと思う (回答) JPNICは両者合意のもとの移管であれば、それ以上については関与しない。 ・大学等、非営利で歴史的PIアドレスの割り当てを受けている組織は。それ でビジネスをしているわけではないので、課金されても払えないケースも あるだろう。そのようなアドレスの割り当てを受けている営利企業と、扱 いを分ける必要性についても検討してほしい。 (回答) 課金の検討を行う際には、PIアドレスの割り当て先と充分に連絡を取り、 そこでいただいたご意見を考慮しながら進めていきたい。 ・対象となるPIアドレスのリストを提示してほしい。 (回答) 割り当て先も特定したかたちでは、個人情報保護の問題等から提示するこ とはできないが、なんらかのかたちで、例えばWebページでの公示等によ り今回の提案の対象となる、IPアドレスレンジについてはご確認いただけ るようにする。また、JPNICにお問い合わせいただければ、該当するかど うかご連絡することは可能。 6.運用責任者として登録する担当者について (JPNIC IP事業部 鈴木由佳) [提案概要] JPNICデータベースにおけるネットワーク情報中のm:[運用責任者]として 登録する担当者は、原則として、割り当てを受けたネットワークの代表者 とするが、連絡の代行者として、その他の担当者を登録することも認める。 また、 m:[運用責任者]の項目は、「公開情報連絡窓口」として読み替え、 今後項目名を変更する方向で検討する。 [主なご意見] ・運用責任者は原則割り当てを受けたネットワークの代表者とし、代行は 正当な理由があった場合にのみ認めるべきである。 ・代行を認める場合の具体的な条件を明記するか、代行を認める場合、 その都度JPNICに確認を取る方式にしてほしい。 ・正当な理由があれば代行を認めることには賛成だが、代行を行う度にJPNIC に確認を取らなければいけないことは反対である。 [コンセンサスの確認] ・運用責任者として登録する担当者の代行について以下の確認を行った →JPNICからの当初の提案内容に賛成:18名 →「正当な理由ある場合/事情がある」という条件を付すことで賛成:35名 →「JPNICが認める場合」という文を付すことで賛成:0名 →代行を認めること自体に反対:1名 ・JPNICのデータベース登録項目としての、m:[運用責任者]は、「公開情報 連絡窓口」として読み替え、今後この表示方法について変更する方向で 進めることについて、反対意見はなかった。 [コンセンサスの確認に伴う質疑応答] ・会場からのコメントを反映したかたちで再度提案した以下の定義について 「原則として」と「望ましい」は重複しているため、両方記述する必要は ないとの指摘があった。 「原則としてその割り当てられたネットワークに関する判断ができる担当 者を登録することが望ましい。ただし、正当な理由がある場合は、その 担当者と連絡が取れる人を登録してよい」 ・再度提案した内容そのものについてはコメントはなかった。 [結論] ・正当な理由/事情がある場合、m.[運用責任者]の項目への登録する人物とし て、割り当てを受けているネットワークの代表者以外の担当者も認めると する ・運用責任者の登録について定義を行った最終的な文案をIP-USERS上の メーリングリストへ提示し、最終的なコンセンサスの確認を行う。 [発表内容についての質疑応答] ・代行できる範囲を正確に限定しておかないと、スパマー等が自らの名前を 公開せずに悪事を働くことに利用する可能性があるのではないか。代行を 認める場合の具体的な条件を明確にしてほしい。 (回答) 提案にあたり、代行の具体的な条件についても検討したが、想定できるす べての条件を網羅して定義することは難しい。割り当てを受けたネット ワークの代表者以外であっても連絡が取れる担当者の登録を認めれば、 実質の目的は果たしていると考え、今回の内容で提案を行った。代行を 認める条件について、どこまでを具体化させるべきか極めて線引きが難しい。 ・ abuse(ネットワークの不正利用)対応等の関係で、裁判所等から連絡先の 開示について正式に依頼された場合、代行した担当者を登録しているときは どのような対応をすればよいのか。現時点では、本来の運用責任者が登録 されており、すでにJPNIC WHOIS で公開されている情報であるため、参照 先を案内するだけで対応できている。しかし、ISPの担当者を代行で登録し た場合、本来の運用責任者の情報はISPにとっては顧客情報となるため、 捜査令状等がない限り、簡単に情報提供を行うことはできなくなる。 (回答) JPNICではWHOIS上、一部非公開としている項目の情報開示を求められた 場合、開示請求の手続きを行っていただくことにより対応している。 恐らくはISPの側でも同様の対応を適宜していただくことになるだろう。 ・本提案の適用に伴い、m.[運用責任者]の情報中現在非公開となっている 項目も公開されることになるのか。 (回答) いいえ、項目名の読み替えを検討しているだけで現在非公開としている 項目を公開することは提案していない。 ・現時点ですでにabuse(ネットワークの不正利用)対応が増えているうえに、 代行を認めると ISP にとって負荷が増えることになることを懸念している。 (回答) その場合、具体的な代行の条件を定義しなくても「原則としては割り当てを 受けた組織の担当者を登録するべきであるが、正当な理由があれば代行を認 める」といった消極的な定義に変更すれば懸念は解消されると理解して問題 ないか。 ・問題ないが、具体的な条件を明記しないのであれば、代行を行う際、 JPNICに代行を認めてよいのか審査をしてほしい。 ・当初のJPNICからの提案に賛成だったが、代行基準を明記せず代行を行う度に JPNICに正当な理由を問合せをしなければいけないとすると、逆に業務の負荷 が増えるのでその案には反対である。 (確認) 運用責任者の代行になんらかの条件を設けること自体は問題ないのか。 ・問題ない。代行は、依頼があれば引き受けなければいけないというものでは なく、ISP が自ら判断することが認められ、かつ、代行にともないJPNICへ の確認・手続が煩雑にならないのであればよいと考えている。 ・代行を認める提案に賛成である。代行を行わなかった場合でも、割り当て先 の担当者と連絡が取れなかった場合、いずれにしても最終的にはISP へ連絡 が来るのだから、トラブルが一定期間放置されてから来るよりも、最初から 連絡してもらった方が対応しやすい。従って、原則は割り当て先の担当者を 登録するべきであるとの一文を追記しても問題ないが、代行は認めてほしい。 そして、代行する度にその理由の正当性についてJPNICに審議/問い合わせる ことは避けたい。 ・このポリシーが適用された場合、基本方針として、運用責任者の代行を認め るかどうかはISPで判断して(代行を認めないという方針でサービスを提供し ても)問題ないのか。 (回答) 問題ない。 ・複数の人を介するかたちでも連絡が取れれば問題ないのか。 (回答) 現実的に許容される範囲で最終的に連絡がつけば問題ない。 7.AP地域におけるコンセンサスの、日本での適用について (P) (JPNIC IP事業部 奥谷泉) [発表概要] AP地域でコンセンサスが得られたポリシーに対する日本での適用に関する 報告と提案を行った。 日本で適用が求められるAPコンセンサス(報告のみ) 1) 閉じたネットワークへのIPv6アドレスの割り振り 2) IPv6アドレスの割り振りにおけるIPv4インフラストラクチャの考慮 日本で適用する方向のAPコンセンサス(施行にあたり確認) 3) IPv4アドレス初回割り振り基準・最小割り振りサイズの変更 日本で独自に適用の判断ができるAPコンセンサス(提案) 4) JPNICデータベースにおける割り当て情報(ネットワーク情報)の 公開任意化 [主なご意見] ・JPNIC WHOISでも、割り当て情報の非公開を可能とすることについて、 検討してほしい [確認事項] ・閉じたネットワークへのIPv6アドレスの割り振り、IPv6アドレスの割り振 りにおけるIPv4インフラストラクチャの考慮を認めることについてJPNICで 施行を予定していることについてご報告した →特に意見はなかった。 ・IPv4アドレスの初回割り振り基準・最小割り振りサイズの変更を施行する ことで問題ないか確認を行った →特に反対意見は無かった。 ・WHOISデータベースにおける割り当て情報を非公開可能とすることについて コンセンサスの確認を行った →非公開可能とはしない(現在のJPNIC方式):多数 →反対:3名 [結論] ・ミーティングでコンセンサスが得られた以下の内容についてIP-USERSメー リングリストへ提示し、最終的なコンセンサスの確認を行う。 - IPv4アドレスの初回割り振り基準・最小割り振りサイズの変更 - WHOISデータベースにおける割り当て情報を非公開可能としない [コンセンサスの確認に伴う質疑応答] ・ネットワーク情報の公開を任意化しないことについてはコンセンサスが得 られたと認識している。ただし、APNICと同様の運用するべきという点をコ ンセンサスに追加するかどうかについては、この場で確認すべきである。 ・ネットワーク情報をすべて非公開とした場合、WHOISで検索を行ったIPアド レスは、割り当てが行われているかどうか確認可能であるのかによって、 賛成・反対の判断が異なる。その点を明確にするべきではないのか。 ・今回の提案内容には含まれていないため、APNICと同じにするべきという意 見があったことを議事録に残し、それをもとにJPNICで検討を行い、今回の コンセンサス確認には含めないということでどうか。(JPNIC) (回答) それでよい。(当初の発言者) ・ネットワーク情報の全項目を公開するいうオプションが欲しいのではなく、 全項目非公開というオプションが欲しいということがコメントの主旨であっ たことを補足する。 [発表内容についての質疑応答] ・JPNICはIPv6アドレスにおいてAPNICの取次ぎを行っているのであれば、こ こで、APNICでコンセンサスが得られたIPv6ポリシー適用の是非を議論する 必要があるのか。 (回答) ご指摘の通りである。基本的に今回のIPv6ポリシー提案はそのままJPNIC としても施行とすることになるが、もし意見があればお伺いしたいという スタンスである。 ・変更された最小割り振りサイズでの割り振りは、どの具体的にレンジのブ ロックから行われるのかは決まっているのか。ISPのフィルタリングに影響 があるため、知りたい。 (回答) 具体的なブロックはまだ決まっていないが、決めて知らせるということを APNICから聞いている。/21の割り振りが行われるレンジが/8になるか/9に なるかは現時点では不明。 また、APNICでWebサイトに/8毎の最小割り振りサイズが掲載されており、 そこで参照できる。 (事後補足) APNICが管理を行っているブロックにおける最小割り振りサイズは以下の URLから参照可能。これによると58/8のレンジから/21の割り振りは行っ ている。 「Allocation sizes within APNIC IPv4 address ranges」 http://www.apnic.net/db/min-alloc.html ・Whoisデータベースにおける割り当て情報の公開任意化について、APNICか らNIRに実装が一任されていることだが、JPNICはミーティングでどういう スタンスを表明したのか。 (回答)JPNICとしては、賛成を表明した。 ・そうであれば、JPNICとしては対応しないにも関わらず、なぜAPNICがネッ トワーク情報の公開を任意化することについて賛成したのかが理解できない。 (回答) APNICでは電話番号等個人のプライバシーに関わる項目も含め、割り当て 情報におけるすべての項目を公開しており、情報の一部項目を非公開とし ていない。従って、すべてを公開するか、すべて非公開するか、どちらか の対応になる。JPNICでは既に、ネットワーク情報のうち、一部の項目を 非公開として対応しているが、同じポリシーをAP地域全体に求めることが 必ずしも適切ではないと考え、NIRで独自の判断を行ってもよいことを確 認のうえ、賛成を表明した。 ・私はAPNIC方式に賛成である。APNICとJPNICのWHOISで表示が異なるのはわ かりにくいし、なぜ非公開にする選択肢がないのかが理解できない。 (回答) 選択肢は確かにないが、守らなければいけない項目が公開されていな いのであれば目的は達成でき、特に問題はないのではないか、と考えた。 これについてはみなさまのご意見を確認させていただきたく、この場での 提案に至っている。 ・個人情報の保護を目指して運用しているのはありだと思うが、全項目非公 開という選択が他の地域で選べるのであれば、JPNIC地域でもその選択がで きるようにしてほしい。新システムの導入にあわせて検討してほしい。 (回答) JPNIC方式では利便性に欠ける、という指摘と理解した。 新システムで対応する余地があるかもしれないので、ここでは現状の JPNIC方式を維持するこということでコンセンサスいただき、APNIC方式の 採用については、今後JPNICで検討する、ということにさせていただきた い。 [事後補足] 前回のミーティングでJPNICの検討事項としてお預かりした件の検討状況を 以下にご報告する。 1. APNICとJPNIC WHOISで一部一致しない登録情報についての対応 一部のPIアドレスにおいては、過去の管理権限が整理されていないこと によりJPNIC のWHOIS では登録されていながらもAPNICのWHOISでは登録 されていない、等の情報が存在している。歴史的経緯を持つPIアドレス の更新権限を整理する過程において、APNIC管理下、JPNIC管理下のどち らをご希望であるのか、確認を行っていく予定である。その際、各々の WHOISでの登録情報も適切な更新を行うため、登録情報の不一致は改善さ れていくと考えている。 その他の情報についてはPIアドレス、そしてすべてのPAアドレスにおい ては、JPNIC WHOISでの登録情報をAPNIC WHOIS へ転送しており、週に一 度、更新を行っている。 2.JPNICからAPNICに転送を行っている割り当て情報について、APNICで非公 開が選択できるのか、APNICへ確認を行う JPNIC WHOISにおけるネットワーク情報の非公開任意化とあわせて、APNIC WHOISへ転送している情報の扱いについても、引き続き検討を行う。現在 の状況としてはAPNICでのシステム対応が遅れているため、現時点では特 に進捗はないが、APNICでの運用がかたまり次第、APNICへ相談する。 8.NROアップデート (JPNIC IPアドレス担当理事/APNIC理事 前村 昌紀) [発表概要] RIRの共同組織であるNRO設立までの経緯、NROの役割等について紹介を行っ た。 [質疑応答] なし 9.JPNICアップデート (JPNIC IP事業部 佐藤晋) [発表概要] JPNIC IP事業部の活動、IPアドレス・AS番号の統計について紹介を行った。 [質疑応答] なし 10.まとめ (JPNIC IPアドレス検討委員長 芦田宏之) 第6回JPNICオープンポリシーミーティングでのコンセンサスの確認が、発表資 料に基づき、行われた。 2.JPNICポリシー策定プロセスの提案について ・コンセンサスが得られた内容については意見はなかった。 [質疑応答] ・ポリシー文書のコメントを募集する期間の一定期間とは、どのくらいの 期間を示すのか明確にしておいた方がよい。 (回答) ドラフト公開後、最低2週間のコメントの募集期間を設け、コメント期間 の延長は、オープンポリシーミーティングのチェアが判断できるものとする。 [結論] ・提案を行ったポリシー策定プロセスでコンセンサスが得られた。 ・ポリシー策定プロセスの文書のドラフト公開後、2週間以上のコメント募 集期間を設け、IP-USERSのメーリングリストで最終的なコンセンサスの確 認を行う。 ・初年度のポリシーワーキングループのチェアは藤崎智宏氏とする。 4.既割り振りIPv6アドレス空間の拡張について ・コンセンサスが得られた内容については意見はなかった。 [質疑応答] ・IP-USERSのメーリングリストに意見を求める期間はどのくらいか。 (日本電信電話 藤崎) →2週間とする。この期間は、藤崎氏から本ミーティングで出た意見を 反映させた内容をメーリングリストに出してからの期間である。 [結論] ・ミーティングでご紹介した内容に、会場からの意見を反映させ、APNICに 対して提案を行う ・提案者が会場からの意見を反映させた内容をIP-USERSのメーリングリスト へ提示し、2週間以上のコメント募集期間を設け、最終的なコンセンサス の確認を行う。 5.歴史的経緯を持つIPアドレスに関する取り組みについて(P) 以下のコンセンサスの確認が行われた。 ・PIアドレスの割り当て先からの意見収集にあたり、IP-USERSのメーリング リスト上のみで意見を求めることに十分だと考えるか →十分である 24/64 →充分ではない 13/64 ・更新権限の明確化、認証の強化を実装することについて →賛成多数 ・LIRへの移管、使われていないアドレスの回収の実装について →賛成者ゼロ。 [質疑応答] ・本日参加していない歴史的経緯を持つPIの割り当てを受けている人の意見 をどのように吸収するのか。 (回答) IP-USERSのメーリングリストで求めることで考えている。 ・IP-USERSのメーリングリストに登録されている人と、PIの割り当てを受け ている人は異なるのではないか。 ・現実的にPIの割り当てを受けている人全員の意見を収集することは難しい。 IP-USERSのメーリングリストにPIの割り当てを受けている人が登録をして いるという前提で行うのならよいのではないか。 ・コンセンサスを確認するポイントが不明瞭である。提案内容を実施するこ とに関してコンセンサスを採ろうとしているのか、継続議論することをコ ンセンサスを採ろうとしているのか。 (回答) 更新権限の明確化、認証の強化については、実装に向けては本日コンセ ンサスのご確認をお願いしたい。しかしながら、LIRへの移管および使用 されていないアドレスの回収については、検討をするための情報が不足 している部分もあり、継続議論となってもやむを得ないと考えている。 [結論] ・ 更新権限の明確化、認証の強化を実装することについてはコンセンサスが 得られた。IP-USERSのメーリングリスト上で最終的なコンセンサスの確認 を行う。 ・ LIRへの移管、および使用されていないアドレスの回収を実装することに ついては、コンセンサスに至らなかったため、いただいたコメントをふ まえ再度検討をし、必要に応じて再提案を行う。 ・ ミーティングでのコンセンサスとしては、PIの割り当てを受けている人 の意見を収集するのにあたり、IP-USERSのメーリングリスト上での確認 で十分であるとし、この点についても、最終的なコンセンサスの確認を IP-USERSのメーリングリスト上で行う。 6.運用責任者として登録する担当者について ・コンセンサスが得られた内容については意見は無かった。 [質疑応答] ・提示されている文面において「原則として」と「望ましい」は同義であ るため、両方記述する必要はない [結論] ・正当な理由/事情がある場合、m.[運用責任者]の項目への登録する人物と して、割り当てを受けているネットワークの代表者以外の担当者も認め るとする ・運用責任者の登録について定義を行った最終的な文案をIP-USERS上のメー リングリストへ提示し、最終的なコンセンサスの確認を行う。 7.AP地域におけるコンセンサスの日本での適用について IPv4アドレスの初回割り振り基準・最小割り振りサイズの変更 ・コンセンサスが得られた内容については意見はなかった。 WHOISデータベースにおける割り当て情報の公開任意化 ・コンセンサスが得られた内容について反対意見はなかった ・APNICと同様の運用を実装するべきかについてコンセンサスを取る必要 はないのか、確認が行われたが、コンセンサスは取らないとの結論となっ た。 [質疑応答] ・ネットワーク情報の公開を任意化しないことについてはコンセンサスが得 られたと認識している。ただし、APNICと同様の運用するべきという点を コンセンサスに追加するかどうかについては、この場で確認すべきである。 ・ネットワーク情報をすべて非公開とした場合、WHOISで検索を行ったIPア ドレスは、割り当てが行われているかどうか確認可能であるのかによっ て、賛成・反対の判断が異なる。その点を明確にするべきではないのか。 ・今回の提案内容には含まれていないため、APNICと同じにするべきという 意見があったことを議事録に残し、それをもとにJPNICで検討を行い、今 回のコンセンサス確認には含めないということでどうか。(JPNIC) (回答) それでよい。(当初の発言者) ・ネットワーク情報の全項目を公開するいうオプションが欲しいのではな く、全項目非公開というオプションが欲しいということが、発表後に行っ たコメントの主旨であったことを補足したい。 [結論] ・ミーティングでコンセンサスが得られた以下の内容についてIP-USERSメー リングリストへ提示し、最終的なコンセンサスの確認を行う。 - IPv4アドレスの初回割り振り基準・最小割り振りサイズの変更 - WHOISデータベースにおける割り当て情報を非公開可能としない ・割り当て情報の非公開について、APNICと同様の運用をするのか、JPNIC で検討する。 [閉会] 17:45に閉会いたしました。 以上