JPNICにおけるIPアドレスポリシー策定プロセス(ドラフト版) *目次* 1. 目的 2. 定義 2.1. オープンポリシーフォーラム 2.2. オンサイトフォーラム 2.3. オンラインフォーラム 2.4. JPNICポリシーワーキンググループ 2.5. ポリシー提案 2.6. IPアドレス管理指定事業者との関係 3. 関係機関の役割 3.1. JPNICの役割 3.2. ポリシーWGの役割 4. ポリシー策定プロセス 4.1. ポリシー提案の検討ステップ 4.1.1. ポリシー提案の提出 4.1.2. APNICに対する提案の必要性の確認 4.1.3. ポリシー提案の公開 4.1.4. ポリシー提案の議論 4.1.5. コンセンサス 4.1.6. 最終コメント期間 4.1.7. 最終的なコンセンサスの確認 4.1.8. コンセンサス内容の確認と実装勧告 4.1.9. JPNICによる実装検討 4.1.10. JPNICによる承認プロセス 4.1.11. JPNICによる結果報告 4.2. ポリシー提案の棄却 5. APNICとの関係 5.1. APNICでの決定事項 5.1.1. APNICオープンポリシーミーティング前の対応 5.1.2. APNICオープンポリシーミーティング後の対応 5.2. オープンポリシーフォーラムでコンセンサスを得た事項のAPNICへの提案 1. 目的 JPNICにおけるアドレス空間管理ポリシーは、JPNICをはじめとする、日本国内 で機能している全てのインターネットレジストリが実施するものとして、アジ ア太平洋地域のコミュニティとも連携をとりながら、日本国内のインターネッ トコミュニティのコンセンサスに沿い、策定されるものです。 本文書は、JPNICにおいて適用されるIPアドレス及びAS番号の管理に関するポ リシーが策定されるプロセスを定義したものです。 2. 定義 2.1. オープンポリシーフォーラム オープンポリシーフォーラムは、日本におけるIPアドレス及びAS番号の管理 に関するポリシーを検討し、日本のIPアドレスコミュニティで調整し、コン センサスを形成するための場です。JPNICからポリシー提案を行う場合も、 本文書に定義するプロセスを経るものとします。 オープンポリシーフォーラムは、ポリシー策定に関する最終的な決定機関で はありません。ポリシー策定に関する最終決定は、オープンポリシーフォー ラムのコンセンサスに基づいてJPNICによって行われます。 オープンポリシーフォーラムには特に参加資格を設けておらず、誰でも参加 することができます。また、オープンポリシーフォーラムは、以下に定義す るオンサイトフォーラム及びオンラインフォーラムで構成されるものとしま す。 2.2. オンサイトフォーラム オンサイトフォーラムはポリシー提案が提出され、その場でコンセンサス形 成に向けた議論が行われる、オンサイトで(会議場に参加者が集合して)行 うミーティングであり、JPNICオープンポリシーミーティングがこれにあた ります。 2.3. オンラインフォーラム オンラインフォーラムは、IPアドレスポリシーに関する議論・情報交換・情 報提供を行うとともに、オンサイトフォーラムで得られたコンセンサスを確 認を行うために、メーリングリストで構成されるものであり、IP-USERSメー リングリストがこれにあたります。 2.4. JPNICポリシーワーキンググループ オープンポリシーフォーラムで得たコンセンサスの内容の整理、コンセンサ ス事項の妥当性の評価を客観的に行う機関として、JPNICポリシーワーキン ググループ(以下、「ポリシーWG」)を設置します。ポリシーWGはJPNIC職 員以外のメンバーによって構成されるものとし、その選任の方法については、 別途定めるものとします。 2.5. ポリシー提案 本文書において対象となるポリシー提案とは、JPNICにおいて適用されてい るIPアドレス及びAS番号の管理・運用ポリシーに関し、それを改廃、または 新設する提案とします。 2.6. IPアドレス管理指定事業者との関係 IPアドレス管理指定事業者(以下、「指定事業者」)に対しては、ポリシー の実装にあたって指定事業者連絡会においてJPNICから報告、説明が行われ ます。指定事業者連絡会は、本ポリシー策定プロセスにおいて報告、説明の 場と位置付けられ、ポリシー提案内容について調整し、合意する場ではあり ません。従い、指定事業者の方々においてポリシーの実装検討にコメントが ある場合は、オープンポリシーフォーラム上で行っていただかなくてはなり ません。 3. 関係機関の役割 3.1. JPNICの役割 JPNICは、日本においてIPアドレス・AS番号の割り振り、割り当て、管理を 行う団体であり、それに際し、実行可能なポリシーを作成し、施行するとと もに、そのポリシーに関して責任を負います。 JPNICはオープンポリシーフォーラムにおいて、以下の役割を担います。 (1) IPアドレスコミュニティの一員としての、ポリシー提案の実施 (2) IPアドレスコミュニティのコンセンサスを得たポリシーに関し、そのポ リシーを実際に施行するかについての最終検討、最終決定 3.2. ポリシーWGの役割 ポリシーWGは、以下の役割を担います。 (1) コンセンサス内容の整理と、コンセンサス内容の妥当性の再評価 (2) JPNICに対する、ポリシー提案の実装勧告 また、特にポリシーWGのチェアは、上記に加え以下の役割を担います。 (3) オープンポリシーフォーラムの進行 (4) オープンポリシーフォーラムにおける、コンセンサスの判断 (5) オープンポリシーフォーラムを円滑に運営するために必要な事務作業を 遂行する事務局の設置 4. ポリシー策定プロセス 4.1. ポリシー提案の検討ステップ ポリシー提案は、以下の順序に沿って議論され、採用、実装が検討されます。 4.1.1. ポリシー提案の提出 ポリシー提案は、ポリシーWGが別途指定する方法、様式、期日に従い、ポ リシーWGに対して提出されなければならないものとします。 4.1.2. APNICに対する提案の必要性の確認 ポリシーWGは、提出された提案について、APNICに対しても提案が必要か の確認をJPNICと共同で行い、結果を提案者に対してお知らせします。 4.1.3. ポリシー提案の公開 ポリシーWGは、提出されたポリシー提案を、オンサイトフォーラム開催に あたり、事前に、Webもしくはオンラインフォーラム上、あるいはその双 方で公開します。 4.1.4. ポリシー提案の議論 提案者は、提出したポリシー提案に関する説明をオンサイトフォーラムの 場で行い、参加者の質問に対応するものとします。 4.1.5. コンセンサス 提出されたポリシー提案に対し、オンサイトフォーラムの参加者の過半数 の賛同が得られた場合、そのポリシー提案はコンセンサスを得たものとし ます。このコンセンサスの確認は、ポリシーWGのチェアによって行われま す。このコンセンサスを「1次コンセンサス」と呼びます。 4.1.6. 最終コメント期間 1次コンセンサスを得たポリシー提案は、オンラインフォーラム上で、最 低2週間の最終コメント期間を経るものとします。ただしポリシーWGのチェ アの裁量で、当該期間は延長できるものとします。 4.1.7. 最終的なコンセンサスの確認 前項の最終コメント期間において、本質的な反対がなければ、当該ポリシー 提案は最終的なコンセンサスを得たものとします。この判断は、ポリシー WGのチェアによって行われます。 4.1.8. コンセンサス内容の確認と実装勧告 最終的なコンセンサスを得たポリシー提案については、ポリシーWGによっ てその内容の妥当性の再評価が行われ、コンセンサスの内容が整理されま す。その結果をもって、ポリシーWGはJPNICに対し、当該ポリシー提案の 実装勧告を行います。 4.1.9. JPNICによる実装検討 JPNICでは、ポリシーWGからの実装勧告を受け、実務的な面で実装が可能 か、採算上問題ないか、APNICのポリシーに反しないかなどの確認と検討 を行います。 4.1.10. JPNICによる承認プロセス 実装勧告に対するJPNICによる実装可否判断は、JPNICの理事会の審議を経 て最終的に決定されます。 4.1.11. JPNICによる結果報告 JPNICによる実装検討の結果は、オープンポリシーフォーラムへ報告され ます。実装が決定したポリシー提案については、実施日などの調整を行っ たうえで施行されることになります。 4.2. ポリシー提案の棄却 提出されたポリシー提案は、以下のような場合に棄却となります。 (1) オンサイトフォーラムの場で、参加者の過半数の賛同を得られなかった 場合 (2) オンサイトフォーラムでは参加者の過半数の賛同を得たが、オンライン フォーラムでの最終コメント期間中、最終的なコンセンサスの確認が取 れないとポリシーWGのチェアが判断した場合 (3) 最終的なコンセンサスが確認されたが、その内容が妥当でないとポリシー WGによって判断された場合 (4) ポリシーWGからの実装勧告に対し、JPNICが実務的な面、採算上の問題、 APNICとのポリシーとの整合性等の観点から実装することができないと 判断した場合 (5) ポリシー提案の実装がJPNICだけで決定できず、APNICに提案する必要が あり、その提案がAPNICオープンポリシーミーティングにおいて賛同を 得られなかった場合 提出されたポリシー提案が棄却された場合、上記 (2), (3) においてはポリ シーWG、(4), (5) においてはJPNICが、オンサイトフォーラムまたはオンラ インフォーラム、もしくはその両方で、棄却となった理由について報告する ものとします。 5. APNICとの関係 5.1. APNICでの決定事項 JPNICはIPアドレスの管理構造上、APNICの下位組織として日本のIPアドレス 管理を委任されている国別インターネットレジストリ(NIR)です。従い、 APNICで決定された事項については、JPNICにおいてもその施行を求められま すが、内容によってはJPNICにおいて施行するかどうか、あるいは内容を変 えて施行するかどうかの判断を、JPNICが行ってよいとされているものがあ ります。 (1) JPNICが判断を行ってよいもの JPNICがAPNICの決定事項に関し実装検討を行い、IPアドレスコミュニティ の一員としてオープンポリシーフォーラムに提案を行います。以降は、 [4.1. ポリシー提案の検討ステップ]に沿ってその実装が検討されます。 (2) JPNICにおいて実施することが求められるもの JPNICがAPNICの決定事項に関し実装検討を行ったうえ、JPNICの理事会 の審議を経て実装可否を決定し、オープンポリシーフォーラムに報告を 行います。この場合、実装がAPNICで決定しているため、オープンポリ シーフォーラムでの検討の対象とはなりません。ただし、本件について はAPNICでの正式決定前に、[5.1.1./5.1.2.]に定める通り、APNICオー プンポリシーミーティング前後に、コメントを受け付ける期間をオンラ インフォーラム上で設け、コメントをAPNICに対しフィードバックしま す。また、実装に際し重大な問題がある場合には、オープンポリシー フォーラムで意見をまとめAPNICに提案を行うことを検討します。 5.1.1. APNICオープンポリシーミーティング前の対応 APNICに対してなされたポリシー提案(オープンポリシーフォーラムから APNICに対してなされた提案に限りません)については、APNICオープンポ リシーミーティング開催前に、JPNICからWebもしくはオンラインフォーラ ム、あるいはその双方においてその提案の内容の紹介を行います。あわせ て、その提案に対するコメントをオンラインフォーラム上で募集します。 ただし、重要な提案とJPNICが判断した場合、臨時にオンサイトフォーラ ムが開催されることがあります。 ここでは特にコンセンサスを取ることはしませんが、JPNICは、いただい たコメントを考慮して、当該提案に対する賛否の態度を決定します。また、 APNICオープンポリシーミーティングにおいては、JPNICとしての当該提案 に対する賛否の表明とは別に、いただいたコメントの内容もあわせて紹介 することとします。 5.1.2. APNICオープンポリシーミーティング後の対応 APNICオープンポリシーミーティングの結果については、JPNICがオンライ ンフォーラムにその報告を行い、コメントを再度募集します。コメント期 限は、APNICが定める最終コメント期限前に設定し、いただいたコメント をAPNICに対しフィードバックします。 5.2. オープンポリシーフォーラムでコンセンサスを得た事項のAPNICへの提案 オープンポリシーフォーラムでコンセンサスを得た提案につき、JPNICだけ では決定できない事柄に関しては、JPNIC、もしくは提案者によってAPNICへ 提案を実施します。 以上 *関連文書* APNIC policy development process http://www.apnic.net/docs/policy/policy-development.html APNIC policy development http://www.apnic.net/docs/policy/dev/index.html