----------------------------------------------------------------------------- 第17回IPアドレス管理指定事業者連絡会議事録 日時 :2006年4月24日(月) 会場 :日本教育会館 中会議室 参加者:72名 ----------------------------------------------------------------------------- 1.電子証明書に関するアップデート [概要] 電子証明書利用規約変更のお知らせ、説明会の開催(2006年5月予定)、前回 の連絡会でいただいたご意見への対応、電子証明書の発行・利用状況について 報告を行なった。 [Q&A] 特になし。 2.IPアドレス管理業務に関わるポリシー関連トピックス [概要] IP登録管理業務に関わるポリシー関連の決定事項、主なポリシー議論等の 紹介を行った。これらの内容については次回のJPNICオープンポリシーミー ティングで議論を行う予定。 [Q&A] ・2バイトAS番号が4バイトAS番号に移管されることによってなにが変わるの か。 →2バイトAS番号が4バイトAS番号と通信を行うためにはネットワークの中 に必ず4バイトのルータがないと通信は成立しなくなるため、その準備が 必要となる(IPアドレス検討委員 近藤)。 ・2010年の時点で世の中の情勢を見て、もし2バイトAS番号が残っており、4 バイトASへの移管準備が進んでいなければこのスケジュールの見直しは行 われるとの認識でよいか。 →実際にそのようなことになれば見直しを行うことが現実的だとは思うが、 提案の趣旨がスケジュールを明言することにより移管を促進することで あるため、提案者としては柔軟に対応することを明記する姿勢はない (JPNIC 奥谷)。 3.APNICの維持料見直しの状況と日本への影響 [概要] APNICによる課金見直しの検討についてのご紹介。課金見直しの背景、見直 しにおける基本概念、JPNICへの影響等を紹介。 [補足] まだ確定している話ではなくたたき台ではあるが、APNICの会費が変更され るとJPNICの会費も見直しが必要となるため、早めに提示させていただいた。 是非みなさまからのご意見をお願いしたい(JPNIC 前村)。 [主なご意見] ・IPアドレス登録管理業務と、インターネットガバナンス等その他業務に関 わる出費は分け、課金対象も別にしてほしい。 ・規模の大きなISPの立場としては影響が大きく、賛成し難い。 ・本件に関する指定事業者にとってのインターフェースはJPNICとなるため、 国内の事情も考慮したうえで積極的にAPNICとの調整を進めてほしい。 [Q&A] ・NIR配下のLIRに対して適用される「per address fee」の減額は、指定事 業者が割り振りを受けているIPアドレスに対して一律適用されるのか。 それとも割り振り時期が共有プール化(※1)適用前か後かによって扱いが 異なるのか。 →ご紹介した減額の適用はAPNICからJPNICに対する料金体系であり、 JPNICから指定事業者に対する料金体系ではない。JPNICの料金体系は、 APNICへの支払額に加えてJPNICの運用費も加算したうえで検討する。 従って、APNICからの料金体系をそのまま適用して「IPアドレス管理指 定事業者は一般のAPNIC会員の半額」という計算にはならない。 APNICによるNIR配下のLIRへの割り振りに対する減額は、NIRがAPNICと 価格面での競争力を維持しながらも運用費が賄えるように考慮したもの である(JPNIC 前村)。 →JPNICの料金体系では、共有プール前と後によって課金額を区別するこ とはせず、おそらくAPNIC会員と変わらない金額を課金することになる だろう。ご指摘いただいた点はいずれにしてもAPNICでも検討が不十分 であり、今後詳細を詰めていく必要があると考えている(JPNIC 前村)。 (※1)「APNICアドレスプールからの割り振りについて」 http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2003/20030814-01.html ・LIRへの投票権の付与について、JPNICとしてはなにを懸念しているのか教 えてほしい。 →アジア太平洋地域全体の立場で考えた場合、結果としてJP全体が持つ票 数が非常に大きくなることにより地域の票数バランスが崩れる可能性が あることが1点。それから投票権の付与は指定事業者がAPNICの総会プロ セス(ポリシープロセスではなく、理事選出、料金改訂等の総会決議)へ の参加が求められることを意味する。これについてはどのようにお考え なのか、逆に指定事業者の方のご意見をお伺いしたい(JPNIC 前村)。 →[参加者からの意見] 質問を行った事業者より「機会が与えられるのであれば、興味がある」 とのコメントがあった。 ・インターネットガバナンス等、IPアドレス登録管理業務以外の出費が増え ることによって、LIRがの支払額が増えることは納得できない。この部分 については別途料金の徴収を行うべきであり、APNICの活動が広がること によって支払額が増加することは会員からの理解が得られがたいと考える。 APNICもJPNICと同様、IPアドレス登録管理業務に関わるものとインターネッ ト全般に関わる活動とで料金は分けるべきではないか。 →現在のAPNICによる出費の妥当性、値上げの必要性についての確認は、会 計監査等を通じて必要である(JPNIC 前村)。 →一方、インターネットガバナンスについては、現状のIPアドレス登録管 理業務にリスクを及ぼす可能性があるために活動を行っている。決議の 内容によっては現在の資源管理体系に影響を及ぼすことも想定され、議 論に参加して安定した管理体系の検討が行われるように確保する必要が ある。リスク回避の活動としてご理解いただきたい。もしもこの点に懸 念を持たれているということであれば、APNIC、そしてJPNICでもご理解 いただくための最善の努力を尽くす必要がある(JPNIC 前村)。 ・規模の大きなISPの立場としては、この案が適用されると支障があるため、 阻止したい。本件に関する適切な議論の場はどこになるのか確認させてほ しい。なお、APNIC、JPNICの料金体系のうち、必ずしも高い方にあわせる のではなく、安い方にあわせる方向もあるのではないか。 →APNICの課金体系についてはAPNICで定義しているプロセスに従って決定 される。JPNICはAPNICメンバーとしてそのプロセスに参加していく (JPNIC 前村)。 →JPNICの料金体系の検討については前回同様、本件に特化したIPアドレ ス管理指定事業者連絡会を開催して意見収集を行い、大きな反対がない ことを確認したうえでJPNIC総会で決議を行う。指定事業者からは連絡 会の場でご意見をいただければと思う(JPNIC 前村)。 →まずは連絡会でご意見をいただくことが重要であり、よりよい意見集約 のプロセスについては必要に応じて引き続き検討を行っていきたい (JPNIC 前村)。 ・さきほどの議論の場に関する質問については、APNICに直接意見を述べる ことが最も効果的であると考える。 →そのような考えは一理あるが、JPNICとしては指定事業者意見集約の役 割も担っているため、JPNICに意見をいただくことにより、責任を持っ てAPNICとの調整を進めていくようにしたい(JPNIC 前村)。 ・指定事業者にとってのインターフェースはAPNICではなくJPNICであるのに なぜAPNICに対して意見を述べなければいけないのかが理解できない。 また、指定事業者にとって影響を及ぼすのはJPNICの料金改訂であり、その 際、インターネットガバナンス関連の活動に伴う課金額の増額については、 IPアドレス登録管理業務ではなく、JPNIC会費に加算してもらえばよいので はないか。 →IP事業からの支弁部分とインターネット基盤事業からの支弁部分の割合 を算定するのは容易ではない(JPNIC 前村)。 ・JPNICから、出費を分けて提示してもらうようにAPNICへ要望すればよいの ではないか。もっと強い意志をもって調整を進めてほしい。 →必要な意見は述べていくつもりである(JPNIC 前村)。 ・料金改定が適用されるのは2008年度であり、2007年度に施行されることは ないとの理解でよいか。 →その通りである。改定は2008年に予定しており、2007年度に施行するこ とはない(JPNIC 前村)。 ・当初、JPNICでは料金の見直しを2008年度に行うとの話だったが、APNIC の会費見直しとの調整はどうなるのか。これに伴い別途JPNICの料金改定 を再度行うことになるのか。 →いいえ、JPNICの料金改訂は、APNICの見直しとあわせて一度に行う (JPNIC 前村)。 ・本件に関する現在の検討状況に懸念を感じている。「2008年度に予定して いた/16を超えるカテゴリに対する値下げの前提が崩れる可能性が高い」 ということだが、一度JPNICで決めた内容であると認識している。APNICの 話をそのまま受け入れるのではなく、2004年度に行った課金見直しの議論 をもとに主張してほしい。 ・インターネット業界全体としては値下げの方向であるにも関わらず、 APNICやJPNICが値上げするのは全体の市場観から逆行している。コストが 上がるのであれば可能な限り社内で吸収し、実際の課金増加につながらな いようにしてほしい。 →前回のIPアドレス事業料金改定時の方針や前提条件を最大限守る必要が あることは認識しているが、一方で「APNICの料金政策」という大きな事 業環境要素自体が変化していることも無視できない事実である(JPNIC 前村)。 →業界全体の状況については理解しているつもりである。APNICによる会 費の効率的な利用の確認はJPNIC、そしてAPNIC理事の立場としても必要 であると考えている(JPNIC 前村)。 →一方、APNICでは為替レートによる損失、支出の大部分は人件費が占め ている等、事業環境がISPとは異なる部分もある(JPNIC 前村)。 ・規模の大きなLIRによる支払額の調整が必要ということだが、増額率(約 150%)があまりにも大きすぎるように思う。 →その点は認識している。JPNIC自身の支払額も大きく、再調整の方法を 模索する必要があると考えている(JPNIC 前村)。 ・IPアドレス管理指定事業者への課金のみではなく、JPNIC会員に対する会 費も見直しが行われるのか。 →現時点で会費の見直しは予定していないが、連動して考えるべきとのご 意見が多ければ今後そのような検討が行われる可能性もある(JPNIC 前村)。 ・IPv6アドレスの維持料についてはどのような扱いになるのか。 →IPv6についてはIPv4のカテゴリと連動するかたちで見直しを行う予定 (JPNIC 前村)。 ・歴史的経緯を持つPIアドレスの課金の扱いが報告から抜けている。 2008年度に見直しを行うのであれば、そろそろ基本方針の発表が必要なの ではないか。 →APNICでもまだ検討に含まれていない部分ではあるが、非常に大きな問 題であることは確かである。国内だけではなく、インターネット全体で コスト徴収をどのように行い、運営していくのか調整が必要となるだろ う(JPNIC 前村)。 ・本日いただいたご意見はAPNICとも共有しながら今後も専用メーリングリス トの新設等も含めて効率的な意見徴収の方法ほ引き続き検討を進めていき たい(JPNIC 前村)。 4.JPIRRアップデート [概要] Mail-Fromによる認証の廃止、現在のIRR関連情報の登録状況、前回の連絡会 でいただいたご意見の対応、検討中の正式サービス内容の紹介。 [Q&A] 特になし。 5.IP事業部からのお知らせ [概要] IPアドレス事業に関する各種活動報告として「IPv4アドレス枯渇に向けた提言」 公開、lameの調査報告について、2006年度事業計画等のご紹介。 [Q&A] 特になし。 以上