ニュースレターNo.10/1997年12月発行
2. 最新トピックス
2.1 JPドメイン名に関する新規則の施行について
2.1.1 法人格を有しない団体のためのJPドメイン名第2レベルの新設
JPNICでは、従来「権利能力なき社団」の要件を満たす団体に対して、OR.JPドメイン空間へのドメイン名の登録を行ってきましたが、要件の判定に手間取り申請処理が遅れたり、要件が曖昧なことから判定が揺れるといった問題が指摘されてきました。また、ジョイントベンチャーや組合的組織、社会活動団体など要件を満たさない団体からのドメイン名登録の要求も高まってきました。
そこで、今回、処理手順の効率化および新しい要求に対応するために、法人格を有しない団体のためのドメイン名空間GR.JPを新設しました。それに合わせて、OR.JPドメインは他の第2レベルドメイン名空間に含まれない法人組織ならびに外国政府機関のための空間と改められます。
GR.JP ドメイン名の登録申請が可能な団体の資格は次の通りです:
- 定まった名称を持つ、
- 2以上の構成員からなる、
- 代表者・副代表者がおり、日本に在住する個人または日本に登記のある法人である。
これにより、従来の規定ではドメイン名登録できなかった多くの団体もドメイン名登録が可能となります。また、新しい登録手順では「権利能力なき社団」からのGR.JPドメインの登録についても会則の提出は不要となります。
GR.JP の第3レベルドメイン名申請は 1997年12月1日から受け付けます。また、従来からの「権利能力なき社団」からのOR.JPドメイン名の新規申請は、1997年12月末で終了します。
GR.JP ドメイン名の登録を申請される場合には、以下の書類の提出が必要になります。
- オンラインのドメイン名登録申請書
- 代表者と副代表者が署名・捺印(実印)したドメイン名登録依頼書
- 上記で使用された 代表者と副代表者の実印の印鑑証明
GR.JP ドメイン名の登録申請にあたっては、申請書の記入方法や 申請の際に必要となる書類などが他の第2レベルドメイン名空間とは異なりますので文書をご参照下さい(詳細は本号12ページ4.1.1をご覧下さい)。
「権利能力なき社団」あるいは「任意団体」として OR.JP ドメイン名の登録を受けている団体は、GR.JPドメイン名への移行を行なうことが可能です。移行を円滑に行なえるよう、法人格を有しない団体が登録を受けている既存のOR.JPと同一の第3レベルドメイン名は 1998年3月末まで GR.JP ドメイン名空間下で予約されます。すでに登録されていない名前であれば、移行の際、第3レベルドメイン名を変更することも可能です。また、以上のドメイン空間の移行手続きは、ルール改定の特別措置として手数料は無料となります。
2.1.2 来年施行のJPドメイン名登録規則
昨年来JPNICでは、ドメイン名登録検討部会を中心に、ドメイン名登録規則の全面改訂を検討してきましたが、その結果、1997年10月には一般からのご意見を求めるために新しい登録規則の案を公開しました。この原稿を書いている時点では、新しい登録規則は完全にはフィックスしていませんが、1997年12月には新しい登録規則の最終版を公開し、1998年3月から施行する予定で作業を進めています。
今回の全面改訂は、ドメイン名登録の法的な位置付けを明確にすることを最も大きな目的としています。最近、インターネットが社会的基盤としてその重要性を増していることから、ドメイン名の持つ社会的意味も大きなものとなってきています。このような背景から、ドメイン名登録の法的な枠組みの整備は、JPNICが円滑なドメイン名登録を続けていく上で急務となっています。
それに加えて、インターネットの利用が広がるにつれて、現行の登録規則ではユーザのニーズを十分に満足できない面もでてきました。また、現行のルールは数年前に作成したものをベースに何度も修正を繰り返してきたことから、理解しづらいものとなっているという問題もあります。新しい登録規則は、現行ルールのこのような問題点を解決することも目的としています。
今回の全面改訂では、規則のスタイルを条文から構成される法律的なものにしたことに加えて、以下のような変更を含んでいます(主なもののみリストアップ)。
- ドメイン名登録申請手順の明確化
- 凍結されたドメイン名の再度の登録手続きの変更
- 登録できないドメイン名の規定の新設
- ドメイン名登録不承認事由の明確化
- ドメイン名の仮登録制度の新設
- ドメイン名の移転に関する考え方の変更
- ドメイン名取消事由の整備
- 登録取消手続きに関する規定の整備
- 事務局の決定に対する異議申立制度の新設
- JPNICの責任規定の新設
なお、今回の規則改訂では、新たな第2レベル属性を導入するなどのドメイン名空間の拡張や登録要件の変更は行ないません。JPNICでは、今回の規則改訂と並行して、個人や学校のためのドメイン名など、ドメイン名空間を拡張する方向での検討を続けています。