ニュースレターNo.11/1998年3月発行
2.最新トピックス
2.3 APNICなどとの国際連携の最近の動向
今年の2月22日に、フィリピンのマニラにおいてAPNICの定例総会が開かれました。主な話題をご報告します。
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Executive Councilのメンバー(5名)のうち3名が今回改選されました。
David Conrad(Director General)
Geoff Huston(オーストラリア、今回改選)
Jun Murai(日本、今回改選)
Tommi Chen(マレーシア、今回改選)
Xing Li(中国、任期は99年1月まで)Srisakdi Charmonman(タイ、任期は99年1月まで)会合における選挙の結果、 Geoff Huston氏が再選、さらに日本からは高橋徹氏、 香港のChe-Hoo Cheng氏が新たにExecutive Councilのメンバーとなりました。 - Director GeneralのDavid Conrad氏が辞任しました。 後任は未定ですが、Executive Councilを中心に選定することになります。 また、引き継ぎなどのために、 Conrad氏自身もしばらくはAPNICに残ります。
- APNIC移転の件ですが、オフィススペースの賃貸契約なども済み、 徐々にではありますが、進捗しているとの報告がありました。
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APNICの会費について引き続き議論が行なわれました。
前回のクアラルンプール総会で、
confederation(*)の会費はconfederationのメンバー数に基づくという決定がなされましたが、
メンバーという概念について各国の事情などによりその定義が難しいという問題に直面していました。
今回の総会では、前回落選した案であるIP
addressの割当量による会費案を採択しました。
過去何回かの総会で議論されてきたconfederation会費の話題ですが、
今回の決定で収束していくと思われます。
(*)confederationとは国別のNICやISPの連合体に適用されるAPNICの会員種別で、JPNICはその適用対象となります。 -
APNICの活動報告については詳細な情報が以下のURLで公開されています。
興味のある方はご参照ください。
http://www.apnic.net/annual_reports/1997/または
ftp://ftp.apnic.net/drafts/annual-report.doc - 会場外では1月末に米国政府が出した「グリーンペーパー」がもっぱら話題になっていました。 またAPNIC総会に先立って同会場で行なわれたAPRICOT'98会議ではグリーンペーパーをまとめた大統領顧問Ira Magaziner氏が基調講演を行ないました。 グリーンペーパーは、今までルートドメインの管理やIP addressのリージョナルレジストリへの割り当てなど、 インターネット資源のおおもとを管理していたIANAの役割を、 非営利法人を設立して移行していくというもので、 その過程で米国政府がそのポリシーメーキングに参加していくとされています。 インターネットが学術を中心としたアドホックな管理体制から、 商用のニーズにも耐えうるより堅固な管理体制へ移行するのに不可欠なことであるともいえますが、 米国中心で行なうそのやり方には賛否両論ありそうです。 JPNICでも積極的に議論に参加していくとともに、 必要なアクションを適宜とっていくつもりです。
- アジア各国の経済状況を反映して、 例年多くの参加者を送り出している韓国、 地元のフィリピンも参加者を絞り込んでいました。 タイやインドネシアに至っては事情はもっと悪いようです。 これらアジア各国事情や米国を中心とする国際事情を汲みつつ、 全体をバランスよく運営していくことはAPNICにとって今後ますますたいへんになってきそうでありますが、 その置かれている立場を考えると、 APNICにはそれなりの期待をしていかなければなりません。 JPNICとしても引き続き必要な支援を行なっていきたいと考えています。