ニュースレターNo.13/1999年4月発行
3. 最新トピックス
3.6 Internet Week 98報告
この文書内の目次
3.6.1 Internet Week 98について
3.6.2 DOMAIN-OFFLINE Meeting BOFの報告
3.6.3 IP-USERSオフラインミーティング報告
3.6.4 whoisとプライバシーBOF報告
3.6.5 教育部会BOF報告
3.6.1 Internet Week 98について
今年度も1998年12月15日から18日まで、国立京都国際会館でInterenet Week 98が開催されました(*)。Interenet WeekはJEPG/IPの主催するIP Meetingを中心に、インターネットに関連する会議やカンファレンス、チュートリアルなどを集中して開催することで、国内のインターネット技術の普及と研究者や技術者の情報交換の場を提供するもので、1997年に続き今回は第2回の開催となります。
(*) http://www.nic.ad.jp/iw98/
今回は、JPNIC、JEPG/IP、JSST、jus、WIDE、IAJ、Javaカンファレンス、JPCERT/CC、UBA、JANOG、NSUG、JLUGが共催団体となり、実行委員会を組織し、運営を行ないました。また、期間中は5125人が参加し、当初の予想をこえるものとなりました。
JPNICは、Interenet Weekを日本におけるインターネット普及の重要な場としてとらえ、IPアドレスやドメイン名に関連するチュートリアルの企画、DOMAIN-TALK、IP-USERSなどのオフライン会議の開催などを行ないました。さらに、チュートリアルの講演内容を記録したレクチャーノートやWIDEプロジェクトと共同作業による映像資料などを作成しました。これらの資料は、インターネットを通して、無償で公開する予定です。
次回は1999年12月14日から17日までパシフィコ横浜で開催を予定しており、JPNICとしても積極的に参加していく予定です。
この文書内の目次
3.6.1 Internet Week 98について
3.6.2 DOMAIN-OFFLINE Meeting BOFの報告
3.6.3 IP-USERSオフラインミーティング報告
3.6.4 whoisとプライバシーBOF報告
3.6.5 教育部会BOF報告
3.6.2 DOMAIN-OFFLINE Meeting BOFの報告
(JPドメイン名登録検討部会)
ドメインオフラインミーティングは1998年12月16日15:10-17:00に行なわれ、60名の方に参加いただきました。
ミーティングでは「JPドメイン名 グランドデザイン1999(叩き台)」の案について議論が行なわれ多くのご意見をいただきました。いただいたご意見をもとに作成した「JPドメイン名 グランドデザイン」については3.2に掲載されております。詳細はそちらをご覧下さい。
この文書内の目次
3.6.1 Internet Week 98について
3.6.2 DOMAIN-OFFLINE Meeting BOFの報告
3.6.3 IP-USERSオフラインミーティング報告
3.6.4 whoisとプライバシーBOF報告
3.6.5 教育部会BOF報告
3.6.3 IP-USERSオフラインミーティング報告
(IPアドレス、AS番号割り当て検討部会)
IP-USERSオフラインミーティングは12月16日に行なわれ、141名の方に参加いただきました。
このBOFでは、以下の3つの議題について議論が行なわれました。ここでは、その概要をご紹介します。
-
APNIC Updates
まず、APNICのPaul Wilson氏より、
- 現在のAPNICの状況
- APNICからのIPv4のアドレスの割り振りがどのような方針で行なわれていくか
- IPv6のアドレスポリシー
- 今後の事業計画
などについて説明がありました。 説明の後、APNICやアドレスの割り当てに関して活発な意見交換が行なわれました。
-
Issues on IP Allocation
次にJPNIC IP-WG主査である水越氏より、JPNICのIPアドレスの割り当ての現状や、今後JPNICがどのような方針になるのか、また方針変更が行なわれた場合会員にどのような影響があるのか、他国ではどのような状態であるかの説明が行なわれました。
-
RFC 1930
最後に、JPNIC IP-WGの小幡氏よりAS番号に関するRFCと、それにそぐわない形でprefixの広告が行なわれている現状について説明があり、その問題点とARINとJPNICの見解、この問題を解決するにはどのようにするべきかの案の説明がありました。これに対し、いくつかの議論が行なわれました。
この議事録は、JPNICのWEBページ上で公開予定です。
IP-WGでは、行われた議論をもとに、今後のJPNICにおけるIPアドレスの割り当ての方針の議論をすすめたいと考えております。
この文書内の目次
3.6.1 Internet Week 98について
3.6.2 DOMAIN-OFFLINE Meeting BOFの報告
3.6.3 IP-USERSオフラインミーティング報告
3.6.4 whoisとプライバシーBOF報告
3.6.5 教育部会BOF報告
3.6.4 whoisとプライバシーBOF報告
(DBPIタスクフォース)
- BOF名:
- whoisとプライバシー
- 主催:
- JPNICデータベース公開問題タスクフォース
- テーマ:
- プライバシー保護の観点から見てJPNICのwhoisは現在のままでよいのか否か
- 話者:
-
山田 基司(弁護士)
戸田 洋三(JPNICデータベース検討部会委員 千葉大学)
遠山 真 (JPNICデータベース検討部会委員 三菱総研) - 司会:
- 今津 英世(JPNICデータベース公開問題タスクフォース主査 モルガン・スタンレー証券)
背景
- JPNIC whoisの目的外使用が起こっている。(DMへの利用など)
- 個人の電話番号や住所などが公開されているのがイヤというリクエストの存在。
- 国内外での個人情報保護の気運の高まり。
進め方
まず、
- プライバシー保護の観点で現状のJPNICのwhoisで基本的に何ら問題はない
- いや変える必要がある
という二派に分かれて討論するという形式で進めた。 議論の前提として, 組織的にwhoisデータをコピーする助けになるような方策は潰してあると仮定した(DNSのゾーン転送,ドメインの一覧リストファイルなど)。 討論のあとは自由にwhoisに対する意見を出し合った。
BOFの冒頭で弁護士から法律的にプライバシー保護とは何かの概説をしてもらった。 討論の最初はあらかじめ用意した話者が現状肯定・現状否定それぞれの立場で意見を述べた。
法律的には
-
憲法13条(幸福追求権)
ただし、最高裁は法的権利であるとは明言していない。 -
個人情報保護法
対象が、公的部門の電子計算機処理による個人情報。 民間部門については対象外。JPNICは民間なので対象とならない。 -
刑法
刑法は基本的に「情報」という概念を持っていない。 個人情報の侵害を処罰する手だてはほとんどない。 -
民法:プライバシー侵害:不法行為(709条)
損害賠償の判例は存在する。
プライバシーを直接保護する法律はない。 個人情報の漏洩を処罰する手だてはほとんどない。
現状肯定派
IPアドレス,ドメイン名などのネットワークリソースは有限の資源であり利用している側はその情報を公開するのは当然である。会社や土地の登記を考えるとwhoisによる情報公開は特に変わったことではない。
IPアドレス,ドメイン名などの割り当てを受けた組織の担当者の情報が非公開になった場合の弊害を考えるとそう簡単には非公開にできない。現在当事者同士で行なわれているであろうドメイン名の紛争解決や,ネットワークトラブルの解決にJPNICが介在する必要が出てくるであろう。
現状否定派
電話番号の公開で,GRなどで個人の電話番号が公開されていると,いたずら電話等があったらどうするのか?
ネットワークを管理する人に連絡を取りたいのは当然だが,コミュニティが成長した現在,性善説だけではやっていけない。
「自宅にOCNを引いたのだが,ネットワークアドレスから自宅の住所が引けるようになってしまった」という話もある。自分を見せたくなかったら,個人では専用線は引けないのか。
情報と開示と公開は別。情報が問い合わせによってわかる,というのと誰でもどこでも調べられるというのは別。情報提供の仕方は分けられるのではないか。
whois自体は便利で利用しているが,現状の問題は,ウソの情報(ゴミ)が入れられたりするという点。正しい情報を入れてもらえるようにしないとダメ。
whoisで引いたメールアドレスに出したメールさえ届かない,というのは問題。
考察
問題は
- ドメインを登録する際,組織の住所が必要。
-
ドメインの登録担当者には住所・電話番号が必須で,かつISPが代行できない。
なぜなら登録担当者はドメインを登録する組織に属している必要があるから。
という点に絞れる。 技術連絡担当者は実際にネットワークのトラブルに対応することを期待されており, 電話番号を公開することに異論はない。
この文書内の目次
3.6.1 Internet Week 98について
3.6.2 DOMAIN-OFFLINE Meeting BOFの報告
3.6.3 IP-USERSオフラインミーティング報告
3.6.4 whoisとプライバシーBOF報告
3.6.5 教育部会BOF報告
3.6.5 教育部会BOF報告
(教育部会)
1.「教育現場の現状と課題」
Internet Week 98内で教育部会として初めてBOFを開催しました。テーマは「教育現場の現状と課題」、ここに100名の教育関係者が集まり意見交換を行ないました。
教育部会はインターネットの拡大や発展にともない、正しい知識や技術の教育活動を進めるため、セミナーやシンポジウムなどの計画することを目的としたワーキンググループです。特に研究者やネットワーク管理者向けの講座は、InternetWeekのチュートリアルなどを通して行なっているところです。
大学や研究所のような教育現場には、インターネットの利用価値が高いため早くから環境整備がなされましたが、ここへ来てようやく初等中等教育機関へのインターネット整備が具体化しています。しかし”子供にIPを開放する”ことについては新たな課題が起こってきました。ネットワークの将来にわたる発展を考えたとき、青少年に適切な教育が行なわれることは重要かつ必須であります。こうした点から現在、教育に携わる人々とネットワークの専門家の情報交換は必要性が高いと考えました。
ED.JPの新設なども機とし、教育部会では”学校”ネットワーク接続の支援に結びつくような活動も行なっていきたいと考えています。
2. 話題提供
さて今回のBOFに参加された方々100名は以下のような構成でした。
>
大学関係者:50名
メーカ/ISP:34名
小中高関係:9名
その他: 9名
今回、3名の方から話題提供をいただきました。概略を順に紹介いたします。
(1)「EDドメイン名について」 JPドメイン名登録検討部会 川崎基夫
- 登録スケジュールについて
- 対象は児童・生徒が使用することを想定
- 衝突回避のための仕組み(全国の学校の予約ドメイン作成等)
関連情報はhttp://www.nic.ad.jp/jp/regist/dom/ed/
(2)「京都田辺町の教育ネットワーク構築」 京都田辺町教育委員会 中島雄介
- 教師の意欲と知識の欠如、人材の不足
- 生徒の慣れと習得の早さ
- 教育委員会の役割と苦悩
- 学校への適切な業者の提案とは?
- ボランティアとの有効関係について
-
ダイヤルアップか?専用線か?
専用線の予算措置ができる教育委員会は少な
(3)「日本の教育現場の将来像」 川崎総合科学高校 宮沢賀津雄
- 全国の小中高校約38,000校中、96年度は5%、97年度は10%、98年度は30%がインターネットに接続
- 高校では「情報」が必須科目(次期指導要領)
- 日本では教育にインターネットを用いる目的が不明確でボランティア、教員個人への依存度が高い。
- アメリカではマニュアルなどが完備されており、役割分担が明確。またハード、ソフト、指導者教育において企業の支援が得られる
- 情報教育は教育だけの問題ではなく経済効果も期待され、各省庁で教育の情報化構想が動き初めている
- 100校プロジェクトは地域割りの分担と人的ネットワークの形成により成功
- 現在進行中の文部、通産、郵政の各行政主導プロジェクトについて
3. 意見交換
内容が多岐にわたり、進行にあたり司会の相原先生には大変ご苦労をおかけしました。以下のような観点で意見交換が展開されました。
- 大学のネットワーク管理者の認識が非常に甘い
- 学内でネットワークに関する知識の浅い方々との調整が難しい
- 集中管理体制をとると破綻する
- 地域ごとにあるボランティアベースの研究会活動を盛り上げていただきたい
- 企業の人材を教育委員会で嘱託職員として活用すればよい
- うまくネットデイのような企画は立ちあがらないか
- 子供に教室でインターネットを開放する必要が本当にあるのか
4. EDU-TALKメーリングリスト
以上のような議論の中でJPNICでメーリングリストを開設して、情報交換の場にしてはどうかという提案があり、この度99年1月よりEDU-TALKメーリングリストを開設するに至りました。