ニュースレターNo.13/1999年4月発行
3. 最新トピックス
3.8 APNIC ドキュメントに関して
まえがき
先の3月6日、APNIC総会において、APNICより“Policies for address space management in the Asia Pacific region”というドラフトが提出されました。3月12日現在、まだ議論中の段階です。最新版のドラフトは
http://www.apnic.net/policydraft.html
におかれています。アジア太平洋地域のISPは基本的にこのドキュメントに規定されているポリシーにしたがって、IPアドレスの割り振り・割り当てを行なっていただくことになります。本稿ではドラフトについてその要点を簡単にご説明したいと思います。
ドラフト内容について
目的
アジア太平洋地域におけるIPv4アドレスの割り振り・割り当てのポリシーについて記述。具体的な手続き詳細については本ドキュメントのポリシーに基づき、今後制定される予定。
基本的な考え方
- IPアドレスはインタネット界の公共なリソースである。
- アドレスの集約、節約、新技術の適用、公平性など、場合によっては多くの相容れないゴールについて、そのバランスを考慮して、割り振り・割り当てを行なっていく必要がある。
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アドレスを割り振り・割り当てしていく責務をおっているのが、IR(Internet Registry)であり、階層的に構成されている(図参照)。
- LIR(Local Internet Registry)はエンドユーザや他のLIRにアドレスを配布する組織であり、通常いわゆるISPなどが相当する。
- NIR(National Internet Registry)は国レベルでアドレススペースを配布するレジストリであり、それ自身はISPを運用しておらず、その構成するISPとは中立的であると期待されるような組織である。
割り振り・割り当てポリシー
基本的には従来と大きな変更はない。主要な点は以下のとおり。
- アドレスはリースの概念に基づいて割り振り・割り当てされる。すなわち、 特定の限定期間(通常1年)単位に、条件がみたされているならば、リースが更新される。一旦与えられたら、所有物となるという考え方ではない。
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このポリシーはアジア太平洋地域で公平にかつ一貫して適用される。
(注:JPNIC(NIR)のメンバであるISP(LIR)も、APNICメンバであるISP(LIR)と同様なポリシーの適用を受ける) - アドレス割り振りはスロースタートで行なわれる。
- LIRでのアドレス割り当てはアサインメントウィンドウに基づいて行なわれる。アサインメントウィンドウは、LIRがそのメンバに対してAPNICの許可なく割り当てることのできるアドレスブロックのサイズである。LIRは実績をつむことによって、最大/19までウィンドウを拡張されるが、場合によってはサイズを縮小することもある。
- LIRが割り振られた全アドレススペースの20%を割り当てていなければAPNICは新たな割り振りを行なわない。
- 割り当て依頼には直後、1年以内、2年以内での見積もり使用量を提出する。
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複数のレジストリからアドレスを割り当てられている組織は、どこから割り当てられたかにかかわらず、そのすべてのアドレスについて申告しなければならない。
ただし、いくつかの例外はみとめる(注:JPNIC接続点ルールのような場合) - 虚偽や不完全な情報があとで判明した場合、割り振り・割り当てが行なわれたアドレスは返却されるべきである。
- アドレスの売買やオーソライズされない譲渡は認められない。企業の合併、買収などに際しては、LIRは適切な法的な文書を提出する必要がある。
- サービスに対しスタティックにIPアドレスを割り当てるような方式(スタティックダイヤルアップ、バーチャルホストなど)については、強く避けるべきであり、管理の容易性以外の詳細な技術的な理由により正当化されるべきである。またIPアンナンバの使用を推奨する。
JPNICの対応について
昨年秋よりJPNICではv4アドレス割り振り・割り当てについてAPNICと交渉してきており、今回のAPNIC総会、およびポリシードキュメントはひとつの通過点になります。その結果、今回、JPNICという国単位のある程度自立したレジストリの概念を認めさせるという成果も得ることができました。
今後もJPNICでは、引き続きドラフトとして提示される予定の手続きドキュメントやNIRの実装方法に関してもAPNICと議論を続けていきます。これは、秋ごろに予定されている総会を目標にとりくんでいくこととなります。
一方、これらAPNICのポリシーや手続き方針に従い、JPNIC内部のルールを改定していく予定です。会員のみなさまにおかれましては、このへんのIPアドレスをとりまく国際状況についてご理解をいただきたくお願いいたします。また、忌憚ないご意見、ご要望があれば、JPNIC事務局までよろしくお願いします。