メインコンテンツへジャンプする

JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

ロゴ:JPNIC

WHOIS 検索 サイト内検索 WHOISとは? JPNIC WHOIS Gateway
WHOIS検索 サイト内検索

ニュースレターNo.14/1999年8月発行

3.最新トピックス English Page

3.6 ICANN最新情報

(JPNIC 事務局)

 IANAに替わるグローバルなインターネット資源調整機関となるICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)の組織作りに向けた動きは、1998年9月の発足以来現在に至るまで活発に続いています。

 最近の動向としては、5月下旬にベルリン、6月にサンノゼ他で一連の関連会議が開催され、そこで幾つかの決定がなされました。ここでは、JPNIC国際連携検討部会も参加したこれら会議の様子とそこでの決定をお伝えします。

ICANNベルリン会議

 5月25日から27日にかけて、ICANNはベルリンで各構成組織の会合を行ないました。会議は開催が明らかになっていたものだけでも13に上り、幾つかの会議は並行して行なわれました。そのため、会議を掛け持ちする参加者も多く見受けられました。

 ICANNの会議には参加資格などの制限がまだ設けられていないものが多いですが、ベルリンでは欧米、特に米国からの参加が目立ち、それに比較して日本を含むアジア、アフリカ、ラテンアメリカ出身の参加者はあまり多くないという印象でした。ベルリンがこれら地域から比較的遠いこと、ICANNの認知度がこれら地域でまだ高くないことがその原因と考えられます。日本においてはJPNICが更に積極的に情報提供していく必要があることを感じました。

 ベルリンの一連の会合を受けて、ICANN第一期理事会は、ドメイン名支持組織(DNSO: Domain Name Supporting Organization)の設立、インターネット・ドメインネームシステムに関連する幾つかの知的財産権問題の処理に関する検討、プロトコル支持組織(PSO: Protocol Supporting Organization)の設立申請書受理、個人が一般会員選出理事(At-Large Directors)を選ぶ仕組みを速やかに創設するという方針の再確認、その他の運営に関する決議を行ないました。

 ここで第一期理事会が採択した重要な決議として、6つのConstituency組織の暫定的承認があります。Constituency組織とは、それぞれ異なる観点からドメインネームシステムの運用に関心や利害を持つ人々を代表したものです。Constituency組織はDNSOの中核となるもので、この後DNSOを運用する機関であるNames Councilのメンバーをそれぞれから選出していきます。

  DNSOは、ICANN定款で規定されている3つの支持組織(DNSO, PSO, ASO: Address Supporting Organization)の一つで、他の支持組織と同様、ICANN理事19名中3名を選出することになります。DNSOの役割は、ICANNによるインターネット・ドメインネームシステムのポリシー管理について、理事会に勧告を行なうことです。

 ベルリンで承認された6つのConstituency組織は以下になります。

  • JPNICなどの国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)レジストリ
  • 商業・ビジネス組織
  • .com、.org、.netのようなgTLDのレジストリ
  • 商標・知的財産権関係者
  • インターネットサービスプロバイダ(ISP)及びインターネット接続プロバイダ
  • レジストラ

 また、各Constituency組織の会合を通じ、幾つかのConstituencyはNames Councilに参加する代表の指名、選出を行ないました。JPNICからも会議に出席したccTLD Constituencyの代表については、後述のサンノゼ会合で決定することになります。

 この他、第一期理事会はWIPO(世界知的所有権機関)のドメイン名ポリシーに関する最終報告(注1)の議論も行ないました。この報告は、ICANN設立プロセスを提案した「ホワイトペーパー(注2)」の中で米国政府が委任した検討の最終結果です。WIPOは、従来一般的に採用されてきた先着順によるドメイン名登録が引き起こす商標及び知的財産権の問題を検討してきました。その最終報告に関して、第一期理事会が発表したことは幾つかありましたが、そのうち特に具体的なものとしては、DNSOに対して次の3つの事項に関する検討を求めたことがあげられます。

  • 統一的な紛争解決メカニズム(検討期限は7月31日)について
  • 「著名な名前」の取り扱いについて
  • 新gTLDをいつどのように開始するか

 この要求に基づき、後にDNSOの暫定Names Councilは後述の各Working Groupを設置することになります。

  この他、第一期理事会はDNSOと並ぶ支持組織PSOの設立申請書を受理しました。これにより、想定されるPSOのメンバー(IETF、WWWコンソーシアム、欧州電気通信標準化協会(ETSI)、国際電気通信連合(ITU)など)は、PSOを正式に設立するための覚書を準備することになりました。一方、アドレス支持組織(ASO: Address Supporting Organization)の設立は8月のICANN会議まで承認を見送られました。

 それから、ICANNが直面しているもっとも複雑な作業の一つとして、個人のインターネットユーザが19名のICANN理事のうち9名を選ぶ選挙に参加できるようなメカニズムの創設があります。この件について議論していたICANNの会員制度諮問委員会(MAC: Membership Advisory Committee)は、一般会員の組織化、業務管理、財政の問題が非常に大きいため結論を出すのは容易でないと説明しています。第一期理事会は、次の会合までにこれらの問題について報告するようスタッフと法律顧問に求めました。

第一期理事会はベルリンでこの他にも幾つかの決議を採択しました。ベルリン会議の結果については
http://www.icann.org/berlin/berlin-resolutions.htmlを参照して下さい。

Names Council電話会議とサンノゼ会合

 ベルリンで行なわれた一連のICANN会議の後、最近にかけても関連する会議が開かれています。6月11日には、DNSOのマネジメントを行なうNames Councilの暫定メンバー20名が、電話会議を行ないました。この電話会議の公式議事録はhttp://www.dnso.org/dnso/notes/19990617.NCtelecon.htmlに公開されています。主な決定はドメイン名と商標に関する紛争解決メカニズムを検討しICANN第一期理事会に報告するためのWG-A(Working Group A)の創設でした。また、その他の分野について検討するためのWGの創設も議論されました。

 6月下旬には、アメリカ西海岸のサンノゼでICANN関連会合が幾つか開催されました。Names Councilは、6月25日に開催した会議で、WG-Aに加えて以下のテーマごとにWGを創設することを決定しました。

  • WG-B 著名商標
  • WG-C 新gTLD
  • WG-D DNSOのビジネスプラン
  • WG-E グローバルな問題認識範囲拡大

 これらのWGへの参加資格はオープンです。これを受けて、JPNICのJPドメイン名登録検討部会(DOM-WG)は、商標関係者の参加を得て、特にWG-AとBについて検討を開始したところです。

 また、Constituency関連では次の決定がありました。まず、ccTLD Constituency組織が、暫定Names Councilに出席する代表としてFay Howard(RIPE CENTR、欧)、Nii Quaynor(ガーナ)、Bill Semich(ニウエ)を指名しました。次に、レジストラConstituency組織も3名の代表を選出しました。彼らは今後暫定Names Councilに加わりDNSOのコンセンサス形成に努めることになります。

 暫定Names Councilのメンバーはhttp://www.dnso.org/constituency/ncmembers.htmlにリストアップされています。

ICANN今後の動き

 これまでお伝えしてきたように、ここ数ヵ月は、毎月何らかのICANN関連会合が世界各地で行なわれています。さらに、7月中旬にはオスロ(ノルウェー)で開催されるIETFに合わせてPSOの会議が予定されていますし、8月下旬にはサンチャゴ(チリ)で、ベルリンと同様のスケジュールにて理事会を含む一連の会議が並行して開催されます。当面注目すべきテーマとしては、DNSOの各WGでの議論と、正式Names Council選挙、まだ組織化されていないASOの動向などがあります。

  ICANNの議論や決定は、ドメイン名、IPアドレス、プロトコル等のマネジメントに関連しているため、日本のインターネットにも大きな影響を与えます。頻繁な会議開催と、重要な事項も含んだ決議の早急な採択が特徴といえるICANNの動きは、常に目を離すことができません。JPNICは引き続きICANNの動向をウォッチし、随時日本向けに情報を提供すると共に、JPNICから、及び日本からの意見をICANNに表明する努力を続けていくつもりです。


注1 WIPOドメインネーム・プロセス最終報告
http://wipo2.wipo.int/process/eng/processhome.html
注2 'Management of Internet Names and Addresses'(「ホワイト・ペーパー」)
http://www.ntia.doc.gov/ntiahome/domainname/6_5_98dns.htm

このページを評価してください

このWebページは役に立ちましたか?
よろしければ回答の理由をご記入ください

それ以外にも、ページの改良点等がございましたら自由にご記入ください。

回答が必要な場合は、お問い合わせ先をご利用ください。

ロゴ:JPNIC

Copyright© 1996-2024 Japan Network Information Center. All Rights Reserved.