ニュースレターNo.16/2000年4月発行
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5-6 「ドメイン名の紛争解決ポリシーに関するタスクフォース(DRP-TF)」活動報告
(DRP-TF)
ニュースレター15号にてお知らせしたとおり、JPNIC JPドメイン名検討部会は、1999年12月に「ドメイン名の紛争解決ポリシーに関するタスクフォース(DRP-TF)」を結成し、JPドメイン名における「紛争処理方針」並びに「紛争処理方針のための手続規則」の検討を開始いたしました。今回は、DRP-TFの活動について報告させていただきます。
ICANN統一紛争処理方針および手続規則
DRP-TFとしては、まずICANN (Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)で策定された "Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy" 並びに "Rules for Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy”の内容の把握に取り組みました。これは、JPドメイン名における紛争処理方針並びに手続規則の策定において、ICANNの方針のローカライズを目的としていることによるものです。
タスクフォース結成の直後より、原文を忠実に訳すことを目標とし、ICANNの紛争処理方針および手続規則の翻訳作業を行いました。現在は、以下のURLにおいて参考訳を公開していますので、ご参照いただければ幸いです。
"Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy" 参考訳
http://www.nic.ad.jp/jp/internet/doc-j/icann/icann-udrp-policy-j.html
"Rules for Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy" 参考訳
http://www.nic.ad.jp/jp/internet/doc-j/icann/icann-udrp-rules-j.html
WIPO事務局との意見交換会
1/18(火)に、WIPO (World Intellectual Property Organization:世界知的所有権機関)事務局の植村事務局次長、WIPO仲裁調停センターのAli上級顧問(Senior Counsel)、高橋顧問をお招きし、JPNICとの意見交換会を開催いたしました。
まずAli氏より、WIPOが行っているドメイン名の紛争処理事業やWIPO Final Reportに基づくICANN統一紛争処理方針および手続規則の策定作業、紛争解決の手続きに関する説明などがあり、その後質疑応答や意見交換が行われました。
WIPO側からは、これまでの紛争処理経験などを生かして、規則策定や紛争処理手続きなどに関するリソースセンターとしての役割を果たしたい、日本国内で紛争処理を行う団体などに対する支援をしたいなどの申し出がありました。これに対し、JPNIC側からも、今後積極的な情報交換を行っていきたいとの提案を行いました。
JPドメイン名における紛争処理方針並びに手続規則の検討
現在、DRP-TFはJPドメイン名における紛争処理方針並びに手続規則の検討を行っています。JPドメイン名における方針並びに手続規則策定のポイントは、主に以下の5点となります。
- 手続きの対象となる紛争の特定
- 悪意(不正な目的)についての判断基準
- 抹消、移転、変更のシステム
- 現行登録規則との整合性
- 実体法上の手当
この中でも特に「手続きの対象となる紛争の特定」や「悪意(不正な目的)についての判断基準」について、従来の法律との整合性なども考慮しながら議論を進めています。また、今回策定する「紛争処理方針のための手続規則」に則って紛争処理を行う機関をどこが担うのかということについても平行して検討していく予定です。
なお、紛争処理方針自体の実体法による裏付けも必要であると考えられるため、現行の法律の改正や新しい法律の策定についても、関係各所と協議を行っていきたいと考えています。
今後の予定
タスクフォースからの結論は、4月にJPNIC運営委員会に対する勧告として提出され、1か月から2か月程度がパブリックコメントの募集期間となります。その後、コメントを反映した最終文書の策定、公表となる予定です。