ニュースレターNo.16/2000年4月発行
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5-7 EDドメイン名実証事業経過報告
(JPドメイン名検討部会)
昨年2月にEDドメイン名の登録が開始されてから、すでに1年以上が経過しました。この間、JPNICでは「EDドメイン名実証事業」を実施し、JPNIC内業務の調査とともに以下の活動を行いました。
- 学校、教育委員会へのアンケートおよびヒアリング調査
- EDドメイン名の無料措置(1999年8月1日~11月30日)
おかげさまで多くの反響をいただき、有用な調査結果を得ることができました。現在、調査結果をまとめる作業に入っています。
ここではEDドメイン名実証事業の概要をあらためて確認するとともに、現在作成中の調査結果についていくつかご報告していきたいと思います。
本事業の概要
昨今のインターネット環境の急速な発展、さらには学校におけるインターネット利用の試みにより、学校へのインターネットの導入が進みつつあります。
また、指導要領の改訂により、学校におけるインターネット利用環境の整備がさらに急務となってきました。その結果、ここ数年で学校のインターネットへの接続に伴ってドメイン名の登録申請も急増することが以前から予想されていました。
このような動きを受け、JPNICではさまざまな検討を行った結果、児童・生徒などの教育・育成を行う組織である高等学校以下の教育機関(初等・中等・就学前教育機関)が登録するドメイン名空間としてEDドメイン名を新設することとなりました。
一方、学校は同じ名称のものが多く、各学校が希望するドメイン名が多く重なることが予想されました。また、インターネット接続が今後数年間に集中して行われることも考え合わせると、希望の重複が多くなり、円滑な登録作業を妨げるおそれもありました。
そこで使われたのが「予約ドメイン名」という方法です。
これは、各学校の名称と所在地から一定の手続きであらかじめドメイン名を生成して提案し、その後希望を反映させたうえでドメイン名を予約するというものです。この予約ドメイン名は予約した学校からの登録だけを受け付け、他の学校からの登録はできません。あらかじめ希望するドメイン名の重複を調整しておこうという方法です。ただ、予約ドメイン名を使わないこともできます。その場合は、他の空いているドメイン名から登録することになります。
EDドメイン名実証事業は、こうした状況のもと、新たに設置されたEDドメイン名の有効性を実証することを目的として行われたものです。
経過
本実証事業は、主に以下の二つの観点から実施しました。
- 予約ドメイン名という方法により、4万を越える学校などに対しEDドメイン名の登録申請処理が円滑に行えるか
- EDドメイン名の新設による効果として、どのようなことがあげられるか
それぞれ、以下に概要を報告します。
「予約ドメイン名」による登録処理の効率化
あらかじめドメイン名を予約することによるドメイン名登録処理の効率化が実証されました。
他のドメイン属性として類似点の多いACドメイン名と比較すると、処理時間の平均で約4倍の効率化が図れています。また、申請内容の誤りなどに伴う申請書の訂正数も予約ドメイン名の方が少ないという結果が出ています。
アンケート結果
1999年11月に小・中・高等学校におけるインターネット接続への対応状況とEDドメイン名新設の効果を把握するためのアンケートを実施しました。アンケートでは約5,000件の発送に対し、1,600あまりの回答を得ることができました。
一方、EDドメイン名の新設による利用上の効果についてはまだ新設されて間もないこともあり、その効果を確認するためにはしばらく時間を必要とすると考えられます。しかし、アンケートにおいても、
- 学校とわかることで、学校同士の交流がやりやすくなる
- 地域ドメイン名よりも学校名を識別しやすい
- 短い、簡単など適切なドメイン名になった
などの意見が寄せられており、当初想定していた効果が認識されていると考えられます。
しかしながら、学校関係者のEDドメイン名やJPNICに関する認知度は必ずしも高いものとはいえず、今後もさまざまな機会を通じて普及のための情報提供やサービスを続けていく必要があると考えています。
EDドメイン名実証事業の最終結果およびデータについては、WEBなどを通し、あらためてご報告する予定です。