ニュースレターNo.16/2000年4月発行
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5-8 IPアドレスに関する新ルールとドキュメント改定後の報告
(JPNIC事務局)
去年から準備を進めてまいりましたIPアドレスに関する新ルールとドキュメントの改定がこのほど(平成12年1月29日)行われました。 施行後1か月ほどでは統計データを示すことはできませんが、業務遂行のうえで気づいた点をご報告いたします。
旧ルールでは単一接続組織に対する総量が /21を超えなければ審議不要であったところ、新ルールでは既存の会員でもアサインメントウィンドウの初期値として定めた /25を超える割り当てには全て審議が必要となります。その一方で、接続組織の総アドレス量に関係なく割り当てサイズだけが審議の有無のトリガーになること、会員自身に対する割り当ては割り振り時にのみ審議実施というのが変更の骨子です。
1月末に割り当て報告がかなりの数寄せられたため、2月の初めは比較的審議数も少なめでしたが、週を追って徐々に増えて3月初めまでの間で約100件程の審議申請を受けました。そのうちの約半数は /24の申請、35%程度が /24を超えるサイズの割り当て、15%程度が/24を超えない大きさの審議申請でした。/24の割り当てが圧倒的に多いのは以前からの傾向から変わりません。/24というサイズのネットワークが本当に多いのか、あるいは別の理由かはわかりませんが、/24の割り当てが多いことは他のレジストリからも報告されています。しかしながら、あくまで割り当てがネットワークの必要量に基づくものであることが前提であるために精査が行われています。
この新ルールの施行にあたり、みなさまからご心配をいただいたのが審議にかかる時間でした。これは、ご提出いただいた審議申請の内容について審議完了までに交わされる質問や確認によるものが主たるものであると考えますが、そのやりとりの回数が問題だと考えられます。
/24以下の割り当ての場合には、無しを含めて3回くらいまでの質問、確認を行っているところ、/24を超える大きさの審議の場合は5、6回に至る場合もあります。会員からの質問、回答、確認の間隔が空くときは余分に時間がかかることになります。JPNICでは、いただいた申請、回答、確認には5営業日以内にお返事をできるように努力しております。
このやりとりの回数には非常にばらつきが大きく、同様の質問・確認をした場合にも、次の審議では同様の個所に関して事前に情報を収集される会員もいらっしゃれば、やはり接続組織からの審議申請をそのまま転送して来られる会員もいらっしゃいます。後者の場合、審議担当者は同じような質問を繰り返さざるをえなくなり、審議に必要な期間は短くなりません。
今回のアサインメントウィンドウ導入は、正にこの部分の仕組みの変更です。前者の場合、審議ポリシーをご理解いただいたと判断されアサインメントウィンドウが上がり、より多くの割り当てを自主的に行っていただけるようになりますが、後者の場合はそうはならず、同じ大きさに関して審議が必要であることは変わりません。
小さな割り当てのポリシーをクリアした会員の中には、すでにアサインメントウィンドウが上がった会員もいらっしゃいます。アサインメントウィンドウの拡大は、審議ポリシーの理解に合わせて自主的に割り当てることができる範囲を広げる、つまり割り当て業務の権限をより大きく委任するという性質を持ちます。各会員におかれましても業務の効率向上に結びつくと考えていますので、ご協力のほどよろしくお願いします。
別項でお話しする韓国のAPRICOTのAPNIC SIGは、アドレス管理の審査が世界的に厳しくなっていることを実感させるものでした。一例として、最近多くなってきたケーブルテレビでも一顧客に対して1アドレスまでしか割り当てることができず、2つ以上の割り当てはサーバを立てるなど技術的な裏付けがないと認められないことや、アドレス必要量の正当性を示すためには顧客リストの提出が必要であることも確認されました。
IPv4アドレスの半分(20億)がすでに割り当てられており、あと半分をいかに有意義に大切に使って行くかがレジストリとしての責任であることが強調されました。アジアの中でアドレス消費が一番多い国が日本であることを考えると、JPNICの責任は非常に重いと考えられます。
新たな審議手続きに関しても改善が必要な点があると思いますが、健全なインターネットの発展のため努力して行きたいと思っています。これからもみなさまのご理解とご協力をお願いいたします。