ニュースレターNo.17/2000年8月発行
1 巻頭言:新理事からのメッセージ(1/4) English Page
1-1 オンライン書店
JPNIC理事 岡田 智雄
我国においてもオンライン書店、あるいはインターネット書店はすでに10社を超えていると思われる。
このサービスがインターネットによって、急激に発展したことを疑う余地は無い。しかし地味ながら、15年ほど前から便利なサービスとして存在していたのも事実だ。当時、米国最大のオンラインサービスであった、CompuServeのオンラインモールである。この中にMcGraw HillやJohn Willey等の出版社が出店していた。これらのサイトでは、時々割り引き販売をしており結構便利な存在であったし、便利なゆえに余分な本まで購入してしまったものだ。
まだ現在のように出版社を横断的に検索できなかったし、もちろん表紙などのイメージを見れないなどのハンディキャップはあった。それでも入手に要する期間を犠牲にすれば、日本の書店価格の半額程度で入手できたのである。我国でも1998年に、NIFTY-Serve(現@NIFTY)においてヤマト運輸の関係会社が同様のサービスを開始した。
現在、米国で黒字を達成しているオンライン書店は無いといわれている。現にamazon.comは1999年の売上が16.4億ドルに達しているが、赤字のほうも7.2億ドルになっており、前年比でも売上は2.7倍、赤字は5.7倍である。創業者であるベゾ氏も先日、NHKの特集で記者に赤字拡大のことを聞かれたのに対し、「これはインターネットのビジネスモデルである。赤字を気にして拡大しなければ、後で後悔するのだ」と力説していた。
もともと、オンライン販売は事務所スペースが小さい、在庫も僅少というのが売り物のはずであった。にもかかわらずamazon.comは全米に物流倉庫を多数もち、多数の人員を抱えなければ競争に勝てないというのは皮肉なことである。いずれにしても、利用者、特に私個人にとっては本とCDのオンライン購入は、インターネット時代になって一段と利便性が向上したと思っている。
CDオンライン販売の米国最大手であるCD NOWが資金繰りに苦慮していると聞き、また余分なCDを発注してしまった。せいぜい利用者としてまめに発注して、このような便利なサービスが順調に発展してほしいと祈っている。