ニュースレターNo.17/2000年8月発行
1 巻頭言:新理事からのメッセージ(3/4) English Page
1-3 私とドメイン名
JPNIC理事 坪 俊宏
さて、そんなドメイン名も昨今のインターネット人口の急増とe‐コマース/e‐ビジネスの広がりとともに、サイバースペースにおけるブランドとしての意味を増してきています。と同時にリアルワールドに以前から存在する「商標」との衝突が発生しており、ここ数年世界規模で問題解決に向けての議論が続けられてきました。
昨年10月、ICANNで「統一ドメイン名紛争処理方針」が策定されました。また、この動きを受けて、JPNICでも昨年12月にタスクフォースを作り「JPドメイン名紛争処理方針」の策定作業を進めてきました。私もこのタスクフォースにはメンバー兼世話人という形で参画してきました。これら紛争処理方針の大きなねらいは、ドメイン名を使った明らかに悪い行為(例えば、ドメイン名を先取りし、権利者に対して高額で転売しようとする行為など)を速やかに取り除こうというものです。紛争処理の手続は、ドメイン名登録機関とは別の紛争処理機関が行います。その特徴は、裁判よりもはるかに速く結論が出ること(最長でも55日)、裁判に比べてはるかに費用が安いこと、訴える側・訴えられる側が提出する書類に基づいて結論を出すこと(当事者が実際に出向く必要がない)、結果に不服の場合には裁判所にもっていけること、などです。
JPNICは、多くのユーザーの要望に答える形で、今後、誰でも自由に幾つでも登録できるドメイン名空間の新設を検討しています。このような流れの中にあって、この紛争処理方針は非常に大きな意味を持つと考えています。
話変わって、丁度この原稿を書いている合間に知り合いの出版記念パーティがありました。パーティの冒頭、何人かの方が挨拶をされたのですが、その一人、俵万智さん曰く「私は、メールアドレスに出てくるJPというのはずっと『JUMP』のことだと思っていたんですが、『JAPAN』のことだったんですねぇ。」歓談の時間になってから「さっきジャンプと言われたJPドメイン名を登録している機関のものですが、、、」ということでご挨拶にいくと、さらに曰く「すみません、ORってずっと『または』だと思ってました。」とのこと。ということは、この方は「***.OR.JP」のことを「***またはジャンプ」と思っていたのかぁ、、、どうやら紛争処理方針を広める前にやることがありそうな、、、と感じる一日でした。