ニュースレターNo.17/2000年8月発行
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5-5 「JPドメイン名紛争処理方針」の策定について
(DRP-TF)
ニュースレターNo. 15、16にてお知らせしたとおり、JPNIC JPドメイン名検討部会は、1999年12月に「ドメイン名の紛争解決ポリシーに関するタスクフォース(DRP-TF)」を結成し、JPドメイン名における「紛争処理方針」並びに「紛争処理方針のための手続規則」について検討してまいりました。
このたび、これまでの議論を最終答申として取りまとめ、「JPドメイン名紛争処理方針」(以下「処理方針」)、および「JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則」(以下「手続規則」)として公開・実施する運びとなりましたので、これまでのDRP-TFの活動と処理方針の特徴、今後のスケジュールなどについて、報告させていただきます。
これまでの DRP-TF の活動
1999年12月にDRP-TFを結成し、まず、ICANN (Internet Corporation for Assigned Names and Numbers) で策定された "Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy" 並びに "Rules for Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy" の内容の把握に取り組みました。
その後、ICANNのUDRPを参考に処理方針・手続規則の内容について、日本の 法律などと照らし合わせながら検討に入りました。また、並行してWIPO事務局と意見交換会を行うなど、ICANNで開始された紛争処理手続についての状況や問題点などの把握を行うことに努めました。
2000年4月に第一次答申案をまとめ、JPNIC運営委員会に答申し、承認が得られましたので、5月8日に第一次答申を公開し、約1ヶ月の間、パブリックコメントを募集いたしました。また、5月16日には「JPドメイン名紛争処理方針に関する説明会」を開催し、改めて紛争処理方針について説明を行うとともに、広く意見を求めました。
6月11日にパブリックコメントの募集を締め切った後、寄せられた意見、および継続議論とした点についてさらなる検討を行い、7月10日の運営委員会にて最終答申案を提出し、併せて理事会承認が得られました。
JPドメイン名処理方針の特徴
紛争処理方針の最も大きな特徴は、ミニマル・アプローチ(最小限のアプローチ)という点にあります。これは、正当な権利者間の紛争は対象とせず、ドメイン名の不正の目的による登録・使用のみを対象とするものです。「ドメイン名の不正の目的による登録・使用」の具体例としては、「実費金額を越える対価で転売することを目的に、登録しているとき」や「商標権者によるドメイン名の使用を妨害するために登録し、そのような妨害行為が複数回行われているとき」などがあげられています。ただし、これらは「例示」となっておりますので、他の場合を排除するものではありません。
また、これを実現するための紛争処理手続は、従来の裁判でも仲裁でもない新しい紛争処理手段の模索であった、と言えます。
登録規則との関係
今回承認された処理方針・手続規則は、ドメイン名登録等に関する規則(以下「登録規則」)と一体化されるものとなります。従って、処理方針の策定に伴い、次の点において、登録規則の改訂を行いました。
- 処理方針および手続規則への言及
- 「JPドメイン名紛争処理手続」の裁定による取消・移転を可能とすること
- (同時に、登録者と第三者の合意による移転も認める)
- 紛争中におけるドメイン名の移転の可否についての規定を追加
- 「移転裁定」を出された申立人が登録要件を満たさないときの取り扱い
今後の予定
処理方針・および手続規則は、次のスケジュールで公開・実施する予定です。
- 2000年 7月19日 : JPドメイン名紛争処理方針の公開
- 2000年10月19日 : JPドメイン名紛争処理方針の実施
- 参考:JPドメイン名紛争処理方針について
- http://www.nic.ad.jp/jp/regist/dom/drp/