ニュースレターNo.18/2000年12月発行
3 特集 English Page
3-1 汎用JPドメイン名とは
(JPNIC事務局)
はじめに
すでに新聞報道等でご存じかと思いますが、JPNICでは従来のドメイン名(属性型、地域型ドメイン名)に加えて、汎用JPドメイン名の導入を進めています。これは2000年2月より検討を開始し、公募した皆さまからの意見を参考にして内容を修正したものです。
特徴を列記しますと、
- 1組織1ドメイン名原則の廃止
- 登録要件の緩和
- 登録申請手続き等の簡素化
- 先願主義実施方法の変更
- ドメイン名登録期間の設定
- 日本語ドメイン名
などがあります。以下、順にこれらの概略をご紹介します。
なお、最新の情報につきましてはJPNICのWebにあります「汎用JPドメイン名」のページをご覧ください。
1組織1ドメイン名原則の廃止
従来のドメイン名制度では、ドメイン名資源の公正な配分、サイバースクワッティング防止、などの観点から1組織1ドメイン名の原則を採用していました。これによって、さまざまなトラブルを防止できたと自負しております。しかし、インターネットが社会に浸透するにつれ、複数ドメイン名の利用や、手続きの簡素化を望む声が大きくなりました。また、ドメイン名登録者と、商標権等の知的財産保有者との衝突を調整する「JPドメイン名紛争処理方針」が策定、実施されるという状況の変化もあります。そこで、汎用JPドメイン名制度においては、1組織1ドメイン名の原則を廃止することにしました。
登録要件の緩和
従来のドメイン名制度では、第2レベルのドメイン名に属性(組織や地域種別)をもたせ、たとえば株式会社ならEXAMPLE.CO.JP、社団法人ならEXAMPLE.OR.JPという形で登録するようになっていました。一目で区別がつくという利点はありますが、当センターが組織種別を確認するという手続きが必要です。そのため提出していただく書類が多かったり、手続きそのものに時間がかかったりします。
複数ドメイン名を登録したいという要望と、事務手続きの簡素化という要望にお応えするため、汎用JPドメイン名制度では登録組織の種別を廃止しました。同時に、個人、法人、その他の団体、いずれも区別なく登録できるようにします。ただ、JPというccTLD(country code Top Level Domain:国別ドメイン名)である以上、その登録者が日本とのかかわりをもつことが必要です。そこで汎用JPドメイン名制度においては、当センターが「ローカルプレゼンス」と呼ぶ、日本との連結、かかわりがあることを登録要件としました。
登録申請手続き等の簡素化
Webによる申請、検査、審査
汎用JPドメイン名制度では登録要件が緩和されたこともあり、できるかぎり機械による自動チェックを行うことで登録手続きの簡素化、迅速化を目指します。具体的には、当センターに対する直接申請の場合、Web上で申請画面へ入力、送信することで登録申請を行います。この後機械による自動チェックを通過し、当センターが申請者に登録の意志などを確認して登録を完了します。
また汎用JPドメイン名の登録申請は、既存ドメイン名制度と同じように当センターの指定事業者を経由して申請することもできます。この点に関しては、追って細かい内容が発表されるので、冒頭のWebページなどをご参照ください。
オンライン認証の導入
Webによる申請にも通ずるものですが、各種の申請をできるかぎりオンラインで行い、登録者の事務的な負担を軽くします。その際にはオンライン用の認証を行います。
先願主義実施方法の変更
汎用JPドメイン名制度でも、先願主義の原則はそのまま採用されます。しかしその実施方法は、既存のドメイン名制度とは違ってきます。
既存ドメイン名制度では受付番号順に審査を行い、先順位申請者の登録申請が不承認となった場合に、次順位申請者の登録審査を行っています。しかし汎用JPドメイン名制度だとWebでの受け付けになるので、申請手続き中のドメイン名と同じドメイン名に関する申請は受け付けないことになります。したがって、「次順位者」という概念がなくなります。これは廃止されたドメイン名について再度の登録申請を行うときも同じですから、注意が必要です。
ドメイン名登録期間の設定
汎用JPドメイン名制度では、ドメイン名の有効期間を1年とし、1年ごとに登録を更新する形になります。これに伴い、汎用JPドメイン名の登録時には「登録料」が、更新時には「維持料」が課金されます。
日本語ドメイン名
汎用JPドメイン名では、ドメイン名に日本語が使えます。これは従来どおりのASCII英数字およびハイフンに加え、漢字、かな(ひらがな、カタカナ)、一部記号を利用できるというものです。
ただし、現状では大文字小文字、全角半角などを同一視する方法をとっていますので、ご注意ください。また、IETFでの動向によっては技術的な内容が変更になる可能性もあります。このあたりの細かい規則は、技術細則に書かれています。
http://www.nic.ad.jp/dotjp/doc/saisoku-1.html
さらに、現段階では日本語ドメイン名の登録を受け付けますが、実際に使えるわけではありません。これは各アプリケーションでの対応が必要になるからです。多言語ドメイン名がRFCとして策定され、それが実際のソフトウェアとして普及するまでは日本語ドメイン名は利用することが難しい状況です。詳しくは「3-2 日本語ドメイン名の実現について」をご覧ください。
予約ドメイン名
これは従来のドメイン名制度でも同様ですが、技術的には問題がなくても、運用上の支障が予想されるために登録を受け付けていないドメイン名が存在します。これを予約ドメイン名と呼んでいます。随時変更される可能性があるので、汎用JPドメイン名や、多言語ドメイン名に関する技術解説のWebページをご覧ください。