ニュースレターNo.19/2001年4月発行
3 特集:汎用JPドメイン名について English Page
3-3 mDNkitについて
3-3-1 mDNkitの目的
「mDNkit」の名前の由来は“Multilingual Domain Name evaluation Kit”(多言語ドメイン名評価キット)であり、以下を目的としたJPNICのプロジェクトとして2000年4月から開発を開始しました。
- 多言語ドメイン名に関する技術の評価
- 多言語ドメイン名に関する標準化の推進
- インターネットコミュニティへの技術貢献
JPNICでは、mDNkitを誰もが無償(フリー)かつ制限なし(フリー)で利用できるよう、とても緩やかなライセンスを設定し、フリーソフトウェアとしてリリースしています。
JPNICは2000年7月13日に最初のmDNkitをベータバージョンとしてリリースしました。そして2000年10月18日にバージョン1.0を正式にリリースし、その後も機能の拡充や不具合の修正を行った更新版を随時リリースしています。mDNkitの最新版およびリリースの履歴は以下のURLから取得可能です。
http://www.nic.ad.jp/jp/research/idn/index.html#mdnkit
また、mDNkitはインターネットで最も多く利用されているDNSサーバであるBIND[1]の最新版に、貢献(contribution)ソフトウェアとして含まれるようになりました。
3-3-2 mDNkitの開発方針
インターネットのプロトコル標準化には、標準の提案に対する複数の実装が存在し、かつそれらが相互運用可能であることが必要です。また、標準の普及のためには、参考となる実装がフリーに入手・利用できることが重要です。
mDNkitは、IETF[2]のIDN WG[3]で提案された有力な方式を迅速に実装し、それをフリーソフトウェアとして配布することで、誰もが多言語ドメイン名の技術評価を容易に行えるようにすることを開発の方針としています。
また、実際のアプリケーションプログラムから多言語ドメイン名が使用できなければその技術は正しく評価できませんので、WindowsやUNIX上のアプリケーションプログラムに多言語ドメイン名の名前解決機能を追加するライブラリやAPIの提供も、あわせて開発の方針としています。
3-3-3 現在の仕様
mDNkitの現在の仕様は、IDNRA[4]と呼ばれる考え方をベースとした、多言語ドメイン名の名前解決をリゾルバライブラリの部分もしくはその近辺で行うものになっています。図1-1にIDNRAの概念を示します。
バージョン番号が1のmDNkit(mDNkit-1.X)は、IDNRAの考え方に基づいた仕様となっています。
3-3-4 今後の仕様
IDNRAの考え方は、mDNkitの開発を開始した当初は有力な考え方でしたが、メイルやWebなど、ドメイン名を参照する多くのアプリケーションプロトコルには対応できないため、その後のIDN WGの議論により、現在ではIDNA[5]と呼ばれる考え方が有力になっています。
そのため、JPNICではmDNkitの仕様を変更し、IDNAに対応するものとして、新たにバージョン2.Xを開発中です。図1-2にIDNAの概念を示します。
バージョン2.0は3月末~4月頭のリリースを予定しています。
- [1]Berkeley Internet Name Domain
- http://www.isc.org/products/BIND/
- [2]Internet Engineering Task Force
- http://www.ietf.org/
- [3]Internationalized Domain Name Working Group
- http://www.i-d-n.net/
- [4]Internationalized Host Names Using Resolvers and Applications
- http://www.i-d-n.net/draft/draft-ietf-idn-idnra-00.txt
- [5]Internationalizing Host Names In Applications
- http://www.i-d-n.net/draft/draft-ietf-idn-idna-01.txt