ニュースレターNo20/2002年3月発行
5 2001年 インターネットトピックス
5-4 ICANN マリーナ・デル・レイ会議報告
(2001年12月26日発行 vol.7より)
2001年11月12日から4日間にわたり、アメリカのマリーナ・デル・レイにて行われたICANN会議は、これまで何度も行われてきたICANN会議とは異なる趣きのものでした。
4日間の会議期間の内、11月12日の1日のみが通常の会議を行う日となり、11月13日から11月15日までの3日間は「インターネットのセキュリティと安定性」と題して、全体会議が行われました。この構成は2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件があった後に急遽設定されたもので、詳細な議題は会議の直前まで決定できなかったようです。また、会議自体のセキュリティに対しても気を使うようになっており、マリーナ・デル・レイホテル内の会場に入るには事前登録が必須、当日もパスを受け取るためには写真付のIDカードを見せる必要があり、ガードを厳しくしている様子がうかがえました。
日本からは小坂総務副大臣が出席して基調講演を行い、社会的にも成長したインターネットの中でのICANNの重要性を説くことで、その活動の支持を表明しました。
それに続くセキュリティのセッションは、主にパネルを迎えてのトークの形式となり、ルートサーバ、TLDレジストリ/レジストラ等、インターネットの核となる組織からのパネリストにより、それぞれ自分達のシステムの紹介等を通して、セキュリティや安定性に対する配慮が説明されました。なかでもROOTサーバに関しては、管理組織、設置場所、OSなど多くの点で多様性を持った構成となっており、これにより災害時などにおいても安定的なサービスを提供することが可能であるという点が強調されていました。
最終日には報告会と理事会が開催され、ここでは「インターネットの安全性と安定性に関する常設委員会」の設置が決議されました。また特にルートサーバに関しては、適切な配置などに関するレポートが、2002年の3月頃までに発表されることになりました。
さて、今回の会議ですが、決議のみを見るとセキュリティに関連する細かい決定はあまりありませんでした。しかし、この会議の意義はその場で行われたいくつかの決議だけではなさそうです。セキュリティをメインに据えた会議を開催することによって、インターネットの基盤となるシステムを安定的に供給するという責任に対するICANNの姿勢を見せたこと。また、この取り組みが本腰を入れたものであり、この会議がその最初の一歩となっているのだと示すことにあったのだと思われます。その意味では非常に有意義な会議でした。
参考資料
ICANN Meeting in Marina del Rey
http://www.icann.org/mdr2001/
ICANN Public Meeting Archives
http://cyber.law.harvard.edu/icann/mdr2001/archive/