ニュースレターNo.21/2002年7月発行
インターネットトピックス
アジア太平洋地域のインターネット代表ご紹介
アジア太平洋地域のインターネット関連組織で2002年2月、3月にかけて理事選挙が行われ、日本からも理事が当選いたしました。ccTLD管理組織間の連携活動を行う「APTLD」理事に当選された大橋由美氏、IPアドレス管理組織である「APNIC」理事に再選された前村昌紀氏に今後の抱負などを語っていただきました。
APTLD理事
大橋 由美氏●株式会社日本レジストリサービス
APTLD(Asia-Pacific Top Level Domain Forum)は、アジア太平洋地域のトップレベルドメインレジストリを主な会員として、1998年に発足した団体です。APTLD創設の主な目的は以下の通りです。
- ドメイン名に関するポリシーについて議論し、その結果をICANNなどのインターネットガバナス組織へ提言すること
- 各レジストリのポリシー、サービス、運用等に関する情報交換を行うこと
- アジア太平洋地域のネームサーバ運用者およびインターネットユーザーに向けて、セミナー等を通じた教育活動を行うこと
現在、アジア太平洋地域のトップレベルドメインレジストリ12組織が会員となっています。JPドメイン名登録管理業務が2002年4月1日に移管されたことに伴い、今年から日本のレジストリ会員は株式会社日本レジストリサービス(JPRS)となりました。
2002年2月25日および3月3日にAPTLDの理事選挙が行われ、Vice Chair for Treasureに私が選任されました。3月3日のAPTLD総会にて正式に発足した理事会のメンバーは以下のとおりです。
Ramesh Kumar Nadarajah (Chair; .MY)
Peter Dengate Thrush (Senior Vice Chair; .NZ)
Young-Eum Lee (Vice Chair for Membership; .KR)
Vincent W.S. Chen (.TW)
Chris Disspain (.AU)
Hualin Qian (.CN)
Yumi Ohashi (Vice Chair for Treasure; .JP)
私は、APTLDが発足した当初からJPNICの国際担当としてAPTLD総会やWorking Groupの活動に参加してきました。その後、JPRSに転籍した後も、JPRSにてICANNやAPTLDに対するリエゾンを主な仕事としております。そしてこのたび、JPドメインのレジストリとなったJPRSから理事会に直接お役にたてるチャンスをいただきました。レジストリの名に恥じぬよう建設的な貢献をしていかねばと、非常に身の引き締まる思いです。
今後はAPTLDの理事として、今まで以上にアジア太平洋地域内での情報共有を促進していければと考えています。特に今年は、ICANNの組織改革や、グローバルレベルでのccTLDレジストリ連合組織の設立の動きがあり、インターネットドメイン名のグローバルガバナンスの枠組みを再定義するターニングポイントの年ということができます。この中で、これまでのJPNICおよびJPRSでの経験と実績を活かしつつ、APTLDからのグローバルインターネットに対する情報発信、提言の促進に寄与したいと考えております。
APNIC理事
前村 昌紀氏●フランステレコム・ロングディスタンス JPNIC IP事業部門担当理事
2002年3月のAPNIC Member Meeting(総会)で、私のECメンバ(理事)としての任期が満了するということで、是非とももう一期続けたいと思い再び立候補しましたところ、JPNICを初めとする皆様のご支援をもちまして無事再選を果たすことができました。まことに感謝の念に堪えません。
前回の選挙は2000年の10月。それまでは高橋徹さん、荒野高志さん、小西和憲さんといった錚々たる皆さんがお務めになったポジションで私などに務まるかと、おっかなびっくりの立候補でした。演説でもひどく緊張していたことを思い出します。
今回は準備がしっかりできたこともありますが、それほど緊張せずに演説できました。この1年半の間に、APNICミーティングを中心とする国際的な会議での役割も増えましたし、それだけ慣れてきたということになりましょうか。
ECはExecutive Councilの略称で、日本語で対応づけるとすると理事会にあたります。APNICの意志決定プロセスのうえで最も上位に位置するのが総会(Member Meeting)なのですが、ECは年に二度しか実施できない総会に替わって、APNICの日々の運営を監督することを主な責務としています。実際には運営はDG(Director General:事務局長)を中心とする事務局がほぼ自律的に行っていますので、DGに対する助言、チェックアンドバランスとしての役割が主なものとなります。
私がJPNICのIPアドレス事業に関わって6年となりますが、この6年はJPNIC同様APNICも、急激に発展するインターネットを追いかけるように体制固めを行って来た期間でした。APNICは現在のDGであるPaul Wilsonの下、かなり充実した体制が整ってきましたが、それでもなお足りないものもあります。
その最も大きなものは、NIR(National Internet Registry)の位置づけの再検討だと考えています。現在NIRに関しては、それを公式に定義するドキュメントがないとともに、ISPにIPアドレスなどを再配布する役割を持つNIRであるにも関わらず、ISPと同様な会員制度で扱われています。既にKRNIC、TWNICなど他のNIRとも連携して作業を進めていますが、ECとしてのこの任期中には、NIRを改めて位置づけ直す作業を完了させたいと思っています。
本件を初め、会員・指定事業者の皆さんには、APNICとしても何かお願いしなければならない局面があるかも知れません。その際にはご協力いただければ幸いです。何卒宜しくお願いいたします。