ニュースレターNo.23/2003年3月発行
第5回ICANN報告会
2002年11月21日(木)、JPNICと(財)インターネット協会の共催による第5回ICANN報告会が、日本教育会館(東京都千代田区)で開催され、10月27日から31日にかけて上海において開催されたICANN会議における主要なテーマについての報告が行われました。
報告会は、(財)インターネット協会副理事長の高橋徹氏の挨拶で幕を開け、引き続いてJPNICの入交尚子がICANN上海会議全体の報告として、IPv6および国際化ドメイン名(IDN)のワークショップ開催や理事会での決議事項についての報告、また、理事会で採択された新付属定款案におけるICANNの新たな組織構造に関する説明を行いました。
その後ICANN理事の加藤幹之氏より、ICANN改革に関して決定されたことと残された問題についての説明がなされました。
決定事項として以下の点が挙げられました。
- 理事会の構成と選出方法
- 支持組織などの組織構造
- 民主的ボトムアップの構造を維持する方法
- 政府の関与
また、残された問題として以下の点が挙げられました。
- 事務総長Stuart Lynn氏の後任選出
- ccTLDレジストリ、地域インターネットレジストリ(RIR)、ルートサーバ運用者、ITUとの関係
続いて、ccTLDレジストリ、RIR、政府諮問委員会(GAC)といった各組織に関連する報告が行われました。
ccTLDの動向については、(株)日本レジストリサービスの大橋由美氏より、ICANN改革に関する動き、IANA機能に関する議論、IDNタスクフォースの設置、ネームサーバトレーニングやDNS運用に関するプレゼンテーションの実施などについての報告が行われました。
IPアドレス管理に関する改革案を発表したRIRについては、JPNIC理事の前村昌紀がRIRから見たICANN改革として、RIRとICANNのそれぞれが果たすべき役割や、IPアドレスやAS番号の管理を統括する組織としてのNRR(Number Resource Registry)の設立などについての説明を行いました。
総務省の青木栄治氏からはGACに関する報告として、新付属定款案に対するGACによる修正案の作成、ccTLDとGACとの対話、IPv6とIDNワークショップの開催、GAC自身が持つ組織の課題についての説明がなされました。
最後に、JPNIC理事の丸山直昌から、IDNの標準化に関する最近の動きや上海会議での議論などについての報告がありました。
また、ICANN報告会としては初の試みとして、報告会終了後に懇親会が開催されました。1時間弱の短い時間ではありましたが、報告者への質問や情報交換の場として貴重であり、大変有意義な時間となりました。
(JPNIC ドメイン名事業部 大橋徹)
左/懇親会で語らうICANN理事加藤氏と参加者 右/76名が参加しました |