ニュースレターNo.23/2003年3月発行
Paul Vixie氏講演会
2003年1月21日に、Paul Vixie氏による講演会が大手町サンケイプラザにて開催されました。直前のお知らせであったにもかかわらず、当日は61名という多くの方に参加いただきました。
同氏はISC(Internet Software Consortium)の創始者であり、またBoard of Directorsの一員として、DNSサーバ用ソフトウェア「BIND」の開発を長年にわたって指揮・統括してきました。また、DNS関連のRFCを多く執筆し、DNSルートサーバの1つであるF.root-servers.netの管理運用も行う等、インターネットの円滑な運用にも多大な貢献をしています。
今回の講演会では、ISCの活動内容の紹介、BINDの今後の開発方針、IP Anycast技術を活用したF.root-servers.netの分散配置計画等の解説が行われました。
まず、これまでにリリースした「BIND 4」「BIND 8」「BIND 9」のうち、BIND 4についてはすでに開発を終了、またBIND 8についても近く開発を終了するとの発表がありました。ただし、BIND 8に対するIPv6トランスポート対応機能の追加は行う予定とのことです。また、BIND 9については今後の開発によりパフォーマンスの向上を図る予定であり、現在ユニプロセッサ環境でBIND 8の50%程度であるパフォーマンスを、80%程度に向上させる予定であるとの解説がありました。
また、F.root-servers.netはこれまでにスペインと香港への分散配置が完了し、今後さらに多くの地域への配置を行うことにより、DDoS攻撃に対する耐性を強化する予定であると説明されました。
講演会終了後、Paul Vixie氏(写真中央)はJPNICを訪問されました |
また同氏は、2003年の1月からISCのFull Time PresidentとしてISCの各種活動をより積極的にすすめ、その一環としてDNSの情報共有・分析を行うDNS-ISAC(DNS Information Sharing and Analysis Center)を近日中に発足させ、各国のDNSオペレータが連携を行うための体制作りにも今後取り組む予定であると発表しました。
(JPNIC DNSQC-TFメンバー/(株)日本レジストリサービス 森下泰宏)