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ニュースレターNo.24/2003年7月発行

ICANNリオデジャネイロ会議

2003年3月23日から27日まで、ブラジルのリオデジャネイロにてICANN会議が開催されました。最終日に行われた理事会での決議事項等をご紹介します。

◆Whoisに関するGNSOからの勧告について

分野別ドメイン名支持組織(GNSO)から提出された「Whoisの正確性およびバルクアクセスに関する最終報告書」に関して検討が行われた結果、同報告書で提案された以下の4つのポリシーが採択されました。これにより、今後は以下のポリシーの実施に向けて措置が講じられることになります。(注:対象はgTLDのみ)

【Whois情報の正確性に関するポリシー】

  • レジストラは最低年1回、登録者に現在のWhois情報を提示し、虚偽のWhois情報を提供することはドメイン名登録取り消しの理由となり得る旨の注意喚起を行う。登録者はWhois情報を見直し、必要な場合は訂正を行う。
  • 虚偽の連絡先が提出されていたり、レジストラからの問い合わせに返答がなかったために登録が抹消された場合は、「請戻し猶予期間」を適用する。ただし、請戻されたドメイン名は、登録者がWhois情報を更新するまでレジストラ側で保留扱いにする。

【Whois情報へのバルクアクセスに関するポリシー】

  • バルクアクセスにより入手したWhois情報をマーケティング目的に利用することは認めない。よって、レジストラ認定契約の該当条項にその旨の修正を行う。
  • 現レジストラ認定契約においてオプション条項となっているレジストラのバルクアクセス契約(バルクアクセスにより入手したWhois情報の転売や再配布を禁止する契約)を必須条項とする。

◆国際化ドメイン名(IDN)について

IDN実装のためのガイドライン案として発表された「ICANNが契約レジストリにIDN登録を認めるにあたっての基準」(2003年3月18日付JPNICドメイン名トピックス参照 http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2003/20030318-01.html)に規定されているIDN実装のためのアプローチが理事会によって支持されました。(ただし、このガイドラインは、契約レジストリと今後協議を進めていくうえで、あるいは、IDN実装に関する新たな技術標準が作られる場合にはそれを反映させて、修正が加えられる可能性があるということです)これを受けて、ICANNの契約レジストリは、このガイドラインに基づいた形でIDN登録が認められることになります。

さらに理事会は、ICANNと契約していないその他のレジストリに対してもこのガイドラインを推奨しており、また、言語に特化したIDN登録のための適切なルール作りやポリシー策定に向けて協力して取り組んでいくために、レジストリ、言語の専門家その他の広範な参加を呼びかけています。

◆ICANN事務総長の交代

今回のリオデジャネイロ会議では、ICANN事務総長の交代がありました。2年間在任していたStuart Lynn氏が退任し、元政府諮問委員会(GAC)チェアのPaul Twomey氏(オーストラリア)が新たな事務総長となりました。

(JPNIC ドメイン名事業部 入交尚子)

◆gTLDドメイン名のレジストラ移転

理事会の決議ではgTLDドメイン名のレジストラ移転の問題が取り上げられています。.COMや.NETなど、スポンサー無しgTLD※1のドメイン名登録は、いわゆるレジストリ・レジストラモデルによっています。これはドメイン名登録に競争原理を持ち込むための仕組みで、利用者はドメイン名登録も登録後の維持料支払いも好みのレジストラ経由でできることになっています。

ところが2001年初め頃から、経由レジストラを変更(レジストラ移転)する場合に問題が発生している、という指摘が一部のレジストラから出ていました。その言い分は、当該ドメイン名の現レジストラ(losing registrar)から、新レジストラ(gaining registrar)へのレジストラ移転を、登録者の意思に反して現レジストラが妨害している、というものでした。

元々.COM、.NETなどはNetwork Solutions Inc(NSI)が一手に扱っていたので、これまで多くのレジストラ移転ではNSIが現レジストラであり、従ってこの問題はNSIと他のレジストラの対立という様相を呈していました。2001年9月のICANNモンテビデオ会議では、この問題がICANN会合としては初めて公式に取り上げられました。NSI側は移転を拒否する理由として、登録者が維持料不払いの場合はICANNとの契約によって移転を拒否できる、移転の申請が本当に登録者の意思であるのか判断できない場合には移転できない、の2点をあげ、対立は簡単には解消しませんでした。

そこで、争いを防ぎ、公正に競争できるための確実な移転手順のルール作りを目指して、2001年の10月にDNSO(現GNSO)の移転タスクフォース(Transfers Task Force)が作られ、そこでの1年以上にわたる議論の末に、漸く2003年2月20日にGNSO評議会の承認を受けた最終報告書ができ、今回の理事会ではこの報告書に従った改善措置を取ることを決議しました。事態の改善が望まれるところです。

◆ccNSOの行方について

ccTLDの会合では、懸案であったccTLD連合体組織のあり方について合意ができました。懸案とは、連合体組織をICANN内の組織として作るか、或いはICANNの外の組織として作るか、というもので、これまで何回も議論されていながら意見がまとまらなかった問題です。今回「ICANN内の組織」で合意できたことにより、ccTLD連合体は、ICANN改革にいうccNSOの路線に沿って進むことになったと考えられます。

(JPNIC 理事 丸山直昌)


※1 スポンサー無しgTLD:
ICANNが策定するポリシーに基づき運用されるgTLDのこと。これに対し、「.museum」「.aero」「.coop」の3つのgTLDは、スポンサー付きgTLD と呼ばれ、登録対象となる業界・分野内に存在するスポンサー組織が運用のポリシーを決定します。

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