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ニュースレターNo.25/2003年11月発行

第4回APNG Camp

予定時間終了後も会場外で白熱した議論がつづけられました

2003年8月24日・25日に韓国・釜山にて、第4回Asia Pacific Next Generation Camp(以下、APNG Camp)が開催されました。APNG Campは、インターネットに関する問題に関心のある人なら誰でも参加することができるオープンな会合です。JPNICからは、Next Generation Task Force (以下、ng-tf)のメンバーが前回に続いて参加しました。

1. 第4回APNG Camp概略

今回は、APAN※1の第16回ミーティングに併せて開催され、会場には、アジア太平洋地域から約60名のインターネットに関心を持つ若者が集まりました。真夏の強い太陽が照りつけるビーチ脇の会場では、太陽の強さにも負けない程、自発的にプログラムを進行し、議論する参加者が目立ちました。

APNG Campの目的は、アジア太平洋(以下、AP)地域における次世代のインターネットリーダーを育て、問題を共有し、APの立場で解決策を議論、提案していく場となることとしています。その点から考えると、APNG Campのプログラム、特にチュートリアルを二つのトラックに分け、参加者の興味にできるだけ合わせた今回からの新たな試みは、議論を活発にするものとなりました。

新たな試みの一つ目は、インターネットの技術やネットワークの運用についての最新動向を把握することを目的に、IPv6、VoIP、IDN、Securityなどのセッションが設けられたことです。二つ目はCultureトラックにおいて、インターネットの抱える新たな課題を利用者側からの視点で取り上げ、Wireless Internetの普及が社会に与える影響、ccTLDを巡る動向、P2Pと著作権、などが報告されたことです。また、参加者の自己紹介や、各国・地域独自の活動の紹介、APNG Campの運営に関する意見交換を行う時間も設けられました。

また、今回のキャンプの目標として掲げた、Issue orientedなプログラム構成と継続的な議論を進める仕組み作りという点でも、十分な達成をすることができました。特に、二つのトラックに分けたうちの一つである、Internet Technology and Operation trackでは、JPNIC ng-tfメンバーがトラック内全てのプログラム作成・運営をコーディネーションしました。前回のCampの反省点であった、開催前のプログラムの詳細な要約を公開すべきという点については、1ヶ月前からsub-divided program committeeを組織し、ng-tfメンバーが積極的なコーディネーションを行ってきました。また、継続的な議論の仕組みに関しても、ng-tf Chairである牧が進行を務めた「Future of APNG Camp」のセッションにて議論され、参加者が求めているワーキンググループ(以下、WG)の形と具体的なミッションを整理し、今後の継続的なタスクを確認しています。

今回のCampでは、Junpyo PARK(韓国)、Xin LIU(中国)、柴田巧(日本)の3名がChairを務めました。各国のChairおよびローカルホストのスタッフ、プログラムスポンサーのDAUM Foundation、およびKRNICの方々には感謝の念をお伝えすると共に、心から敬意を表したいと思います。また、併設のAPANにも会場やスタッフの多大なるサポートをいただいており、APANフェローシッププログラム等の充実も間接的にCampへの参加を促す結果となりました。さらに、Campを下支えしてくださっている各国のシニアメンバーの方々のサポートなしに、今回のCampは成功できなかったと感じています。今回のCampの成功は、来年にも引き継がれ、今後も効果的で意味あるCampとすべく、皆様のさらなるご尽力を期待し、Campの概要報告とさせていただきます。

(第4回APNG Camp Co-chair/JPNIC ng-tfメンバー 柴田 巧)

※1 APAN:Asia-Pacific Advanced Network Consortium
http://www.apan.net/home/index1.htm

2. APNG Campの達成点と今後

APNG Campの役割は、「インターネットにおける新たなissueを提供する場(チュートリアル)」と「APのコンテクストにおいて活動を行う場(WG)」の二つの側面があります。

チュートリアルとしては、今回は、Camp全体をculture trackとtechnology trackに分割して、technology trackの運営を全面的にng-tfが担いました。また、culture trackについても、APNG Camp全体におけるその役割について提案を行いました。これは、過去のAPNG Campにおいては、インターネットとは直接関係のない、もしくはissue orientedではないセッションが目立ち、APNG Camp自体の有効性が疑問視されていたことを改善するためです。この結果、チュートリアルについては、今後インターネットを担う若手人材が新たな知見を得る場として、一定の役割を果たすことに成功しました。

WGとしては、今までは「feminism」や「youth culture」などの、インターネットと直接関係がなく、issue orientedではないため具体的な活動の伴わないものが主流でした。そこで、私がコーディネータを担当した「Future of APNG Camp」セッションにおいてWGの今後に関する議論を行いました。

このセッションのコーディネーションを引き受けるにあたり、有効なセッションになるように内容を検討しましたが、Camp自体が扱う領域が不明瞭であり、参加者の興味分野が分からないという現状があるため、参加者個人がインターネットに関連するどういうテーマに興味を持っているかについてアンケートを実施しました。アンケートの結果を元に、似た興味のメンバーを集めて、今後の具体的な活動として何ができるかの議論の場を作りました。3分の1くらいの参加者が「Internet Culture」と返答したことは、Camp参加者の興味の実態を表していますが、それと同時に、この返答はまだ具体的に興味のあるテーマが決まっていないともとれるため、Camp運営の難しさが表面化しました。

この議論の結果、以下の新たな三つのWGが立ち上がることとなりました。

1)Mobile Wireless Security (Chair:史 虹波)
2)Internet Development in the Asia-Pacific Region(Chair:Ching Chiao)
3)Internet Business and Venture Start-ups(Chair:牧 兼充)

今後はこのWGを活動の核としながら、APNG Campにおいて具体的な活動を行う場が整ったことになります。次回のCampに向けては、以下のメンバーで構成されるActivity Committeeを中心に検討が進められています。

Chair:Xin Liu(清華大学、中国)
Vice-Chairs:
Benson Wu(国立交通大学、台湾)
Kyouho Lee Song(延世大学、韓国)
遠藤 淳(JPRS)
WG-Chairs:
史 虹波(早稲田大学)
Ching Chiao(TWNIC、台湾)
牧 兼充(慶應義塾大学)
(JPNIC ng-tfメンバー 牧 兼充)

3. WG紹介

◆Mobile Wireless Security

Chair:史 虹波(早稲田大学/JPNIC ng-tf)
モバイル、無線およびそれらを利用する際に関連するセキュリティの研究グループです。このグループの特徴は、学生により構成された学生のための研究グループであるということです。研究情報の交換により全員の研究促進を目的としていると同時に、これまで研究論文のみに奮闘してきた学生にもIETF、ITUなどの国際標準が議論される場に研究内容を提出できるようにサポートするWGとなっています。(史 虹波)

◆Internet Development in the Asia-Pacific Region

Chair:Ching Chiao(TWNIC)
AP地域におけるインターネットを取り巻く現状を理解するため、インターネットの発展が社会に与える影響について、規制・個人情報・ガバナンスなどの法律的課題やデジタルディバイドといった表面化している社会的事象などを分析、検討することを活動に掲げています。さらに各国のNIC(Network Infomation Center)の連携のあり方についても模索します。また、もう一つの柱として、APNG(Asia Pacific Networking Group)のInternet History Museumの活動を支えるべく、10年以上の歴史を重ねてきたAP地域におけるインターネットを巡るさまざまな動きを整理し、次世代の者が先人達の積み重ねてきた活動についての情報を共有するための活動も行っていきます。(遠藤 淳)

◆Internet Business and Venture Start-ups

Chair:牧 兼充(慶應義塾大学/JPNIC ng-tf)
このWGの目的は、AP地域において新たに起きつつあるインターネット技術に基づいたベンチャー企業を探すことです。具体的には、AP各国から先進的なベンチャー企業の事例を持ち寄り、相互に紹介する場を定期的に設けることを考えています。また、AP各国のベンチャー企業は他国への国際展開を考えているケースが多いため、そういったネットワーキングの場としても発展させていきたいと考えています。(牧 兼充)

4. APNG Camp参加者からのコメント(敬称略・順不同)

◆牧 兼充(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助手)

APNG Campは回を重ねるこごとに、一歩一歩進展しつつあります。今回は新たにWGが三つ立ち上がったことにより、今後具体的な活動をAPNG Campにおいて行うことが可能になりました。今後ともこの場を有効利用して、活動を活性化させていきたいと思っています。

◆遠藤 淳((株)日本レジストリサービス)

今回、三つのWGが立ち上がり、WGを中心に課題意識を持つ参加者による継続的な活動の場としてのAPNG Camp を創出する道が開けたと認識しています。5th CampのVice-Chairとして、APの各インターネット関連組織との連携を重視しながら、APNG Camp が「インターネットにおける新たな話題が提供され、それについての知見を得る場(tutorial)」と「課題意識を持つ若手研究者、実務者が課題解決を模索する場(WG)」を兼ねた存在となれるよう、多くの方々のご協力を得ながら、活動を進めて参ります。

◆川上 洋平(NTTコミュニケーションズ(株))

2回目の参加となった今回ですが、前回にもまして主体的・積極的な議論が交わされました。各々の関心にのっとり新たにWGが結成されたことはその何よりもの表れといえます。私もチュートリアルセッションのアレンジのなかで共通の関心をもつ仲間を見つけ、Campを離れての活動も実現させることができました。この成果を共有し、Campがより多くの人にとって魅力的な活動の場となるよう努力していきたいと思います。

◆川端 宏生((社)日本ネットワークインフォメーションセンター)

前回に引き続き、2回目の参加となりました。今回はただ漠然と参加するだけではなく、セッションの運営や発表を行うなど、より積極的にかかわることができました。事前の準備にはとても苦労をしましたが、自分にとって大変有意義な活動になりました。まだまだ力不足ですが、この経験を生かして次回以降につなげていきたいと考えています。

◆佐藤 有希(一橋大学社会学部4年)

Campへの参加は2回目となり、今回はより積極的に自らの問題意識を他の参加者と共有することを目指してCampに望みました。具体的にはFocus of Talkersにおいて、情報社会学的な観点からインターネットの教育的・社会的貢献の可能性について話すことができました。似たような興味関心を持つ参加者と交流し、アイデアを交換できた経験を今後の活動に結び付けていきたいと思います。

◆史 虹波(早稲田大学メディアネットワークセンター助手)

今回のAPNG Campでは、CampがAP地域の各国の若者の奮闘と連携でしっかりと成長してきたことが実感できました。これまでにAPNG Campに多大な支援をくださった各国のインターネット業界の方々に深く感謝しております。APNG Campに参加するたびに感じるのは、インターネットはマシンを繋げる技術だけではなく、国と言語文化の違いを超え、人と人が繋がっていくプラットフォームだということです。今後ともAPNG Campの成長に皆様と一緒に全力を出したいと考えております。

◆柴田 巧(慶應義塾大学環境情報学部4年)

APNG Campは一歩一歩発展を遂げ、安定した運用を行える体制が見えてきました。参加者の興味から各論を考え、具体的な成果を上げられる環境、土壌も整いつつあります。今回は、Chairとして参加しましたが、今後、私個人としても興味・研究・調査を持ち寄り、議論していきたいと思います。

参照URL

JPNIC Next Generation Task Force
http://www.nic.ad.jp/ja/ng-tf/

APNG Camp概要
http://www.apng.org/camp/

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